2015年10月11日(日) ラグビー競技のルール
現在、イギリスで行われている、第8回ラグビーワールドカップ大会も、予選プールリーグから、決勝トーナメントへと進みつつある。
当ブログにも、下記記事
ラグビーワールドワールドカップー日本の奇跡 (2015/10/9)
を投稿したところだ。
そして、昨夜、プールBで、前半リードしていたサモアだが、33-36でスコットランドに惜敗し、日本の決勝トーナメント進出の可能性が消えてしまったのは残念だ。
でも、今夜の、予選プールリーグ最後の日本―アメリカの対戦では、納得のいく試合で、有終の美を飾って欲しい。日本は、Bプール予選での3位が確定しているが、4年後のワールドカップ日本大会に向けての、日本代表の今後の活躍が期待されるところだ。
上記の前稿で述べたが、筆者は、ラグビーについては、大まかには知っているレベルだが、一歩踏み込むと、ルールは可なりに難解である。
本稿では、いい機会なので、今後の楽しみのために、競技のルールについて、取り上げてみたい。
◎競技用グランド
ラグビー競技用グランドは、サッカー用競技場と同様の形状と広さで、境界線等の呼称や長さは、下図のようだ。日本国内には、都内の秩父宮ラグビー場、大阪の花園ラグビー場等、サッカーと兼用できる施設など、多数ある。
幾つかある境界線(ライン)の中で、通常、重要なのは、下記で太字で示した、ゴールライン・ゴールポストとハーフウエイライン、タッチラインだろうか。そして、ゴール手前5mにある点線のラインは、これが、攻防の境目となることが多い。
ハーフウエイライン(half-way line)
10mライン(ハーフウエイから10m)
22mライン(ゴールラインから22m)
5mライン(ゴールラインの5m手前)
ゴールライン・ゴールポスト(goal line・goal post)
ボールデッドライン
タッチライン(touch line)
5mライン
15mライン
◎選手の人数とポジション
ラグビーは、15人で戦う競技で、それぞれに、ポジション名がついている(7人制のラグビーもある)。これを覚えるのが一苦労だ。
攻める方向で、前方の8名をフォワ-ド(Forward)、後方の7名をバックス(Backs)と呼ぶようだ。それぞれで、さらに区分けがあるようだが省略する。
フォワードには、スクラムを組む重要な役割があり、それぞれのポジションの略号、人数、名前(日本語、英語)は以下である。
略号 人数 日本語 英語
HO 1 フッカー HOoker
PR 2 プロップ PRop
LO 2 ロック LOck
FL 2 フランカー FLanker
NO8 1 ナンバー8 NO.8
バックスについても、各ポジションは、以下のようになっている。
SH 1 スクラムハーフ Scrum Half
SO 1 スタンドオフ Stand Off
CTB 2 センター Center
(Center Three Backs)
WTB 2 ウイング Wing
(Wing Three Backs)
FB 1 フルバック Full Back
スタメンの場合は、ポジションと背番号が一致している場合が多いが、途中で交代すると、変わってしまう。NO8は、背番号がポジション名になっていて面白い。
15のポジション名や略号や、更には、その選手名を覚えるのは一苦労だが、競技中は、入り乱れるので、どの選手がどのポジションをやっているかも、はっきりしなくなる。
ポジションが固定するのは、スクラムメンバーだけで、それ以外は、任意だろうか。
◎競技
ラグビーは、独特の形をしたボールを、相手陣地まで持って行く競技で、それ自体は、かなり単純だ。ネットには、初心者が観戦するのに、最低限、以下の4つのルールを覚える必要がある、と出ている。(ラグビー観戦初心者が覚えておくべき最低限のルール4つ)
- ラグビーは陣取りスポーツである
- ボールを前に投げてはいけない
- ボールを前に落としてはいけない
- ボールを前に蹴るのはOK
これに加えて、色々なルールがあり、それに対応した反則が、細かく決められている。
○ 得点
・トライ(try)
相手陣地(インゴールエリア)にボールを手で着地すれば得点 5点
・コンバーションゴール(conversion goal) トライすると、無条件でキックができる。キック地点は、トライ地点のタッチライン並行線の延 長上。
通常は、地面にセットしてキック。ゴールポストの間を通過すれば得点 2点
・ペナルティゴール ペナルティのあった地点で、ペナルティキックを選択できる。通常は、地面にセットしてキック。ゴールポストの間を通過すれば得点 3点
実際の試合を観て思うのだが、ゴールを狙うキックの成否は、誰にでも分るのだが、トライの成否は、分りずらい場合も多く、はらはらする。ゴールライン近くの5mライン周辺で、両軍が団子状態になって激しく競り合う場合など、トライがあったのか、なかったのか、良く分らない。
肝心の審判にも分らない場合は、ビデオ映像での判定になるが、このケースを、数回観ている。最近は、バレーボールや野球でのチャレンジや、大相撲での物言い等で、このような、ビデオを使った判定が広く取り入れられているのは、嬉しいことだ。
