蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

生活保護費、横領公務員の心の闇?

2006-08-20 01:33:26 | 時事所感
8月19日(土) 晴れ、暑し。

 先日、京都市で、生活保護担当の公務員が、保護費を横領していた事件が報じられた。しかも、近年同様の事件が、他でも多発しているという。

 その背景には、公金の取り扱いの杜撰さ、担当者が定期異動で頻繁に替わることにもあると、記者はコメントしていた。

 私は、京都と聞いて直ぐに、先日の温情判決事件を思い出した。痴呆の母の看護で疲れ果てた息子が鴨川堤で親子心中を図った。しかし、彼は死に切れず被告人となり、執行猶予の判決を受けたのだ。
 彼は生活の行き詰まりから思いあぐねて、生活保護の相談に行った。ところが、にべもない門前払い同然の仕打ちだったという。

 その陰で、自分の横領のためには、使わなくてもいい悪知恵を、目一杯働かせたのだ。
 他の経理・会計部門とか、日頃人の顔より数字とお金をにらめっこさせられているのなら、まだ理解できる。

 それが、様々な事情で生活苦に喘ぐ住民を支援すべき、福祉の現場で、このような犯行を犯すとは、何てことだろう。

 私も昔、公務員初級試験に合格したとき、自分の貧しい生活を省みて殊勝にも一度は、福祉部門を志望した。しかし、その直後、現業部門の手当ての良さに惹かれて、たちまち宗旨替えした後ろめたい経験がある。

 だが、その後、研修やその他いろいろの機会に、福祉部門で働く職員といっしょになったことがある。その際、私は同じ公務員でありながら、一種の羨望の眼差しで彼らの仕事の話を聞いた。

 ところが、意外だったのは、ほとんどの者が、困っている人のためになんて、そんなロマンチックな意識を持ってはいないのだ。

 むしろ聞かされるのは、仕事で訪問する家庭での、家族関係や生活の乱れぶりの特異性ばかりであった。言外に、うんざり、どうしようもないよという諦念の思いが伝わってくるのだった。

 その後、厚生事務次官の「ゴールドプラン」汚職事件が大々的に世論を賑わした。
 彼も若き日には、自らの貧しい母子家庭を鑑みて、福祉行政に情熱をもって立ち向かったと聞く。

 その彼が、存分に役人として日頃の抱負を実現できる場に立ちながら、役人として、尤も恥ずべき収賄事件を、何故犯してしまったのか。

 私は、これらの見聞から、今では、私の如き欲深く心弱き者が、福祉の仕事などに就かなくて良かったと思っている。

 思うに、日々弱い人々に接して、法に基づいて定められた措置を執るにすぎないのに、それが何か自分の力でしてやっているような、思い上がった、傲慢な気持ちに知らず知らずなっていくのではないだろうか。

 生活に困って窓口に来る方々は、どうしてもお願い口調で担当者を仰ぎ見る視線になるのではないだろうか。それが相手の公務員の意識を錯覚させるのだ。

 生活弱者への公金、その貴重なお金を横領する行為、言語道断の所為である。
 だが、その背景に潜む人間心理の綾には、深い闇がある。

と、思うこの頃、さて皆様はいかがお思いでしょうか?


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
何と卑しい犯罪! (さくら)
2006-08-23 23:00:30
そういう部署には「人柄の良い誠実な職員」を配属してもらいたいですね。



そう思わなければならない事が悲しい事ですが。



もう古くなりましたが生活保護を受けながら携帯電話代を何万も払っていた畠山鈴香のことを思い出しました。



福祉は難しい問題が多く、職員も初心を忘れてしまうのでしょうか・・・。
返信する
歌を忘れたカナリアは…? (蛾遊庵徒然草)
2006-08-23 23:41:27
さくら様、ご多忙のなかコメントありがとうございます。



本当に、こうした公務員の存在、困ったものですね。岐阜県の公金詐取、組織を上げての裏金作り、ばれたら今度は残っていた現金を焼き捨てる。



どこまで、住民を馬鹿にしたらというか、舐めたらというか気が済むのか、襟首ひっつかまえて、地べたにゴシゴシしてやりたいものですね。



公僕としての原点、初心を忘れたかかる輩は、銀の舟などもったいないので、カチカチやまだったかの狸を乗せた泥舟に乗せて流してやりたいものですね。
返信する
稲田や野々村のやること等まだ序の口京都市にはニセ宗教法人を作って政務活動費詐欺を行った橋村市議 (許斐憲一)
2016-10-10 14:57:52
京都市伏見区醍醐東市営住宅は一応立て前は公開抽選に当選しないと入居できない事になっているがその実中身は八百長。老朽化したコンクリートブロック住宅を建て替える際先ず醍醐中市営住宅を5棟を新築しそこに全世帯入居させた。普通はそこで終わりのはずが、その少し上の丘陵地に醍醐東市営住宅を20棟新築した。その醍醐東市営住宅に一旦中市営住宅に入居して1年半程度しか住んでいない世帯を数件再入居させるという裏技をさせていた。引越しの度にかかる引越し費用は全て京都市の公費つまり税金である。その東市営住宅には京都市の正職員や運動団体の関係者が今でも住んでいる。その人間達に共益費や駐車場代金を集金させそのうちの役4割程度を助成金等と称して一部の人間達に手渡していた。勿論表向きは団地住民の為に使うという大名目ながらその実一部の人間達の遊ぶ金になっていた。誰も責任を取らない。このように本来住宅供給公社がせねばならない仕事を丸投げする位なら民営化すべき。そもそも供給公社の半分の人間はコネや縁故採用の為仕事をしない職員ばかりなのは仕方ないがこんなデタラメな事を行っている地方自治体は京都市だけであろう。京都市に自浄能力がまだ残っているならおかしな連中を追い出し、未だ仮設暮らしを強いられている東北や熊本の避難者達をもっと多数受け入れるべきと考える。
返信する

コメントを投稿