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杉浦日向子「江戸塾」

2007年05月30日 09時59分05秒 | 読書
杉浦日向子 「江戸塾」      PHP研究所

 ご飯と飯の違いを知っていますか?
 大奥のトイレって、一生くみ出さないって知っていました?
 軽い口調で語られる江戸はとても不思議で魅力的な世界。
 普段イメージする江戸とはまるで違う江戸の世界。
 女性だって、ぼくたちのイメージだと「三年子なきは去れ」だの「三行半を書けばいつでも男の方から離婚できる」だの男尊女卑な江戸。
 でも、全然違う。「三年子なきは去れ」は武家の言葉。庶民はまったく様相が違う。なにしろ江戸は圧倒的に男が多い社会。結婚できただけでも男は感謝しなくちゃならない。だから朝ご飯を作って寝ている家人を起こすのは男の仕事。外に働きにいっている間に、奥さんは間男したり、カルチャースクールのようなもんに行ったり、あるいは自立のために小遣い稼ぎしたり。
 育児は男の仕事。ナンパは女の仕事。
 離婚して三行半を書いたら出て行くのは男。その三行半は離縁状というよりも、むしろ再婚許可証。もう結婚していないから好きに結婚できる証である。
 ほかにも、ほう、ほう、と頷くことしきり。
 時代劇がどれほど江戸をねじまげていたか。
 ひとつの時代に陰陽があるように、江戸時代だってユートピアじゃない。だけれど、江戸も案外いいんじゃない。この本を読むとそんな気になる。
コメント
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