ケイの読書日記

個人が書く書評

高木彬光「呪縛の家」

2008-05-03 08:52:57 | Weblog
 昭和25年ごろ、奥多摩の山村にある広大な紅霊教本部で、事件は起こるべくして起こった。
 戦時中は軍部と結んで大発展した新興宗教の紅霊教も、戦後は全く衰え村人全体から忌み嫌われている。
 信者はほとんど去り、残ったのは荒れ果てた豪邸だけ。その屋敷で教祖の孫娘が湯船の中で血まみれになって殺されていた。これが恐ろしい連続殺人事件の幕開けだった…。

 先日読んだ『聖アウスラ修道院の惨劇』では、狂信的な信者の犯罪だったが、この紅霊教では、こっけいなほど誰も教えを信じていない。
 教祖だけは昔あった予知能力をなんとか復活させようと懸命だが、彼をとりまく紅霊教を再興させようという親類縁者たちの目的は、カネ、カネ、カネ…。

 以前勢力を誇っていた時『神のお告げ』といって信者から金を巻き上げた時の甘い夢が忘れられない。

 新興宗教って本当に儲かるみたいね。信者が10人いれば教祖は食べていける、と聞いた事があるけど、それプラス、好きなだけ女性信者をつまみ食いできるんだから、本当に『三日やったら辞められない』だろうね。

 話がそれてしまった。本題に戻すと、この作品の出来は並という所か?
 第一の殺人は、それなりにトリックに工夫がみられるが、第二第三の殺人はトリックらしいトリックも無い。
 神津恭介も登場するが、お疲れのご様子。
コメント
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