一昨日、7月18日の「海の日」は、久しぶりに、目覚まし時計をセットして早起きした。言うまでも無く、日本時間の早朝に行われた、FIFA女子ワールドカップドイツ大会の、決勝戦を観るためである。
この決勝戦で、日本チーム「なでしこジャパン」が、強敵アメリカに、奇跡とも言える勝利をあげ、世界一に輝いたのである。このニュースは、東日本大震災に打ちひしがれている中、明るい話題の少ない日本全国の人達に、何と、素晴らしい吉報となったことだろうか!
TVでの決勝戦観戦後、そのまま起き出してしまったのだが、一日中、どこか嬉しく、心地よく、イライラのない寝不足の感覚を味わった。
この大会の会場で、ピッチに集まった選手たちそれぞれが、手に持って広げた巨大な横断幕には、
To Our Friends Around the World
Thank You for Your Support
と大書されていたが、試合の応援だけでなく、被災した日本に対する各国の支援にも、感謝するメッセージが、極めて印象的であった。
サッカーの国際大会と言えば、昨年初春、中国 広州で開催された、サッカーアジアカップでの、日本の優勝の興奮が、蘇ってくる。
これに比べれば、自分には、関心の薄かった、女子サッカーである。 比較的最近まで、FIFA主催で、女子にもワールドカップ大会があることも、この夏に、この女子ワールドカップ2011ドイツ大会が、フランクフルトで開催されることも、殆ど知らなかった。
出場した選手達の、顔と名前、背番号、ポジションなど、澤選手以外は、殆ど分らなかったのだが、JFAのサイトから印刷した、選手達の顔写真等を、手許に置きながら、TV観戦する内に、少しづつ、覚えて行った。
今大会で、一躍ヒロインとなった、彼女達の活躍ぶりを、2回に分けて、改めて、振り返ってみたい。
先ずは、グループリーグ(予選リーグ)だ。 参加16チームが、4チームづつ、A、B、C、Dの、4グループに分かれて戦うのだが、日本は、Bグループで
ニュージーランド、メキシコ、イングランド
と対戦することとなった。
グループリーグのTV放送は、夜の12時前後に生中継されたため、比較的気楽に、TV観戦できた。
最初のニュージーランド戦は、FIFAランキングでは日本が上だが、体格の違いなどもあり、緒戦と言うことで、苦戦も予想された。
ニュージーランド 国旗
日本は、試合開始後まもなく、FW永里のゴールで、幸先良く先制したものの、程なくして、ディフェンスの隙を突かれて、相手にも得点を許し、1-1で後半戦へ。双方、決定的な場面が少なかったが、途中から入ったMF岩淵の動きが良く、相手ゴールのペナルティエリア近くへ突っ込んで、FKを得た。このFKを、MF宮間が冷静に、見事に、ゴール枠の右上隅に決め、これが決勝点となった。
負担が大きいと言われる緒戦を、2-1で制し、勝ち点3を得たのは、大きな自信になった。
次のメキシコ戦は、格上の日本が、前半で3得点、後半で1得点と、危なげない戦いぶりで、4-0で快勝し、安心して、観戦することができた。
前半は、FKで宮間が上げたボールを、澤が、飛び出していって、ヘディングで合わせて先制。 続いて、見事な流れの連携で、FW大野が決めた。 更に、前半終了間際のCKでは、宮間が蹴ったボールを、澤が、相手の警戒の裏をかくように、するすると前に飛び出していって、ニアで、ヘディングで決めている。この試合のセットプレーでの2得点、宮間と澤のコンビは、予め、どのように示し合わせて居たのだろうか。
後半にも、澤が、右足で、難しいゴールを決めている。この試合、澤選手は、ハットトリックの、大活躍であった。
メキシコ 国旗
これで、第3戦を待たずに、予選リーグ2位以上が確定し、決勝トーナメント進出が決まった。
グループリーグ最後のイングランド戦は、0-2で完敗し、グループ2位での決勝トーナメント進出となった。
イングランド 国旗
この試合、決勝進出を決めた安堵感と気の緩み、疲れなどもあっただろう。自分も、放送時間が遅かったこともあり、少し気を許して、TV観戦をしなかった!
この試合後のTV解説では、反省として、外国人との体格の差をカバーするための、
・寄り添うサッカー(相手の体に寄り添って動きを制する)
と、相手に、ボールに追いつかせない
・パスサッカー(小刻みに早いテンポでボールを回す)
という、なでしこの戦術の原点 に立ち返る必要がある、と指摘された。
この、イングランド戦に負けた反省が、その後の決勝トーナメントで、大いに生かされたように思われる。
今回大会で、すっかり定着した、NADESHIKO(なでしこ)という、女子日本チームの愛称だが、2004年、JFAが、女子サッカーも盛り上げたいと、公募等を経て、正式に決めたようだ。
ナデシコの中で、日本古来のカワラナデシコは、秋の七草の一つにもなっている(残念ながら、今は、我が庭には、無い)。 同じナデシコの仲間の、中国原産の、セキチク(石竹)が、唐撫子と呼ばれたのに対し、カワラナデシコは、大和撫子と呼ばれたようだ。
カワラナデシコ(ネットより借用)
いつしか、この、大和撫子という呼称が、日本女性をも、指すようになった、という。
この大和撫子の定義は、はっきりはしないが、ある解説によれば、
凛として清楚で、控えめだが、芯は強く、物事をきちんとこなす
女性を指すようである。
元々は、日本女性に対する「美称」なのだが、女性を、道徳的な枠に、はめ込むようなニュアンスもあろうか。
でも、今大会で彼女達が、見上げるような外国人選手達と、体格のハンデを克服する戦術で、最後まで諦めず、芯の強さを発揮して、対等に戦った事は、愛称を地で行く、日本女性の活躍として、大いに拍手を送りたいものである。