陸に上がったカッパの海無し県生活

潜りから漁師へ。身体を壊し船を下りた。
海の話、釣りの話。脳脊髄液減少症。

個性

2006-07-05 01:37:52 | Weblog
つい最近ある人から、
ちょっとしたプレゼントを戴き、久し振りに人の親切に触れたような気がします。

その戴き物の中に一冊の詩画集が入っていて、今日は、その本を読んでいたのですが、
その中に、個性の事を書かれていた短い詩がありました。

それを読んで、僕は、ある遠い日のことを思い出しました。
あれは僕がまだ小学生だった頃の国語の授業中のことだったと思います。
その日は、絵を描かされました。
何故、国語の授業で絵なんでしょう?
確か、ある一編の詩を読んで、感じた気持ちを絵で表現してみなさい。
そんな授業だったと思います。
国語の授業で、そんなことをさせる教師の発想も面白いものです。
僕の子供の頃は、そんな型破りの教師が多くいたものです。

そして、その絵の発表の時、ある女子生徒の順番が回ってきて、
一枚の画用紙を見せました。
その瞬間、周りの生徒達からは失笑とも取れる笑い声や、
「ふざけてる」とか、「バカじゃね~の」そんな言葉が飛びました。
その絵は、一枚の画用紙一面を鮮やかな黄色一色で塗り潰しただけでした。
先生は、その事には触れず、あなたが選んだ詩を読んでみなさいと言いました。
僕には、その詩が誰の詩だったかは思い出せません。
確か、菜の花が野原一面に咲く光景を書いた詩だったと思います。
こんな書き出しではなかったでしょうか、「あたり一面に広がる黄色、黄色、黄色・・・」

そして、その詩を読み終わって、先生は静かに口を開きました。
「あなたの感性は素晴らしい。普通の人には、あなたのような発想は出来ない」
こう言ったのです。
その一言で、最初はバカにしていた生徒達も、シーンとしました。
こういうことが、個性を伸ばしてくれるのではないでしょうか?
でも、他の教師だったら、その生徒は叱責されていたかもしれません。
そして、その人の才能を潰していたかも知れません。

小学校の頃の授業風景など、他には何一つ思い出せない僕ですが、
その日のことだけは、今でも鮮明に思い出すことがあります。