○ 反則(ペナルティ penalty)
反則は、審判が判断するが、軽いものから、重いものまで、色々あり、主なものとしては、以下等だろうか。
*軽い反則 (前出の、4つのルールへの反則)
・ノックオン(knock on)
手や身体に触ったボールを、前方に落とす(キャッチミスなど)
後ろへ落とすのはOK
・スローフォワード(throw forward)
ボールを、自分より前に、手で投げる(脚で前に蹴るのはOK)
・ノットストレート(not straight)
ラインアウトで、中央に真すぐでなく、味方に有利な角度で投げ入れる
⇒いずれも、相手ボールのスクラムで再開
*重い反則
・ノーボールタックル(no ball tackle)
ボールを持っていない選手をタックル
・オーバーザトップ(over the top)
ラックで相手側に倒れ込む
・ノットリリースザボール(not release the ball)
タックルで倒され、団子状になり、ボールを外へ出せなくなる
・オフサイド(off side)
ボールより前にいた選手が競技に参加
・オフザゲート(off the gate)
ラックへ横から参加(後ろからの参加がルール)
・オブストラクション(obstruction)
ボールに関係していない相手の動きを妨害
・ハイタックル(high tackle)
首から上をタックルする危険なプレイ、
・ノーボールタックル(no ball tackle)
ボールを持っていない選手をタックル
・ピックアップ(pick up)
ラック中のボールを手で拾い上げる 等
⇒ペナルティキック
*極めて重い反則
・極めて危険なタックル
・トライの意図的な妨害 等
⇒イエローカード 10分間退場(シンビン sin―bin)
⇒認定トライ(penalty try)
今大会の、日本―サモア戦で、日本がこれで得点している。
軽い反則でも、一瞬の動作のノックオンの場合等は、気が付かない事も多い。又、団子状態になると、最初は、どうだったのかが分らないことも多く、ノットリリースザボールは多いが、倒れたプレーヤーが、ボールを放そうとしても、出来ない場合が殆どだ。
サッカーでは、唯一難解なのがオフサイドのルールで、先回りを規制しているのだが(高級戦術でもあるが)、ラグビーにも、このオフサイド(off side)がある。
考え方は、先回りを規制するもので、ボールより先の位置にいる選手は、プレーに参加してはいけないというルールのようで、色んなケースがあるようだが、試合の中で、咄嗟に理解するのは難しい。
試合を行う選手ならともかく、観る側の観客としては、折角、審判がいるのだから、反則等の判定は、審判に任せればいい、と割り切って、ボールの動きを楽しみ、行方を追えばいい、とも言えようか。
ラグビーのルールを、殆ど知らないワイフKが、先日、ある対戦を観ていて曰く、
“解りやすいゲームね”
と来た。「ボールを中心にした、人間集団の動きが、手に取るように分る」、と言うのだ。
生半可にルールを知っている当方としては、審判の笛が鳴っても、良く分らない状況の場合は、何の反則だろうと、気を揉むのだがーー。TV中継によっては、反則の内容を、横の字幕で表示して呉れるものもある。
一般の球技では、競技者同士が、意図的に接触することは、禁止事項だ。そんな中で、例外的にタックルも許容し、肉弾戦となるものの最たるものが、アメリカンフットボール(アメフト)で、それに次ぐのが、ラグビー(・フットボール)だろうか。
イギリス生まれの、同じ、サッカーから始まった同根の球技だが、次第に、何でもありに変化(進化)していった経過が面白い。この辺について、当ブログの以下の記事で、触れたことがある。
サッカー南アフリカ大会 その3 (2010/7/23)
[余談]: トライの後、コンバーションキックが行われるが、どうしてあのようなルールになっているのか、コンバーションの意味は何なのか、やや疑問に思い、調べて見た。
以下に、ネット記事を引用させて貰う。(Web Intelligence: Webサイトにおけるゴールをコンバージョンと言うが、その意味は?)
「昔ラグビーはトライ3点、コンバージョンキック2点というルールでした。
さらに言うと、そもそもラグビーが始まった当初はトライ自体には点数がなく、トライし、さらにトライ後にキックを決めて初めて5点が得点されていました。キックでゴールを狙う権利を得る、キックをトライ(試す)する権利を得る意味でトライアットゴールと呼ばれていたようです。
この歴史から、「ラグビー」は「ラグビーフットボール」であり、キックを重要としているスポーツと理解することができます。
現在のルールでは、トライは5点、その後にキックを成功させることが出来れば追加で2点が得点され7点になると理解しています。実は、この理解は少し間違っていて、追加で2点ではなく、トライが5点、その後ゴールを成功させれば5点から7点に点数を変換するという意味とのことです。フットボール、キックの重要性が、ラグビーにはまだまだあります。」