ケイの読書日記

個人が書く書評

綾辻行人「時計館の殺人」

2008-01-19 10:05:56 | Weblog
 とても雰囲気のある秀作。『眠りの森の美女』や、ルパン3世の『カリオストロの城』を思い出した。

 
 鎌倉の森にたたずむ洋館『時計館』。10年前、主の14才の娘が死んでから、自殺、事故死、病死と次々と不幸がその一家を襲う。
 その不吉な時計館に取り付いている霊たちと交信しようと、霊能者、大学の超常現象研究会のメンバー、雑誌編集者たちが交霊会をおこなうが、その後霊能者が行方不明になってしまう。
 残った人々も館に閉じ込められてしまう。
 そして、連続殺人劇の幕は切って落とされた。


 『十角館の殺人』でも強く感じたが、館に閉じ込められた人たちって、どうしてまず飲食物に注意を払わないんだろうか? 午前0時に寝て、全員が翌日の午後以降目覚めるなんて、どう考えてもおかしい。
 普通だったら、一服盛られていると疑う人がいるだろうに。

 また、こんな凝った屋敷を建てた時計会社社長なんだから、隠し部屋や、秘密の通路があって当然と思うが、あらかた殺人が実行された後で、やっとそれに気づくのも不自然。

 それに、いくら弱い睡眠薬を飲まされ体調が悪いといっても、若い成人男女がそろっているんだから犯人を返り討ちにする可能性も大きいだろうに、皆あっけなくやられていく。


 文句ばかり書いたが、とても大掛かりなトリックが使われていて、なぜこんな窓の無い半地下の建物を作ったのか、最後にその謎が解き明かされる。
 館シリーズを皆読んだ訳ではないが、その中でも優れているのではないだろうか?
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする