教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

全国学力テストを生かせず TT);

2007-10-13 19:01:55 | 文化・芸術
2007年10月12日9時6分配信の 読売新聞によると

<今年4月、小学6年と中学3年を対象に実施された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果について、47都道府県すべてが、文部科学省から提供される市町村別や学校別の成績を公表しない方針であることが、読売新聞の調査で分かった>ということだ。

★主な理由は、①序列化や過度の競争を防ぐためらしい。また②一方、データの提供は当初予定より1か月半以上遅れていて、「結果を分析する時間が足りない」ということもあるようだ。

★文科省は、学力テストの平均点や問題ごとの正答率などを、クロス集計するようだ。国全体と都道府県別に分けて公表するという。さらに市町村ごと学校ごと生徒一人ひとりのデータがでるらしい。でも自治体は公表しない。。。

★それにしても③文科省が自治体や学校に提供する資料は、計約350万枚と膨大。で、印刷に手間取っているという。

★①の序列化だとか過度の競争が起こるのは、実は順番が逆だからだ。まず文科省は③をきちんと準備すべきだった。テストの結果は即日でるのがもっともよい。しかしそれは不可能だろうから、1000歩譲るとしても10日以内には結果をださなきゃいけない。半年過ぎれば、もはや生徒の理解領域は変化しているから、指導の役に立てますなんてのはお題目になり、結果だけが残る。結果だけが残れば、あとは序列化だとか競争力アップの数字にすぎなくなる。

★それは②も同じ。結果を分析する時間が足りないとは、何を言っているのかさっぱりわからない。テストの結果が出るということは、その分析も同時にでるということなのだ。結果と分析の間に壁をつくるから、分析が弱くなり、序列化に悪用される結果だけが残るのだ。

★もういいかげん、くだらない井戸端会議はやめたいものだ。テストの科学としてのきちんとした議論をしたいものだ。ああ、それからテストの科学に企業の論理をいれるのはダメだね。たとえばPDCA。これは課題解決の論理で、問題解決の論理ではないから。この発想は、たとえば自動車を作る時、自動車を販売する時などに使うんだなぁ。作業工程や販促過程で、不具合や、互いの思い違いなどのGAPを発見し、それを一つひとつ解決していくサイクル。しかしこのサイクル人間の存在問題に関しては解決できないので、最初からそのような問題は排除しているんだな。ここを分かった上で導入するのはかまわないが・・・。

★そこを無視して導入した場合、企業の論理と教育の論理はぶつかてしまい、ぶつかっていることに気づかないで混乱してしまう。Honda「発見・体験学習」のプログラムの制作にかかわったというより、メインスキームを全面的に舞台裏で作ってきたけど、いつもここでHondaさんとはぶつかってきたかな、ぶつかってきたというより、お互いに理解を深めることが私のほうでできなかったかったかもしれない。それは課題と問題の接点を見つけようとする私の立場と問題はかっこにいれるという企業の論理がそう簡単にはうまく接点を見つけられるはずもないので、無謀であったのかもしれない。コンフリクトの解決としては、妥協に甘んじることができなかったので、私が撤退せざるを得なかった。そんな経験があるがゆえに今回の全国学力テストにも同じような危うい構造がよく見える。

★誤解しないでもらいたいのは、企業の論理がダメだなのではない。逆に教育をサポートするのに企業の論理は必要だ。ただ、企業の論理で教育をすべてカバーできるというのは間違いだということなのだ。このことに気づいた学校が海陽学園だと思う。2年目にして学内で、無意識かもしれないが大きな転換をしようとしているように見える。