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手紙

2008年05月09日 21時14分29秒 | らくがき
 手紙が書きたい。
 最後に手紙を書いたのはいつだったろう?
 急にそんな変なことを考えた理由はわかってる。
 ぼくは今会社にいて、請求書を書いている。どうしてそんなに面倒な方法で請求書を出させるんだ? 何かのIQテストなのか? と痛感させてくれる得意先が2社ほどある。だからこの時期はぼくの苦手な事務作業がドーンとのしかかってくる。
 高校時代、試験勉強をしているときに思ったもんだ。ああ、本が読みたい、と。試験からの逃避であることは十分承知だった。それでも、英語の勉強なんかしているより、アーウィン・ショウの短編小説をペイパーバックで読みたかったのだ。同じ英語の勉強でも、ちょっと毛色の変わったことがしたかった。ロアルド・ダールが、フィッツジェラルドが読みたかったのだ。
 それと一緒だ。
 請求書を書いているうちに、ぼくは手紙が書きたくなった。
 手紙を書くのは、21世紀において容易な作業ではない。事務的なものなら別だ。でも、ぼくは事務的な作業から逃れたくて手紙が書きたいのに、なぜ、また事務に戻らなければならない?
 事務的な手紙じゃない手紙、20世紀末までは普通に行われていた手紙を送るという作業が成就するためには2つの要素が必要だ。
 1つは、手紙を書くための内容。なぜ、メールじゃなくて、手紙じゃないとだめなのか。
 もう1つは、その手紙を送る相手。メールじゃなくて、手紙を送る相手をあなたは何人持っているか?
 実は、この2つの要素、そのどちらとも、ぼくは持ち合わせていない。1960年代の生まれのくせに、ちゃっかり21世紀っぽい生活をしてしまっている。鳥のいない鳥かごのような、アトムの飛ばない21世紀に。
 ぼくはいつの間にか、手紙を書けない人間になってしまった。
 そしてよくよく思ってみたら、21世紀において手紙を書くには、つまり前述の2つの要素をクリアするためには、旅に出ることと、恋をしていることが必要なのであった。
 20世紀を生き抜いたみなさん、胸に手を置いて考えてください。
 あなたは今までの生涯、誰に宛てた手紙が一番多かったですか? 
 え、恩師? まあ、そういう人もいるかもしれませんな。
 え、両親? はあ、親思いの素敵な方ですが、マザコン・ファザコンの疑いもかけられやすいので注意して人生歩んで下さいね。
 ってえか、恋人におくりませんでした? 20世紀は。1980年は。いや、1980年は送ってないや。1980年、男子校出身のぼくは高校1年生で中学1年からずっと女の子と口もきいてなかったから。友人に手紙を出したこともなかった。
 初めて手紙を出したのは、高校2年のときに女の子と………って、ぼくの打ち明け話がしたいわけじゃないや。
 やはり、手紙は恋人に書きたい。じゃなきゃ、逆に貰っても読みませんよ、そんな手紙(そいつぁ言い過ぎだな)。
 で、場所だって、いつもんとこにいて、手紙は書きませんよ、現在。だって、書く内容がないもん。メールで十分だもん。
 だから旅に出る。
 人によっては旅先で出会った出来事や景色を携帯電話で写メール撮って送るんでしょうが、そこは是非、21世紀でも言葉で感動を綴りたい。綴って自分の言葉で恋人に送りたい。
 いつか、自転車でずっと旅に出たい。
 そのときは、誰かに手紙を書きたいな。 
コメント
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