というわけで一昨日の続き。セントルイスの野外劇場The Munyでのミス・サイゴンについての感想です。野外劇場の様子などは前回の記事をご覧くださいませ。いよいよ舞台の内容についてです。
あ、トップの写真は、Munyの正面玄関?です。この正面から、事務所やバックステージを囲むように回廊があって、そこを通って客席に行くようになってます。
今回のステージ、マイケル・K・リー氏が出るというだけでほいほい行ってしまいましたが、地方公演だし、レベルはどうかな・・・とは思ってました。
確かにオケやアンサンブルのレベルはあまり高くなかったですね。
というか、オケ下手すぎ(汗)よく帝劇のオケに文句行ってますが、帝劇の方がずっと上手いです(汗)音程は合ってないわ、速い所では崩壊しかけるわ・・・(汗)
最初のクラブのシーンのSun and Moonのサックスも、なんか音符どおりにしか吹いてないという、非常に悲しいサックスでした・・・(ステージの人は吹く真似だけで、オケピットの中で吹いてましたね)
アンサンブルも今ひとつ。人数も少なめだし・・・。地方な上に、アジア系の人に限定されると余計にレベル的な問題があるのでしょうね。アジア系の人足りなくて、明らかにアジアじゃない人もベトナム人やってましたけど・・・
クラブの女性たちも、やや太めな人が多く、色気は今イチだったかなー(汗)
結婚式の歌の場面、アンサンブルのハーモニーが美しいのに、なんかあんまり音があってなくてあれれ?でした・・・
ただ、ジジの人はとても上手かったです。(ジジ、アンサンブル扱いなんですよね・・・というかそれが普通という気もする)この方もやや太めでしたけど・・・(汗)
男性のレベルもそこそこという感じ。帝劇の方が絶対レベル高いです・・・
そして、普通のアンサンブルの他に、Youth Ensembleと称して、地元の学生さんとからしき人たちがたくさん出てました。通行人とか、ドラゴンダンスの時の旗持ちその他で出てました。(ドラゴンダンスは女性アンサンブルも全員出てましたね)
最初このユース・アンサンブルの存在に気づかず、「なんか下手な人いるな・・・」と思ってしまいました(汗)ドラゴンダンスの旗持ちとか、なんか動きがぎこちなくていかにも素人っぽかったので・・・
ちなみにドラゴンダンス、メインで踊っている人たちは上手かったと思うのですが、振り付けがバレエっぽくて、あまりマッチョな感じがなく・・・日本の方が良いなあと思いました。このシーン、韓国も今イチだったので、本場でどうかなあと楽しみにしてたんですが。
あ、なぜかアメリカの国旗を袖につけた女性のバレエダンサーが出てきて、ドラゴンダンサーと踊ったりとかしてました。アメリカが追い出されて行った様を表していたのかもしれませんが、なんだか違和感。バレエ自体は上手かったのですが。
ホーチミン像は出てきませんでした。あれはなくてもいいんじゃあと思いますがね・・・
とまあアンサンブルやオケはうーん、だったんですが、プリンシパルはものすごくレベルが高く、結果としてものすごく良かったです。日本でも再演を何回か、韓国でも観たけれど、今までで一番感動しました。本当はこういう作品だったんだなあ・・・とまで思ってしまった。
何しろ、トゥイとクリス(Eric Kunze)は実際にブロードウェイでやってた人ですしねー。エンジニア(Francis Jue)、ジョン(Josh Tower)、エレン(Kathy Voytko)は初めての役ですが、3人ともブロードウェイの経験がある実力派。ジョンの人はライオンキングのシンバを5年くらいやってたそうです。エレンはブロードウェイではプリンシパル出演はなさそうでしたが、ツアーではクリスティーヌやエビータなど演じている人で、かなり上手かったです。
そして、何よりもキムが素晴らしかった!
