蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

「江戸城再建を目指す会」の発足-夢ある話では!?-

2006-05-19 01:37:42 | 日常雑感
 5月18日(日)雨のち曇り。終日肌寒し。

 今日、夕方NHKラジオを聴いていたら、「江戸城再建を目指す会」が、発足したとかでその会長の小竹(おたけ)氏と、担当アナウンサーとのやりとりを何気に耳にした。
 21世紀は、世界中が文化の魅力の時代とかで、新しい東京のシンボルとして、昔のままの木造五層の天守閣として再建したいとか…。

 一瞬「へえー?」と思った。実は、私ももう何年も前から、皇居東御苑内の天守台跡に昇るたびに、ここに明暦(1657年1月)の大火・振袖火事(江戸の市街の約6割が焼失したという)の延焼で焼け落ちた、往時の天守閣が復元されたらどんなに好いだろうなといつも思っていたからだ。
 
 鈴木知事の時代、当時、都庁を今の新宿に移転させることに、東部地区住民から強い反対があり、それへの見返りとして現在の両国に江戸東京博物館が造られたやに聞く。その江戸東京博物館建設の話を聞いたときにも、徳川幕府、江戸時代の象徴そのものである皇居があるのに、何故そこに建てず、隅田川の向こうの両国くんだりに建てるのかと疑問に思った。

 今頃、皇居に江戸城天守閣復元なんて、時代遅れの歴史かぶれの私のような物好きだけかと、密かに胸の奥深くに暖めていたところ、広い世間にはやはり同じことを考える人がいるものと、急にうれしくなった。

 是非、実現させたいものだ。その天守閣の中に、徳川幕府関係の資料を展示し、徳川時代歴史博物館とすれば、実に有意義なことではないか?。

 ただ、唯一の難点は皇居に隣接しすぎていることだろう。今でさえ周囲のビルの建替えに際し、天皇様のお住まいが見えるとか見えないとかで、大騒ぎしているというのに、そこに地上5階の天守閣となると、宮内庁あたりが何と言い出すことやらと、案じられる。

 尤も、以前、東京の光化学スモッグがひどかった時期には、あのような廃気ガスの坩堝のような所に、賢きお方を御住まいいただくのはいかがなものか、多摩丘陵の方へ皇居を移転してはとの話が出たようにも記憶する。
 確かに、今の皇居は徳川家の跡であり、いわば臣下の家に引越しされたような具合であり、機会がれば、多摩丘陵の方が皇居の地に相応しいのではないかとも思える。

 まあしかし、それはそれとして、現在、江戸文化が関心を集めつつあるが、今後は日本人のみならず世界中の関心が高まると確信する。
 さすれば、東京駅の目の前で緑豊かな森とお堀と苔むす石垣、その上に巡らされた白い瓦葺の塀(これも是非一体として復元してもらいたいと願うのである)に囲まれて、その中にすっくと立つ白亜の天守閣は、正にワンダフル!、ビュティフル!ではないか?。

 これに反して、現在の、江戸東京博物館では、展示内容、建物ともに、何か今一つ焦点、視点が明確でなく中途半端な物足りなさを拭えない。
 やたらと長大かつ無駄なエスカレータのある吹き抜けばかりが目立つ、建物自体が江戸時代のイメージとは程遠く、どんな著名な建築家の設計になるものかは、忘却してしまったが(たしか磯崎新氏ではなかったか?)、私には違和感がある。
 もっともだからこそ江戸・東京となっているのだと云われればそれまでである。

 そこで、新設の江戸城天守閣博物館は、徳川時代ミュージアムに限定してもらいたいものである。
 とにかく、姫路城をはじめ日本の城ほど、簡潔で、凛々しく美しい建築物は、お堀、石垣、松の緑と一体となって世界中に類が無いと思う。

 そして、ついでと云っては軽々しいが、織田信長の安土城も、どなたか音頭を取られて、是非復元していただきたいものだ。
 これほど、日本人に人気のある織田信長、その信長が精魂込めて、いわば自身の生涯の集大成として建てた安土城、ルイス・フロイスがその華麗さを絶賛し、遠くローマ法王にまで屏風絵にして贈ったという名城。安土桃山文化、日本のルネッサンスとも言うべき時代の象徴として、こちらは安土桃山文化歴史博物館に特化してほしい。
 琵琶湖湖畔に、黒漆に金箔瓦葺きの安土城が再建されれば、これまた何と美しい景観が創出されることだろうか?

 こちらの方は、来る九月に、「総理大臣なんてそんなにいいもんじゃあないよ」と本音か韜晦か、嘯かれる、信長信徒の小泉大宰相閣下に、是非とも「安土城再建推進委員長」にご就任いただきたいものである。

 さすれば、小泉政権五年の新自由主義経済政策の恩恵沢に享受されている何とかファンド、何とかヒルズ族からたちまち巨億の寄付金集まって、秀吉の墨俣三日普請で完成すること疑いなしではないか?。

 いや、いや、世の中そんなに甘くは無くて、宰相降りた、唯の老ライオンなんかに、洟もひっかけてはくれないだろうか?。

 それは、ともかく江戸城再建には、この山家の隠居にも一万円ぐらいなら、一ヶ月好きなキリン本生を我慢して、何とか寄付できそうなので、是非とも我が目の黒いうちに完成していただいて、冥途の土産にしたいものだ。

と、思うこの頃さて皆様はいかがお思いでしょうか?