一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

茄子 アンダルシアの夏

2005-08-17 | キネマ
外出するのも暑いので、ビデオを借りためてきて見てました。
雑感をまとめて2,3回アップします。

まずは「茄子 アンダルシアの夏」

この作品はDVDより前に原作(コミック)を読んでました。
原作は「茄子」という茄子をテーマにした連作(!)の中の短編です。

原作者の黒田硫黄という漫画家は、中学生の頃思い浮かべたような「素直な空想」と「ドラマチックではないけど無為に過ぎていっているわけでもない」日常を混在させて、てらいのないストーリーを独特の画風(女の子の顔は確かにジブリのキャラクター風ですが、それ以外は全く違います)で描く人です。
(うまく表現できませんが・・・)


ストーリーはプロの自転車レーサーが主人公の話です。
原作に忠実に(原作が短編なのであまり変える余地もないのでしょうが)進みます。

僕は自転車レースはニュースで「ツール・ド・フランス」を見るくらいで詳しくないのですが、アニメでは、レースの実況中継を描きながら、ルールやチームの構成やかけひきの醍醐味をうまく伝えてくれます。

レースもいろいろな視点から(レーサーの眼から、路肩から、先導車から、またヘリから隊列の変化をとらえるなど)リアルに描かれ、それだけでも十分楽しめます。

「茄子」の2巻目のあとがきに、監督の高坂希太郎氏(「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」の作画監督)が
「ダンシング(立ちこぎ)しながら(ペダルの)回転数を上げつつシフトアップして、チェーンが小さいギアに移って行くところを前から描くのはけっこうムズかしいですね」
ととてもマニアックなことを言っていたという逸話がのってますが、もともと自転車レースが好きな原作者と、メカや乗り物を描くのが好きなジブリの組み合わせが魅力的な映像になったようです。
(上のシーンはゴール前の市街地でのデッドヒートに生かされています)

レースのゴール直前のスパートのシーンのレーサーの必死の形相だけは、ジブリの画風を捨てて、黒田硫黄の画風にしたところなど、いいコラボレーションになってます。
その意味では原作を先に読んだほうが結末はわかってしまいますが、楽しめるかもしれません。


元が短編なので、DVDも60分くらいであっさり終わってしまいます。
なので、劇場で観たり、DVDを買ったりした人(で自転車レースファンやジブリのファン以外の人)には不満も残るかもしれませんが、レンタルで借りて窓の外の夏の日差しを感じながら、画面の中のアンダルシアの青空の下に繰り広げられる自転車レースを見るのはお勧めです。
※その際のお相手は、ビールでなくワインにしてください(楽屋オチ)


(こちらがDVD)







(こちらが原作)








コメント (2)
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