キムを演じたMa-Anne Dionisioさんは、ブロードウェイには出ていないものの、カナダ、オーストラリアで開幕キャストとしてキムを演じ、後にはロンドンのキムもやっていたそうです。
ツアーですが、エポニーヌもやったり、ブーブリル&シェーンベルクの最新作(って何年も前だけど)マルタン・ゲールにも出てたそうです。レア・サロンガよりもさらにずっとアジア系の顔立ちの彼女がエポニーヌをやるなんて、余程のことだよなあと思いました。
実際、素晴らしいキムでした! 役作りとしては、かなり激しいキムで、よくある感じ・・・と思うんですが、とにかく彼女が歌うを心を揺さぶられました。
最初にクラブで歌う歌、彼女が歌い出したら、なんだかすーっと涙が出てきてしまいました。ここで泣けたのは初めてですよ・・・。
特に子供を守ろうとする強い気持ちに泣かされましたね。このあたりは年の功もあるかも・・・!?(汗)
一番来たのは、バンコクのホテルでエレンと会い、クリスが結婚していると知った時の表情ですかね。呆然として固まってしまった、その表情だけでもう泣けて仕方なかったです。またエレンも良かったので、その後ずっと泣きっぱなしに・・・
日本のミス・サイゴン、初演は観てないんですが、今やってる若いキムたち、頑張ってると思うけどまだまだだなあ・・・と思ってしまいましたよ。なんか本物のキムを観た、というか。妹は「研究熱心な新妻聖子さんに見せてあげたい」と言っておりました(笑)
まあ、そんなに若くないのと(汗)ちょっと太めなため(いや普通だと思うんですが、日本のほっそりしたキムたちに比べると・・・)、きわどい格好はしてなかったですが(笑)ジョンと再会するところとか、最初からガウン着てたし。
でも、クリスとかジョンとかエレンまで大きい人たちだったので、とても小さくはかなげに見えて、良かったですけどね。
今回楽しみにしていたのは、マイケルのトゥイももちろんなんですが、ちゃんとアメリカ人が演じるクリスやジョン、エレンが見られる、ということでした。
今まで日本と韓国しか観てないので、アジア人ばかりでやってるのしか見てないのですよね。
で、実際にアメリカ人が演じるクリスたちを見て・・・なんか、色々と腑に落ちましたね。ああ、こういう話だったのか、と・・・。また上手い人たちがやっていたのも良かったとおもうのですが。
日本や韓国でやっていたのを観た時は、クリスとキムは普通の対等な男女の恋愛、と見えましたが、そうじゃないんだな、と。
クリスのキムへの思いは、同情というか、守りたいという思いだったし、キムの方にも憧れのようなものがあったんだなと・・・
エレンも、日本で見るとどうしても対等な恋敵、という感じに思えるのですが、なんかアメリカ人で見ると、ああ、そもそも違う世界の人なんだな・・・というのがよくわかりました。
アメリカ人のエレンだと、キムに優しくないとかなりひどい人、ですよね・・・。実際エレンはキムにとても優しく、親切にあろうとしていたのですが、そのあたりが非常に自然でした。これが日本だと、偽善的に見えやすいので、難しいと思うんですが。
ただ、ホテルでのクリスのエレンへの告白のあたりは、ただ激しているだけに見えて、日本人の私としては全く共感できませんでしたが・・・(汗)ここは井上芳雄くんのクリスの方が良いなあ。
クリスとエレンの認識の甘さ、というのも、アメリカ人の二人だとなんか納得してしまう。そして、その認識の甘さを思い知らされるラストの衝撃も、とてもわかりやすいなあ、と感じました。やはりこのあたりはアジア人のみのキャストでやる難しさはあるなあと思いました。
そう言えばエレンは、とてもキムに優しいエレンだったにも関わらず、最後のシーン、タムに手を差し伸べるまでにかなり時間がありました。やっぱりタムにすぐに手を差し伸べないのは、タムの人生を引き受けることの重さを受け止めているんだなあと思いました。
そうそう、クリスはWhy God, Whyをタバコをすいながら歌ってましたが、なんと歌いながら煙吐き出していたので、なんかすごいなあと思いました・・・(笑)
ジョンは黒人のキャストがやることが多いと聞いてましたが、なるほど黒人の人で、非常にGIっぽくてはまってました。
このジョンが、とても優しいジョンで、また良かったんですよね。もちろんブイ・ドイの歌も素晴らしかったのですが。
