玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

恥ずかしい景観

2006年11月25日 | 日記
 十二日の景観シンポジウムで、ギャラリー「十三代目長兵衛」の曽田文子さんが、市内青海川の鴎ケ鼻にある「恋人岬」のことを“恥ずかしい景観のひとつ”と指摘していた。どのメディアも報道しないだろうから、詳しく伝えておきたい。
 曽田さんは、「自然の中に描いた“落書き”」だと批判し、その「感性を疑う」とまで言った。あるいは「人前でキスをするような」と形容し、「あの穢らしさは許せない」と発言した。まったく同感である。
 最初は岬の突端に設置された柵に、若い男女が恋人であることを証明する鍵がいくつかつけられているだけだった。その後どんどんエスカレートして、ハート形のついた鍵が無数に増殖し、しまいには壊れた鍵の墓場までつくられているという。
 極度の高所恐怖症で、あの地点に長く立っていることができないため、初期の頃の様子しか見たことがない。しかし当初から、あの絶景の地にふさわしいものとは到底思えないでいた。
 鴎ケ鼻は、海の柏崎の中でも最も優れた景観を誇る景勝地である。その景観を汚すものであることは明らかで、「恋人岬」の名称(勝手につけただけだが)の縁でミスグアムが訪柏した時も、そこまで取材に行くことはなかった。
 現在“おぞましい光景”にまでなっているのなら、その美しい名前のためにも、一時も早くあの柵を撤去してほしい。そうでなければ鴎ケ鼻を訪れたくないし、訪れないだろう。
 ところで、景観シンポジウム終了時に、パネルディスカッションで話題になったいくつかの景観を再確認しようと思ったが、すでに展示写真は撤去されてしまっていた。行政らしい迅速な行動である。参加者が少なかったからいいようなものの、もう少し配慮がほしかった。

越後タイムス11月10日「週末点描」より)


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