玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

中華饅頭

2007年01月19日 | 日記
 おだやかな正月だった。三カ日に初詣に出掛けた人が一億人もいたそうであるが、残りの二千万人の一人として、じっと家に籠もって本を読んだり料理を楽しんだりしていた。帰省した娘も料理に凝っているので、今まで食べたこともない料理を何品か食べさせてもらった。おいしかった。
 近頃は、つくったことがない料理をつくるのに、料理本なんかいらない。インターネットで調べれば、ありとあらゆる料理のレシピが揃っている。しかも写真付きで。レシピをプリントして材料を用意し、台所でプリントを見ながら、未知の料理に挑戦することができる。
 本屋に行くと、いろんな料理本が売っているが、インターネットの影響で売れ行きは落ちていることだろう。しかし絶対お薦めの一冊がある。大阪あべの辻調理師専門学校編の『中国料理プロの隠し技』という本で、光文社のカッパシリーズの一冊である。
 この本、料理本なのに写真が一点も載っていない。時々イラストがある程度。モノクロでほとんど文字ばかりの本だ。今どきこんな料理本は珍しい。平成五年発行だから、今手に入るかどうか分からない。
 大切なことは、すべて文字で書いてある。じっくり読まないと理解できないから、本を見ながら料理をするという訳にはいかない。あらかじめきちんと読んで、段取りを立ててかからなければならない。中華料理店の企業秘密に属するようなことがいっぱい書いてある。
 プロの味のチャーハンの作り方をこの本で学んだ。麻婆豆腐も麻婆茄子もこの本で覚えた。東坡肉(豚バラ肉の煮込み)をこの本に書いてあるとおりにつくると、本物の中華料理店の味になる。嘘みたいだが本当だ。ただし、調理に四時間くらいかかるので、めったにつくることはない。
 中華饅頭が食べたくて、参照しようと思ったが、この本には載っておらず、やむなくインターネットに頼ることにした。意外と簡単でうまくいった。市販の“肉まん”なんか食べられなくなりますよ。

越後タイムス1月12日「週末点描」より)


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