3年後のジョンが、キムのことを思いやっているのはもちろんなのですが、クリスのこともエレンのことも思いやっている感じで、ああ、そうだよな・・・と初めてジョンのキャラクターが腑に落ちました。
いや、今まで日本のジョンを何人か見ていて、クリスに厳しすぎないか、と思ってたんですよね。だって元はといえば自分が撒いた種なのに・・・(汗)
今回見たジョンは、ブイ・ドイたちを助ける活動をしていること自体も、ベトナムでの自分たちの行為を悔いていて、その償いなんだ、ということがよくわかるジョンでした。
なんか今まで見てきたジョンは、自分の過ちを償うというよりは、正義をふりかざす糾弾者に見えなくもなくて・・・。そのあたりが冷たく思えたのですよね・・・
今回のジョンは、キムのことで少なからず自分も責任を感じているように思えました。クリスのことも思いやりつつ、キムを救いたいと思っていて・・・とくにかく優しいジョンで、良かったです。
キムが喜んでいる様子を見て、クリスが結婚していることを言えない、というシーンも、とてもキムのことを思いやっていることが窺えて、よかったです。優しいジョンにグッと来ました。
エンジニアのFrancis Jueさんは、エンジニアをやるのは初めてのようで、最初のうちは日本のエンジニアの方がアクが強くてよいかなあ・・・なんて思ってしまいました。もちろん歌は申し分なく上手いんですけど。
しかし、一見淡白な彼のエンジニア、ミス・サイゴンのティアラを被ったりとか、細かいところでなんだかとっても笑える・・・
そして、アメリカン・ドリームを見ていたら、とても楽しそうに踊る姿に、エンジニアがとてもかわいそうになってしまいました・・・
このアメリカン・ドリームが、日本や韓国と演出がかなり違っていて、キャデラックとかも出てこないのですが、もっと具体的に「アメリカでクラブを経営してるエンジニア」という想定の装置で、なんか、よりリアルにエンジニアがかわいそうになってしまいました・・・
正直、今までアメリカン・ドリームを見ていてここまでかわいそうに思ったことはなかったので・・・と妹に言ったら、「アメリカン・ドリームってそういう曲じゃん」と言われてしまいましたけど(汗)
そんなわけで、エンジニアにも最後にはすっかり感情移入してしまいました。
そしてマイケルのトゥイですが・・・
日本でも直前に泉見洋平さんのトゥイを見て、急にトゥイに目覚めてすっかり楽しみになっていたのですが(笑)いや~カッコ良かったです!
マイケルと言えば、今までは歌メチャクチャ上手いけれどやわらかい歌い方をする人、というイメージだったのですが、今回初めて声を強く張り上げる歌い方を聞きました。
いや~、声張り上げるのもカッコ良いですね~今までで一番、マイケルのことカッコイイと思いました(笑)
軍服も似合ってたし。ベトコンの前に厳しい表情で立つところとか、大変格好ようございました(笑)
ただ、オールバックの姿が、妹に言わせると「王様と同じ・・・」だそうですが・・・確かに(汗)
最初の、ベトナムの若者として出てくるところは、髪の毛を下ろしてたらとてもかわいかったです(笑)
ただ、残念なことに、私たち2日とも下手端の席だったんですが、トゥイは下手から上手に向かって演技するシーンがほとんどで、あんまり顔見えなかったんですよね・・・
あ、声張り上げるばかりでなく、やわらかい歌い方もちゃんと聞けました。キムに「結婚しよう」とか歌うあたりは、とても優しい演技で、なんか「トゥイでいいじゃん?」という気になりました・・・(笑)
実際、泉見洋平さんのトゥイも素晴らしかったのですが、泉見さんのトゥイは明らかにイッちゃってる感じなので、「彼はやめといた方が・・・」という感じなんですが(汗)マイケルのトゥイは、本当にタムが生まれてなかったらキムはトゥイと幸せになったのでは、と思える感じでした。
一度キムとエンジニアを撃たせようとして止めたあと、キムに手を差し伸べようとしてできなくて・・・なんてあたりの演技も良かったなあ
まあ、泉見洋平さんのトゥイも遜色ないくらい素晴らしいんではないかと思いますが(歌はマイケルの方が上手い・・・泉見さんも十分すぎるくらい上手いですが)、マイケルのトゥイも素晴らしくて、見られて良かったと心から思いました!
