つれづれの記

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千曲川旅情の歌

2022年09月11日 15時07分46秒 | 日記

2022年9月11日(日)  千曲川旅情の歌

 

 

一昨日は、重陽の節句で、菊の節句とも言われる。昨夜は、15夜で、満月が、くっきり見えた。

この所、島崎藤村の、「千曲川旅情の歌」が、耳元から離れないことだ。

 

この詩は、筆者が、高校生の時(S30年頃)、国語の授業で習って、初めて知ったものだ。

以下に示すこの詩は、当初、「小諸なる古城のほとり」の題で発表されている。

その後、「千曲川旅情の歌」の題で、パート2のように、落梅集に発表されたのが、以下の詩である。

 

昨日またかくてありけり

今日もまたかくてありなむ

この命なにを齷齪

明日をのみ思ひわづらふ

 

いくたびか栄枯の夢の

消え残る谷に下りて

河波のいざよふ見れば

砂まじり水巻き帰る

 

嗚呼古城なにをか語り

岸の波なにをか答ふ

過ぎし世を静かに思へ

百年もきのふのごとし(百年もきのふのごとし)

 

千曲川柳霞みて

春浅く水流れたり

たゞひとり岩をめぐりて

この岸に愁いを繋ぐ(この岸に愁いを繋ぐ)

 

このパート2の石碑を、可なり読み難いのだが、以下に示す。

 

 

全体として、75調で整えられた、リズミカルな、文語体の詩である。

上述の高校時代、通学途中などで、繰り返し憶えた記憶があり、いまだに、暗唱していることだ。

 

詩の中には、以下のような難解な言葉がある。

・遊子は「ゆうし」で、旅人の意だが、作者は、自身のことを言っているだろうか?

・衾(ふすま)は、寝る時に使う夜具の事だが、雪に覆われた岡を、衾に譬 えている。

・「若草もしくによしなし」、だが、手持ちの旧い漢和辞典には、草冠の、14画で、漢字が出ており、 「しく」という

 読みで、「しきもの」の意とある。

 でも、ネットの漢和辞典には載っておらず、PCのIMEパッドでも見つからなかった。

・浅間は、地域のシンボルの、浅間山だ。

・濁り酒は、以前、よく飲まれた「どぶろく」のことだ。

 

・齷齪の読みは、「あくせく」で、せかせかと動き回るさま。

・「河波のいざよふ」は、川の波が、たゆたうさま。

・柳霞みて、は、春先に、柳の新芽が出てくる様子。

 

この詩は、M34年(1901年)、藤村の詩文集「落梅集」に、初めて掲載されたようだ。

後日、藤村は、二つの詩を、統合したようだ。

  

       島崎藤村                     落梅集

 

今回、ネットで知ったのだが、この詩に、「𠮟られて」、「浜千鳥」など、今も歌われている童謡を作ったことで知られる、弘田龍太郎が作曲した曲「千曲川旅情の歌」があるようだ。

これを、ソプラノ歌手の鮫島有美子が歌っているのだ、ネットで見つかった。

下図は、Yu-Tubeサイトから引用。

                           ソプラノ歌手 鮫島有美子   

重厚なで歌曲風の曲で、懐かしさが感じられるメロディだろうか。

弘田龍太郎作曲の、浜千鳥、叱られて、靴が鳴るの、3曲の童謡が、日本の歌100選に選ばれている。

 

千曲川沿いにある小諸城は、かなり以前だが、筆者が現地に出張した折に、案内されて訪れたことがある。小諸城の中に、懐古園があり、そこを訪れたのだが、そばを流れる千曲川を眺めた記憶がある。

 

旅情演歌と言われる、五木ひろしの「千曲川」は、大好きな曲の一つなのだが、よく知っている藤村の詩の影響もあるだろうか。

 

 

 

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