蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

尖閣、日中衝突の不幸!―全ての元凶は、石原天上天下唯我独尊都知事だ―

2012-09-18 12:48:16 | 時事所感
9月17日(月)晴れ。気温~26度、秋らしき一日。

 連日、報じられる中国各地での日系企業店舗や工場のデモ隊襲撃事件報道。それらの都市では日本語を話すこともはばかられるとか。
 
 日中国交40周年を前にしての真に不幸な出来事だ。その遠因は、これまで両国間で先人が、様々な苦心を重ね、智恵を尽くして結んできた、1972年の田中角栄総理の電撃的訪中による日中国交正常化(日中共同声明)、1978年の福田政権下での「日中友好条約」の調印、さらに近くは1998年、江沢民主席の訪日に伴う小渕首相との間での「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言に込められた心や願を、お互いに絶えず確認し大切にしてこなかったことにあるのではないか。

 中国側では、国力・経済の強大化とともに次第に周辺国に対して覇権主義的な行動がフィリピンをはじめ東南アジア諸国からも指弾されるようになった。

 一方、我国でも日中共同宣言の中で、「日中両国は2千年余にわたる友好交流の歴史と共通の文化的背景を有している…とし、双方は過去を直視し歴史を正しく認識することが、日中関係を発展させる重要な基礎であると考える。」と約束した。

 にも関わらず、我国の側では、首相自らが中国側の嫌がる靖国参拝を続けるとともに、民間の一部では南京虐殺問題はなかったとか、中国を刺激する言動が続いている。

 この間、我国では、教科書等で、過去、日本が明治維新以来中国や韓国に対してどのようなことを行ってきたかをどれだけ詳しく教えてきただろうか…。
 私自身でいえば、学校で習った歴史は明治維新前後で終わっており、その後のことは自分の興味にまかせての読書で知り驚くばかりであった。

 それによれば、1876年(M8)、日朝修好条規締結を機に日本の朝鮮への一方的な進出、それを巡っての当時、朝鮮王朝の宗主国を任じていた清国との軋轢から1894~5年の日清戦争、これが元となっての1904~5年の日露戦争をへて、終には1910年の韓国併合。そして1932年の満州国建国から日中戦争を経て1945年の大日本帝国の瓦解にいたるまで、いかに日本が朝鮮、中国を蹂躙してきたかを知った。

 今、問題の尖閣問題についても、岩波新書「日清戦争」-東アジア近代史の転換点- 藤村道生著(1973年刊)によれば、日本が日清戦争に勝利した結果、琉球の帰属に最終的結論を出し、さらに「固有領土の領域を確定し、…」したとある。
 すなわち、日本政府は、尖閣諸島がいずれの国にも属していないことを1885年以来調査し確認したうえで日清戦争中の1895年1月、沖縄県に編入したとされている。
 この経過等をさして中国側では、日本が日清戦争のどさくさにまぎれて中国から日本が奪ったと主張するのだ。

 そして現在、この決着が今後、日中間で如何なる結果になるかわからない危険な状況を惹き起こした直近の原因は、石原天上天下唯我独尊都知事閣下の「都が尖閣を地権者から買うことにした。その上で、漁港をつくり灯台を建てて、我国の領土であることを明確にさせる…」との爆弾発言にあったのではないか。
 その後、お金に困っていられるらしい地権者が、国と都を天秤にかけた結果、評価額の2倍以上ともいう、結構な云い値で買ってくれるという国に売り渡したということらしい。
 国にしてみれば、独尊閣下の手に渡ってしまっては、覇権国家をめざしはじめたかの中国という寝た子を起こすような、何をしでかすかわからないからの心配一途の配慮の結果だったのだろう。
 
 だが、その政府方針が明確に中国政府に伝わらなかったことから、今回の暴動デモの暴発により、日系企業の工場や大規模商店が焼き討ちにあうような大事にいたったのではないか。

 ところが、この事態を前にして、事の張本人の石原独尊閣下は、14日(金)の定例記者会見で
『「気が狂ってんじゃないかと思う。俺のものは俺のもの、おまえの物のも俺の物という形でやられたらたまったもんじゃない」と中国を批判。「追っ払えばいいんだよ。体当たりしたらいいんだ」とも述べた。自らの言動が日中関係を悪化させているとの指摘には「経済利益を失ったっていい。あの国の属国になることの方が、私はよっぽど嫌だね。」』(15日付け、朝日記事から)とのたまわったとのことだ。

 一千万都民の生命と生活を預かる都知事。何んと無責任極まる発言ではないか。簡単に面白おかしく勇ましく「追っ払えばいいんだよ。体当たりしたらいいんだ」とおっしゃいますが、では一体誰が、個々の日本国民にとっては、そんな一文にもならないような島のために体を命を張るというのだろうか…。
 
 先ずは筋金入りのヨットマンと伝え聞く石原独尊閣下御自ら昔平家の誉れも高き老武者斉藤別当実盛にならって白髪を黒髪に染めて、憂国の志士・有志・同士あい引き具しておでましになってはいかがか。

 そんな気概は毛頭無くて、それぞれ愛するまだ育てなければならない子供をたくさんいるだろう、海上保安庁の係官や、さらに事態が悪化して、いざとなれば、出動せざるをえなくなるであろう自衛隊員のひとたちのことを、簡単な楯や鉄砲玉ぐらいぐらいにしか思っていないとしたら、何んと云う思い上がりだろうか。
 具体的な場面で個々の人間がどのような思いをし、どのような危険な場に遭遇するかもしれないことに、自称大文学者を気取る独尊閣下に想像はつかないのだろうか。