実はマイケルのトゥイ、泉見さんより良くなかったらどうしようなんて言ってたので・・・(笑)
ただし。2幕のトゥイの亡霊のシーンで、マイケル再登場・・・と思ったら、なんと顔白塗りの上に、ゾンビだかキョンシーだか・・・みたいなお化けメイクをしていたので、びっくりでした~(汗)目の下に隈描いて、顔にも傷みたいの入れて・・・
いや~、せめて白塗りだけにできなかったの? 韓国でもこんなメイクはしてなかったと思うんだけど・・・ブロードウェイでもこうだったのか?
なんか、韓国のミス・サイゴンで、I Still Believeでうなされて飛び起きたマイケル演じるクリスがパンツ一丁だったのに次ぐ衝撃でした・・・・・・
ま、まあそんなこんなも含めて、とにかくマイケルのトゥイが見られて良かったです・・・!
そう言えば、場内で配られるPlaybillのようなもののキャストプロフィールを見ていたら、マイケルは2005年にこのMunyで「ジーザス・クライスト・スーパースター」のユダをやったんだそうです・・・!
マイケルのユダ・・・! 見たかった~!!
2005年というと、序曲よりは後かな・・・。まだあまりマイケルの公式サイトとかチェックしてなかった頃だったなあ・・・
まあ、2005年夏はドイツにLotRシンフォニーを聴きに行っていたので、そのためにアメリカには行かなかったと思うけど・・・でも、見たかったなあ・・・
そしてもうひとつ、このプロフィールによると、マイケルが韓国のミス・サイゴンでクリスをやったのは、キャメロン・マッキントッシュの人選だったらしいです! そうだったのか~。ありがとう、キャメロン・マッキントッシュ!(笑)
で、「その後intermational musical sceneに登場し続けている」とか書いてあったけど・・・韓国しか出てないじゃん・・・
まあ、また韓国でやるつもりはあるってことなのかな? 来年の韓国のミス・サイゴンにまた出てくれると嬉しいのですが。
またしても長くなりましたが、あと1回だけ続きます・・・
あ、トップの写真は、Munyの正面玄関?です。この正面から、事務所やバックステージを囲むように回廊があって、そこを通って客席に行くようになってます。
今回のステージ、マイケル・K・リー氏が出るというだけでほいほい行ってしまいましたが、地方公演だし、レベルはどうかな・・・とは思ってました。
確かにオケやアンサンブルのレベルはあまり高くなかったですね。
というか、オケ下手すぎ(汗)よく帝劇のオケに文句行ってますが、帝劇の方がずっと上手いです(汗)音程は合ってないわ、速い所では崩壊しかけるわ・・・(汗)
最初のクラブのシーンのSun and Moonのサックスも、なんか音符どおりにしか吹いてないという、非常に悲しいサックスでした・・・(ステージの人は吹く真似だけで、オケピットの中で吹いてましたね)
アンサンブルも今ひとつ。人数も少なめだし・・・。地方な上に、アジア系の人に限定されると余計にレベル的な問題があるのでしょうね。アジア系の人足りなくて、明らかにアジアじゃない人もベトナム人やってましたけど・・・
クラブの女性たちも、やや太めな人が多く、色気は今イチだったかなー(汗)
結婚式の歌の場面、アンサンブルのハーモニーが美しいのに、なんかあんまり音があってなくてあれれ?でした・・・
ただ、ジジの人はとても上手かったです。(ジジ、アンサンブル扱いなんですよね・・・というかそれが普通という気もする)この方もやや太めでしたけど・・・(汗)
男性のレベルもそこそこという感じ。帝劇の方が絶対レベル高いです・・・
そして、普通のアンサンブルの他に、Youth Ensembleと称して、地元の学生さんとからしき人たちがたくさん出てました。通行人とか、ドラゴンダンスの時の旗持ちその他で出てました。(ドラゴンダンスは女性アンサンブルも全員出てましたね)
最初このユース・アンサンブルの存在に気づかず、「なんか下手な人いるな・・・」と思ってしまいました(汗)ドラゴンダンスの旗持ちとか、なんか動きがぎこちなくていかにも素人っぽかったので・・・
