2012年6月6日(水) コーヒーの楽しみ サイフォン
我が家では、この所、パンとコーヒーの朝食が、すっかり定着しており、そのコーヒーは、長年、コーヒーサイフォンの御世話になっている。借用した下図は、サイフォンを構成する、主なパーツを示したものだ。(サイフォン:おいしいコーヒーを淹れる | ハリオグラスネットショップ)
そのサイフォンだが、今年初め、一寸した不注意でぶっつけてしまい、上ボールの足管という長い部分の先端が、欠けてしまったのだ(後出の写真)。 これまでも、この部分の損傷は、何度も経験済みで、その都度、銀座の某デパートに電話しては、部品を取り寄せてきた。
今回は、欠けた部分が、粉々にはならず、使えそうなことから、上ボールの新品を取り寄せる前に、接着剤でくっ付けてみることにした。
100円ショップで、ガラスに使えそうな接着剤を探し、くっ付けてみた。2日ほど置いて、固まったと思えたので、実際に使ってみたら、最初は、よさそうだったのだが、数日して、簡単にポロリと、取れてしまった。
固形化するまでの時間が足らなかったのかもしれないと、改めて接着し直し、数日置いてから使ってみた。今度は、暫くは良かったのだが、やはり、剥がれてしまった。
接着剤にとっては、 接着した先端部分は、アルコールランプで沸騰させた湯の中という、過酷な条件下で使うこととなるので、もともと、かなりの無理はある。 接着を繰り返す内に、割れた接触面などが、次第に、コーヒー色になり、ややグロテスクで、接着剤の付きも悪くなってきている。 都合、3回ほど接着を試みたのだが、どうしてもうまくいかず、諦めることとした。
最後の手として、物は試しと、接着せずに、足管の先端が欠けたままで、使ってみる事とした。欠けている分だけ管長が短くなるので、湯が沸騰した時に、下ボールに残る湯量の水位が高くなり、その分、上ボールへ上がる湯量が少なくなるので、果たして、挽いたコーヒーの粉から、十分コーヒーが浸出できるか、心配である。フィルターを固定する鉤を引掛ける場所が、可なり狭くなるのも気になるところだ。
兎も角、恐る恐るやって見たら、湯量の3/5位は上がって行くので、何とか浸出は、出来るようだ。
こんな感じで、2~3か月の間は、欠けたサイフォンで、コーヒーを淹れては飲んだのだが、物を大事に使う、と言う感覚を通り越して、何とも気分がすっきりしないのだ。
結局のところ、前述の、いつものデパートに電話して、部品を、取り寄せて貰うこととした。幸いに、メーカーに、部品の在庫があるようで、程なくして、新しい上ボールが届けられたが、送料込みで、3000円程であった。
早速、新品を使って、本来の道具立てでコーヒーを淹れたが、すっきりと綺麗にコーヒーが出来、久々に、ゆったりとした、良い気分を味わった次第。
新品が届いても、非常用として、旧品も捨てずに取ってあるので、先日、改めて、新旧双方で、コーヒーを淹れて見た(旧は、湯を沸かすだけ)。
下の写真では、足管の先端部分の様子と、沸騰して湯が上ボールに上がって行った状態での、上、下ボールの湯の様子を、比較して示してある。^
沸騰した時に、下ボールに残る湯量の水位には、1cm位の差はあるだろうか。
正常なサイフォン(上ボールが新品)
先端部分 沸騰状態(上ボール) 沸騰状態(下ボール)
一部壊れたサイフォン(上ボール先端部が欠けた旧品)
先端部分 沸騰状態(上ボール) 沸騰状態(下ボール)
使い古した道具は、味わいがありいいものだが、一部が壊れた道具を、騙し騙し使うのは、いつ駄目になるかと落ち着かず、何とも、気が晴れない事であることを実感した。
所で、今使っているコーヒーサイフォンは、大分前、知人から、当方の結婚15周年記念に頂いたものだが、以来、30年以上にはなるだろうか。この間、下ボールはそのままで、上ボールだけ、何度となく、壊しては取り替えている。
その都度、耐熱ガラスメーカーの、ハリオグラス社から取り寄せて貰ったのだが、未だに、部品があると言うのは驚きである。
家電製品などでは、修理用部品の保存期間(5~9年程)が決まっていて、それを過ぎた製品については、部品が無く、修理が出来ないのが当たり前なのだ。
今回、同社のネットショプサイトで、改めて調べたら、新品のサイフォンセットとして、同じ系列の3人用の物が今も売られており、それ用の部品類もあるようだ。でも、我が家で使っている5人用のセットは見当たらず、部品についても扱われていないようだった。
メーカーに直接問い合わせることはしなかったのだが、にも拘らず、デパート経由で、5人用の部品がちゃんと届けられたのは、又、驚きなのである。
ハリオグラス社のサイトには、30年は、スペアのパーツを用意しています、とも書かれてあり、経営的な負担も大きいと思われるのだが、社としての姿勢に敬意を表したい。
コーヒーと言えば、最近は、インスタントコーヒーや、缶コーヒーが幅を利かしていて、コーヒーメーカー利用者は、そんなに多くはないであろう。まして、各種コーヒーメーカーが出ている中で、未だに、サイフォンにこだわる人種は、極めて少数派だろうか。
このサイフォンの楽しさや魅力については、稿を改めて触れる予定だが、本稿の最後に、サイフォンには欠かせない、アルコールランプについて一言。
つい先日、近くの薬局に行って、若い女性店員に、“燃料アルコール、下さい” と言ったら、その店員、暫く、きょとんとした後、“当店では、アルコールは扱っておりません” との返事である。
少し前にも買ったので、そんなはずはないと、確かめていたら、年配の店員が来て、“あ、燃アルですね” と、さっと持って来てくれたのである。最初の女性店員は、通常の、飲むアルコール、と勘違いしたようだ。
燃料用アルコールは、薬局でも、一頃は購入者も多く、注意して扱われた品物だが、最近は、事程左様に、少数派なのである。
この燃アル、用途欄には、サイフォンの他には、アルコール専用コンロや、CDのクリーナーとしても使う、等と書いてある。今後、燃アルが買えなくなったら、サイフォンは終わりになる訳だが、勿体ないが、度数の高い、飲むアルコールを燃やして見る?!