 このお方、若き日に、当時の少数特権階級ともいうべき湘南お金持ちお坊ちゃま、お嬢ちゃまがたの恋愛ごっごをテーマに、○○○○の先で障子に穴開ける小説が、新し物がり屋の文芸評者の目に止まって、たまたまとった芥川賞を梃子に、運に恵まれてか、するする位人身を極めての思い上がりもいいかげんにしてくれといいたいところだ。
 一千万東京都民はいつまでこんな思い上がりの大法螺吹きのはた迷惑な大天狗をのさばらせておくのだろうか。

 それにしても、一連の報道を見ていての救いは、
『北京市の音楽家の男性(32)は無関心だった。「そこだけが盛り上がっているけど、一歩出たら北京は静かなもんだ。国家間の政治矛盾と僕ら庶民は関係がない」。家の家電はすべて日本製だ。
 国有企業に勤める北京市の女性(30)も「デモに参加するのは、暇人か学生。まともに仕事がある私たち社会人は興味ないわ」。一流大学を出て、北京市内のマンションで夫と1歳の長男と3人暮らし。何の不自由もない。ただ「物価は上がるばかりで、庶民の不満は高まっている。それが反日デモに表れたのでは」。 』(17日付け、朝日)とあったことだ。

袋叩きの“民主党!”―少しは弁護したくなった私は天邪鬼?―

2012-09-13 13:45:53 | 時事所感
 9月12日(水)晴れ後曇り、午後一時俄雨有り。まさに干天の慈雨。

 民主党も、自民党も代表選を前に喧々諤々である。そこへ今日はいよいよ橋本新党「日本維新の会」とかが結党旗揚げだ。

 そして、今や、政権与党「民主党」は、四面楚歌。世を挙げて袋叩きの大合唱だ。
 だが、山家の半隠居の天邪鬼は思う。
「民主党」そんなに世にいわれるほど国民の期待を裏切り無能な政権だっただろうか?
確かに自民党末期政権時の暗雲を一気に払い晴天の希望に燃える日本を明日にも招来できるかのバラ色のマニフェストはことごとく今や反古になってしまっている。
しかし、政党のマニフェストなんて、これまで我々有権者はどこまで当てにしてきただろうか…。

 そんなものどうせ政権欲しさ、当選したさの選挙目当ての空念仏と相場が決まっていたのではないか…。
 私に即していえば、「高速がタダになるのは、それはけっこうなことだ」ぐらいにしかあてにしてこなかった。
 
 とにかく、60年近くもほぼ自民党一党独裁に等しい政権が続いてきた中での溜まりに溜まったこの国の様々な歪、汚泥。
それをいきなり全部背負い込んでのお素人さん集団の旗揚げ興行だ。一体端(はな)から何ができるというのだろうか。

 天下国家を引き受けてみて、いざその米びつ開けてみた、思いもよらない借金の山。かててくわえて、3.11史上空前の東日本大震災、大津波。そこへ原発暴発、制御不能に等しい放射能禍。

 この原発だって、自民党政権下の置き土産だ。
 それにまだある沖縄の普天間基地問題。尖閣、竹島、北方領土に拉致問題。
 これだけの大荷物をいきなり背負い込まされて、一体どんなスーパーマンがでてききたら、パッパパッパと快刀乱麻、右へ左と伐り裁けるだろうか。

 自民党は、政権引継ぎにあたって、どれだけ我宗主国アメリカとの密約やなにやかやを引き継ぎしたのだろうか。おそらくはお手並み拝見とばかり何一つまともには引き継いでいないのではないか。特に沖縄問題等については。
 
 民主党が、どじったのは、この現実をまえにして、国民のまえに「実は政権をお預かりして蓋をあけてみたらこうでした。私どもが不勉強不慣れで申し訳ありませんでした。この実情を前に一から見直し勉強しなおして精一杯がんばりますのでどうか国民各位のご理解ご協力をお願いします。」と正直に実情を訴えなおさなかったからではないか。

 それどころか、なんとかそんな180度違う現実を、国民の前に示さず、誤魔化してつじつまあわせですまそうとしたところに国民の不信の深淵の全てがあるのではないか。

 そして今、自民党は、この敵失を前に夢よもう一度と、おなか壊したお坊ちゃまや天上天下唯我独尊閣下のひ弱そうなお坊ちゃまがちょかまか踊り出ようとの三文芝居だ。
 
 その上はたまた、西の方から、これまた俄か成金ならぬ似せ竜馬気取り連の河内音頭のおでましだ。こんな寄せ集めの俄か踊り集団に一体何が期待できるというのだろうか。

 民主党は、確かに政権をとる前には口にもしなかった消費税増税について、菅前総理といい、野田現総理といい政治生命をかけてもまでと再三口にしてついに実現してしまった。
 実情は、そこまでしなければ、日本の国際信用がガタガタになってしまうという現実があるからではないか…。

 それに原発事故の問題にしても、これに伴う東電への対応にしても、これが自民党政権下だったらどうだろうか。もっともっと問題を糊塗し隠蔽し東電の現体制を必死に庇ったのではなかったか。

 沖縄の問題にしても、鳩山元首相の確かに不用意な発言があって、はじめて、国民が沖縄の基地問題を我こととして考え直してみる契機になったのではないか…。

 そしてこの間、3年間の政権の試行錯誤は、良くも悪くも、現在の政治家の多くが政権与野党の立場をそれぞれ経験してみて、外野でわいわい騒いでいることの無責任さを嫌というほど自覚する契機となったのではないか…。
 
 私は、とにかく、小沢お騒がせガキ大将が居なくなった民主党の再生を期して、今一度我1票を託してみたい。