ちなみにドラゴンダンス、メインで踊っている人たちは上手かったと思うのですが、振り付けがバレエっぽくて、あまりマッチョな感じがなく・・・日本の方が良いなあと思いました。このシーン、韓国も今イチだったので、本場でどうかなあと楽しみにしてたんですが。
あ、なぜかアメリカの国旗を袖につけた女性のバレエダンサーが出てきて、ドラゴンダンサーと踊ったりとかしてました。アメリカが追い出されて行った様を表していたのかもしれませんが、なんだか違和感。バレエ自体は上手かったのですが。
ホーチミン像は出てきませんでした。あれはなくてもいいんじゃあと思いますがね・・・
とまあアンサンブルやオケはうーん、だったんですが、プリンシパルはものすごくレベルが高く、結果としてものすごく良かったです。日本でも再演を何回か、韓国でも観たけれど、今までで一番感動しました。本当はこういう作品だったんだなあ・・・とまで思ってしまった。
何しろ、トゥイとクリス(Eric Kunze)は実際にブロードウェイでやってた人ですしねー。エンジニア(Francis Jue)、ジョン(Josh Tower)、エレン(Kathy Voytko)は初めての役ですが、3人ともブロードウェイの経験がある実力派。ジョンの人はライオンキングのシンバを5年くらいやってたそうです。エレンはブロードウェイではプリンシパル出演はなさそうでしたが、ツアーではクリスティーヌやエビータなど演じている人で、かなり上手かったです。
そして、何よりもキムが素晴らしかった!
キムを演じたMa-Anne Dionisioさんは、ブロードウェイには出ていないものの、カナダ、オーストラリアで開幕キャストとしてキムを演じ、後にはロンドンのキムもやっていたそうです。
ツアーですが、エポニーヌもやったり、ブーブリル&シェーンベルクの最新作(って何年も前だけど)マルタン・ゲールにも出てたそうです。レア・サロンガよりもさらにずっとアジア系の顔立ちの彼女がエポニーヌをやるなんて、余程のことだよなあと思いました。
実際、素晴らしいキムでした! 役作りとしては、かなり激しいキムで、よくある感じ・・・と思うんですが、とにかく彼女が歌うを心を揺さぶられました。
最初にクラブで歌う歌、彼女が歌い出したら、なんだかすーっと涙が出てきてしまいました。ここで泣けたのは初めてですよ・・・。
特に子供を守ろうとする強い気持ちに泣かされましたね。このあたりは年の功もあるかも・・・!?(汗)
一番来たのは、バンコクのホテルでエレンと会い、クリスが結婚していると知った時の表情ですかね。呆然として固まってしまった、その表情だけでもう泣けて仕方なかったです。またエレンも良かったので、その後ずっと泣きっぱなしに・・・
日本のミス・サイゴン、初演は観てないんですが、今やってる若いキムたち、頑張ってると思うけどまだまだだなあ・・・と思ってしまいましたよ。なんか本物のキムを観た、というか。妹は「研究熱心な新妻聖子さんに見せてあげたい」と言っておりました(笑)
まあ、そんなに若くないのと(汗)ちょっと太めなため(いや普通だと思うんですが、日本のほっそりしたキムたちに比べると・・・)、きわどい格好はしてなかったですが(笑)ジョンと再会するところとか、最初からガウン着てたし。
でも、クリスとかジョンとかエレンまで大きい人たちだったので、とても小さくはかなげに見えて、良かったですけどね。
今回楽しみにしていたのは、マイケルのトゥイももちろんなんですが、ちゃんとアメリカ人が演じるクリスやジョン、エレンが見られる、ということでした。
今まで日本と韓国しか観てないので、アジア人ばかりでやってるのしか見てないのですよね。
で、実際にアメリカ人が演じるクリスたちを見て・・・なんか、色々と腑に落ちましたね。ああ、こういう話だったのか、と・・・。また上手い人たちがやっていたのも良かったとおもうのですが。
日本や韓国でやっていたのを観た時は、クリスとキムは普通の対等な男女の恋愛、と見えましたが、そうじゃないんだな、と。
クリスのキムへの思いは、同情というか、守りたいという思いだったし、キムの方にも憧れのようなものがあったんだなと・・・
