蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

「安倍ノミク」のまやかしを打破するには…

2013-10-25 23:00:27 | 時事所感
10月25日(水) 台風27号接近中。雨激しく降りつつあり…

 このところ、新聞・TVで政治・経済関係の記事を視聴していると、何だか得体の知れない不安な気持ちになってくる…。
 これからの日本、子や孫の時代にどうなってしまうのだろうか…と。
 何かとてつもなく大きな暗雲が空にかかっているような思いである。

 それは、「安倍ノミクス」とかの錦の御旗のような、まやかしの言葉に日本中が酔いしれているかに感じるからだ。

 ① デフレ解消のための2%のインフレ目標。
 ② そのための日銀によるとめどない金融緩和。
 ③ そして、全員参加の成長戦略とか…。

 だが、私の身の回りの現実はどうだろうか…。
 ここ、山梨では、大きな工場が次々に閉鎖や移転で県内雇用環境は悪化している。農業はTPPの結果如何に戦々恐々だ。
 私自身の年金も10%近く削減になるとの通知が届いた。
 ところが、消費税の方は、来年四月から8%にアップされるという…。
 こんな状況を前にして、誰が、今、満天下にかしましい「アベノミクス」の一大スローガンを信じる気になれるだろうか…。

 かてて加えて、集団的自衛権の見直し問題だ。これまでは日本国憲法の戦争放棄の規定に抵触するとして、行使できないものとしてきたものを、憲法解釈の変更により、これを認めていこう。
 もっと手っ取り早く言えば、アメリカが財政赤字で世界の警察官として、もうこれまでのようには他国の紛争解決に出て行けなくなったので、わが国がアメリカ軍に何かあったときは、自衛隊を助っ人にだせるようにしようということのようである。
 さしずめそうしないと、目下、風雲急を告げているかの尖閣へ、中国軍がいよいよ実力行使に出てきたときに、アメリカが直ちに援けにきてくれないかもしれない恐れを除こうとの魂胆からの思いつきではないのか。

 そして、アメリカと軍事的に共同行動を取ろうとすれば、日本の機密保持体制に不安があるので、これもアメリカ並みに厳しいものにしていこうということらしい…。

 これで、わが国は、いよいよもってアメリカの忠犬に成り下がろうというわけだろうか…。
 さらに、そうなれば、20万そこそこの自衛隊で足りるはずがなくなるではないか…。
 三年前の東日本大震災の際に災害救助のために10万に出動を巡っても、それでは通常の国防体制に不安を生じると議論があったではないか…。

 そこで次に出てくるのは、自衛隊倍増論ではないか…。
 幸いか不幸か、今の日本、非正規雇用の若者があふれかえっているのだ。失業救済のためにも一石二鳥…。いやその分正規雇用で、結婚も出来るようになれば、次は子どももうまれて経済的にも好循環がはじまるのではないか…と。

 その代わり、自衛隊に一度入ろうものなら、今後は、アメリカの戦略次第で、世界の何処へ連れ出されるかわからなくなるのだ…。

 今、安倍内閣が早急に取り組むべきは、空疎なアベノミクスの美辞麗句ではなく、先ずは、現在の労働基準法を厳格に企業・事業者に厳守させることではないか…。
 その違反には刑事罰を付するべきではないか…。
 かてて加えて、この際、残業を厳しく制限すべきだ。
 この措置だけでも、企業・事業者は新規雇用を相当数よぎなくされるのではないか…。

 全ての、企業、事業所で公務員並みの労働条件を厳守させれば、単純に見積もっても3割は雇用を増やせるのではないか…。
 もっとも、その分、現在、雇用されている人の年収は若干減ることとなるだろう…。
 いわば、これは現行法の下で、ワークシェアリングすることによって、安定雇用を生み出そうとするもである。

 そして、このことの副次効果は、皆が働く時間が減ったその分、自分の時間を持つことによって、もう少し、地域活動に参加したり、政治や社会、さらには人生・人間が生きる意味を考える時間をもてるようになるのではないか…。

 次に政府がやるべきは、企業の利潤配分を法定することだ。企業活動は、金・資本金だけでできるものでないことは自明だ。そこに働く人が居て、国家社会の安定があって初めて可能なのだ。だとすれば、利益は、公租公課を除き企業存続のための内部留保、株主配当、従業員への給与の3等分にすべきではないか。

 第三には、相続資産について一定額を遺族に控除したら、その残りは全部国家に収めるようにすべきではないか。
 そのことにより、次世代間の公平な競争が可能となり、経済社会活動の活性化がはかられるのではないか…。
また、そうなれば、老人がひたすら貯金することにより、経済活動を停滞させる幣も相当にふせげるのではないか…。

 そして今、究極の未来を見据えた第一歩は、EUの考え方の全世界への拡大をめざすことだ。

 今や、世界的紛争解決、金融問題、企業税制、環境問題、最低賃金問題どれひととっても世界的な合意が無ければ、にっちもさっちもいかないときにきているのではないか。

 今の全世界の閉塞状況は、大部分の識者、政治家はそのことがわかっていても、今現在自分が立っている場のさまざまなしがらみが断ち切れないジレンマにあり、その一歩を踏み出せないでいるからではないか…。