民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

南佐久郡小海町親沢の人形三番叟

2015-04-09 18:17:29 | 民俗学

 

 親沢の人形三番叟を見るという例会があり、日曜日に行ってきました。行きつけるか心配したのですが、ナビ任せにしたら順調に到着できました。2時間余りの行程でした。早く着きましたのでムラの中を散策してから、現地の方に概要をお聞きし、昼食を食べてから諏訪神社に移動しました。といっても、公民館を御旅所のようにし、ここで隊列を整えてから人形を先頭にして行列を作って関係者がお宮に移動するのです。お宮に安置された人形の頭は紙で覆われ、人形の周囲は注連縄で結界されていました。そして、鳥居をくぐる時に紙の覆いを頭からはずすのです。人形は練習用と本番用とがあり、本番用は祭りの日にだけ出して、終わるとその日のうちに木箱に納めてしまうそうです。これらのことから、人形が神聖視されていたことがわかります。

 諏訪神社は親沢と川平の2集落の氏神ですので、祭りは両集落のものとなります。拝殿に向かって左右に神楽殿があり、右側では川平の3頭獅子、左側では親沢の三番叟がおこなわれました。三番叟を目的に行ったのですが、芸能に関する予備知識のない者には三番叟そのものは理解が難しい(台詞が全くわからない)ものでした。弟子・親方・オジッサと役割を変えてそれぞれ7年ずつを勤め上げるという伝承システムは、村の秩序を保っていく上にもよく工夫されていると思いましたが、まさに経済外規制というやつで、ここで暮らしていくのは大変だと思わされました。無形民俗文化財に指定するのは簡単ですが、指定された側の、特に若者の苦労を思うと、民俗とは何かと考えてしまいます。

 てなことを考えながら、何とずっと立って見るのです。昔は村中が集まって立錐の余地もないほどだったが、立って見ていたのだそうです。中世の祭りは立って見るのかと思いました。地芝居だとござを敷いて座ってみるのですが。神聖なものを見るという感覚でしょうか。3時間ばかり見て、また車を運転して帰ったら、これがいけません。腰にきてしまいました。翌日温泉につかったりしましたがどうにもならず、結局その翌日の午前中は整形外科、午後が針とマッサージに行くはめになってしまいました。