エレンも、日本で見るとどうしても対等な恋敵、という感じに思えるのですが、なんかアメリカ人で見ると、ああ、そもそも違う世界の人なんだな・・・というのがよくわかりました。
アメリカ人のエレンだと、キムに優しくないとかなりひどい人、ですよね・・・。実際エレンはキムにとても優しく、親切にあろうとしていたのですが、そのあたりが非常に自然でした。これが日本だと、偽善的に見えやすいので、難しいと思うんですが。
ただ、ホテルでのクリスのエレンへの告白のあたりは、ただ激しているだけに見えて、日本人の私としては全く共感できませんでしたが・・・(汗)ここは井上芳雄くんのクリスの方が良いなあ。
クリスとエレンの認識の甘さ、というのも、アメリカ人の二人だとなんか納得してしまう。そして、その認識の甘さを思い知らされるラストの衝撃も、とてもわかりやすいなあ、と感じました。やはりこのあたりはアジア人のみのキャストでやる難しさはあるなあと思いました。
そう言えばエレンは、とてもキムに優しいエレンだったにも関わらず、最後のシーン、タムに手を差し伸べるまでにかなり時間がありました。やっぱりタムにすぐに手を差し伸べないのは、タムの人生を引き受けることの重さを受け止めているんだなあと思いました。
そうそう、クリスはWhy God, Whyをタバコをすいながら歌ってましたが、なんと歌いながら煙吐き出していたので、なんかすごいなあと思いました・・・(笑)
ジョンは黒人のキャストがやることが多いと聞いてましたが、なるほど黒人の人で、非常にGIっぽくてはまってました。
このジョンが、とても優しいジョンで、また良かったんですよね。もちろんブイ・ドイの歌も素晴らしかったのですが。
3年後のジョンが、キムのことを思いやっているのはもちろんなのですが、クリスのこともエレンのことも思いやっている感じで、ああ、そうだよな・・・と初めてジョンのキャラクターが腑に落ちました。
いや、今まで日本のジョンを何人か見ていて、クリスに厳しすぎないか、と思ってたんですよね。だって元はといえば自分が撒いた種なのに・・・(汗)
今回見たジョンは、ブイ・ドイたちを助ける活動をしていること自体も、ベトナムでの自分たちの行為を悔いていて、その償いなんだ、ということがよくわかるジョンでした。
なんか今まで見てきたジョンは、自分の過ちを償うというよりは、正義をふりかざす糾弾者に見えなくもなくて・・・。そのあたりが冷たく思えたのですよね・・・
今回のジョンは、キムのことで少なからず自分も責任を感じているように思えました。クリスのことも思いやりつつ、キムを救いたいと思っていて・・・とくにかく優しいジョンで、良かったです。
キムが喜んでいる様子を見て、クリスが結婚していることを言えない、というシーンも、とてもキムのことを思いやっていることが窺えて、よかったです。優しいジョンにグッと来ました。
エンジニアのFrancis Jueさんは、エンジニアをやるのは初めてのようで、最初のうちは日本のエンジニアの方がアクが強くてよいかなあ・・・なんて思ってしまいました。もちろん歌は申し分なく上手いんですけど。
しかし、一見淡白な彼のエンジニア、ミス・サイゴンのティアラを被ったりとか、細かいところでなんだかとっても笑える・・・
そして、アメリカン・ドリームを見ていたら、とても楽しそうに踊る姿に、エンジニアがとてもかわいそうになってしまいました・・・
このアメリカン・ドリームが、日本や韓国と演出がかなり違っていて、キャデラックとかも出てこないのですが、もっと具体的に「アメリカでクラブを経営してるエンジニア」という想定の装置で、なんか、よりリアルにエンジニアがかわいそうになってしまいました・・・
正直、今までアメリカン・ドリームを見ていてここまでかわいそうに思ったことはなかったので・・・と妹に言ったら、「アメリカン・ドリームってそういう曲じゃん」と言われてしまいましたけど(汗)
そんなわけで、エンジニアにも最後にはすっかり感情移入してしまいました。
そしてマイケルのトゥイですが・・・
日本でも直前に泉見洋平さんのトゥイを見て、急にトゥイに目覚めてすっかり楽しみになっていたのですが(笑)いや~カッコ良かったです!
マイケルと言えば、今までは歌メチャクチャ上手いけれどやわらかい歌い方をする人、というイメージだったのですが、今回初めて声を強く張り上げる歌い方を聞きました。
いや~、声張り上げるのもカッコ良いですね~今までで一番、マイケルのことカッコイイと思いました(笑)
軍服も似合ってたし。ベトコンの前に厳しい表情で立つところとか、大変格好ようございました(笑)
ただ、オールバックの姿が、妹に言わせると「王様と同じ・・・」だそうですが・・・確かに(汗)
最初の、ベトナムの若者として出てくるところは、髪の毛を下ろしてたらとてもかわいかったです(笑)
ただ、残念なことに、私たち2日とも下手端の席だったんですが、トゥイは下手から上手に向かって演技するシーンがほとんどで、あんまり顔見えなかったんですよね・・・
あ、声張り上げるばかりでなく、やわらかい歌い方もちゃんと聞けました。キムに「結婚しよう」とか歌うあたりは、とても優しい演技で、なんか「トゥイでいいじゃん?」という気になりました・・・(笑)
実際、泉見洋平さんのトゥイも素晴らしかったのですが、泉見さんのトゥイは明らかにイッちゃってる感じなので、「彼はやめといた方が・・・」という感じなんですが(汗)マイケルのトゥイは、本当にタムが生まれてなかったらキムはトゥイと幸せになったのでは、と思える感じでした。
一度キムとエンジニアを撃たせようとして止めたあと、キムに手を差し伸べようとしてできなくて・・・なんてあたりの演技も良かったなあ
まあ、泉見洋平さんのトゥイも遜色ないくらい素晴らしいんではないかと思いますが(歌はマイケルの方が上手い・・・泉見さんも十分すぎるくらい上手いですが)、マイケルのトゥイも素晴らしくて、見られて良かったと心から思いました!
実はマイケルのトゥイ、泉見さんより良くなかったらどうしようなんて言ってたので・・・(笑)
ただし。2幕のトゥイの亡霊のシーンで、マイケル再登場・・・と思ったら、なんと顔白塗りの上に、ゾンビだかキョンシーだか・・・みたいなお化けメイクをしていたので、びっくりでした~(汗)目の下に隈描いて、顔にも傷みたいの入れて・・・
いや~、せめて白塗りだけにできなかったの? 韓国でもこんなメイクはしてなかったと思うんだけど・・・ブロードウェイでもこうだったのか?
なんか、韓国のミス・サイゴンで、I Still Believeでうなされて飛び起きたマイケル演じるクリスがパンツ一丁だったのに次ぐ衝撃でした・・・・・・
ま、まあそんなこんなも含めて、とにかくマイケルのトゥイが見られて良かったです・・・!
そう言えば、場内で配られるPlaybillのようなもののキャストプロフィールを見ていたら、マイケルは2005年にこのMunyで「ジーザス・クライスト・スーパースター」のユダをやったんだそうです・・・!
マイケルのユダ・・・! 見たかった~!!
2005年というと、序曲よりは後かな・・・。まだあまりマイケルの公式サイトとかチェックしてなかった頃だったなあ・・・
まあ、2005年夏はドイツにLotRシンフォニーを聴きに行っていたので、そのためにアメリカには行かなかったと思うけど・・・でも、見たかったなあ・・・
そしてもうひとつ、このプロフィールによると、マイケルが韓国のミス・サイゴンでクリスをやったのは、キャメロン・マッキントッシュの人選だったらしいです! そうだったのか~。ありがとう、キャメロン・マッキントッシュ!(笑)
で、「その後intermational musical sceneに登場し続けている」とか書いてあったけど・・・韓国しか出てないじゃん・・・
まあ、また韓国でやるつもりはあるってことなのかな? 来年の韓国のミス・サイゴンにまた出てくれると嬉しいのですが。
またしても長くなりましたが、あと1回だけ続きます・・・