毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

2007年 うどん祭

2007年08月17日 15時10分17秒 | 食べ物
 熊谷や多治見で気温の最高記録が塗り替えられようとしていた正午、気がつくとぼくは味噌煮込みうどんを作っていた。なんて季節感に乏しい食事。もしかして、M?
 いや、つい食べたくなって作ってしまって、食べて汗だるまになりつつ大変後悔したのだが、煮込まなければうどんは十分夏の食べ物としてやっていけるのではないだろうか。
 事実、今年の夏はうどんをよく食べた。とくに自転車で埼玉方面に出かけたときにうどんは多い。これは有名なのか、そうでないのか知らないのだけれど、埼玉のうどん度はかなり高い。以前新潟に行ったときに、どこで食べても枝豆がうまいのに驚いたが、埼玉のうどんがそれに近い。


 先日忍城見物の際、行田で入った店。「手打ちうどん」と書いてあるけどさあ、見るからにあまりうまそうな感じはしないよなあ、などと見くびっていたら、あにはからんや。

 出てきたうどんのおいしかったこと。昼の定食屋さんみたいなたたずまいなのに、うどんは専門店のうどん。コシ、喉ごしともにおいしい。思わずびっくり。

 ま、たまたまそうなのかな、と思っていたのだが、こないだ吉見町へ行ったときのこと。 お腹がすいたので道の駅へ入った。

 ドライブインみたいなもんで、味は期待できないけれど、暑くて暑くて、とにかく冷房のきいたところに入りたかったのだ。


 そこで頼んだうどん。手打ちだ、これ。
 よく見渡すと打ち場もある。


 これもコシ、喉ごしともに満足。
 これでもりうどん400円。
 埼玉のうどんレベルの高さを思い知った2007年の夏であった。
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萬盛庵

2007年08月11日 09時32分50秒 | 食べ物
 亡くなった杉浦日向子さんを中心に編まれた「ソバ屋で憩う」(いま手許にあるのは新しい版の「もっとソバ屋で憩う」だが)という、ソバ屋さん好きのバイブルみたいな本がある。
 いろんな名店が紹介されているのだが、その中でも冒頭を飾る「特撰五店」は杉浦日向子さんとソ連(ソバ好き連)が特別に大事にしているお店。
 並木藪蕎麦。ここの辛つゆと樽の菊正と午後に流れる時間がいいんだよねえ。
 室町砂場。蕎麦も素晴らしいが、仲居さんたちの客あしらいがまた見事。
 鞍馬。忘れもしません。杉浦日向子さんにほほえみかけられたお店です。
 傘亭。ぼくがソバ屋さん巡りを始めたきっかけになったお店。ご主人との一対一の緊張感がたまりません。
 と、4つのお店には行ったのだが、残りの1軒はなんと山形。なかなか行く機会がなかったのだが、今回山形を旅するわけでこれは是非詣でて来なくちゃ。
 お店の名前は「萬盛庵」。
 「もっとソバ屋で憩う」をひもといてみよう。

 「出されたソバは、水切れのよいキリリとした、見るからに小粋な細麺。つゆも熟成のまろみのある辛口。まさに江戸前だ」
 「ソバは、幾星霜連れ添った古女房以上に、あうんの連係プレーの完成した、地元製粉所に委託した地粉を、手ごね機械打ち。江戸前ののどごしを重んじて、小麦粉を、一、二割、そのときのソバのコンディションにより、九一、外二、二八の間で微調整する」

 期待できる。いや、なにしろ神楽坂の「たかさご」ですら入らない特撰五店である。期待できないわけがあるまい。


 山寺から車で山形へ戻り、いよいよ念願の萬盛庵へと突入。
 土曜日の正午チョイ前。
 ガラス戸を開けると客は誰もいない。おお、口開けのお客さんである、わたくし。
 ソバを注文して、庭を眺める。


 しばし待たされて来たのがこれ。せいろの上に4つの小山になって乗っている。
 細打ちで、星がきれいに入っていて、見るからにうまそうである。
 一口すする。
 うそ。
 無言ですする。
 残しても仕方がないので、どしどしすする。
 ゆで時間を間違えたのか、茹でてからおいたのかわからないが、コシがまるでない。当然喉ごしだってよくない。どっちを食べるかと言われたら、しまだやの流水麺を選ぶ。
 食べ終わる。時間は正午を回っている。客は相変わらずぼくだけ。
 何かが変わってしまったのだろうか。
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百丈

2007年07月20日 00時55分18秒 | 食べ物


 屋号「百丈」は黄檗宗の百丈懐海にちなんでるらしい。日本では臨済禅の一派みたいに捉えられているが、中国では黄檗宗から臨済宗が出ているわけで、日本の受容の仕方が逆だったせいだろう。
 国の登録有形文化財に指定されている店は3階建て。3階部分は展示スペースとして貸出も行っている。
 使う蕎麦粉の産地も表示されていて、この時期は十割で打っていると貼紙が。おお、ラッキー。川越へ出かけた理由のひとつがこの店だから、これは嬉しい。
 ビールのつまみに鴨と豆腐を注文する。
 豆腐もうまいが、絶品は鴨。うわあ。こんなにやわらかく、肉の味のよろしい鴨肉はもしかしたら初めてかもしれない。


 実は、このあと頑者に行く予定だったので、鴨と豆腐だけで蕎麦を注文。
 運ばれてきたお蕎麦。星がきれいに入っている見るからに美しい蕎麦。
 口にしてみると十割にしてはコシのあるきれいな歯ごたえ。喉ごしもいい。つゆもきりっと辛口でぼくの好みの味。うーん、幸せ。
 こってりとした蕎麦湯の愉悦に浸っていると雑事を忘れる。
 街並みもいいし、この建物もいい。
 大人になってよかったな、と少し思った。 

 お店は川越市役所の向かい側。
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最近の朝ご飯

2007年06月18日 07時23分15秒 | 食べ物

 最近は毎朝4時半から5時に起きます。
 自転車で40~50km走ってから会社で朝ご飯。
 自転車に乗るようになって、よく食べるようになりました(ま、そりゃ、それだけ走ればお腹もすくよ)。
 ぼくはもともと大食いの方で、高校生の頃などは昼間、ライスお代わり自由のカレー屋で9杯食べたあと、立ち食いうどんを1杯食べるなどという暴挙をたびたび行って参りました。
 その頃が戻ってきたかのようであります。
 今日も朝から冷製パスタ。
 しかし、ロードバイクを買って3ヶ月。収支としては、体重は-4.5kg、体脂肪-3%、BMI指数22.2→20.7。
 これ以上体重が落ちるとかっこわるくなりそうなので、体重はキープして、体脂肪を一度やってみたかった一桁台を目指してみたいのです。道のりは遠そうだ………。
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根津 鷹匠

2007年03月09日 09時31分10秒 | 食べ物

 不忍通り「根津神社入口」交差点を上野に向かって左に入る。昔ながらの街並みを眺めながら1ブロック進み右に曲がったところに「鷹匠」がある。
 ここらへんだったよなあ、と地図と通りを見比べても見つからない。おかしいなあ、と思っていたら、店の真ん前だった。それほどなんというか、両側を民家に挟まれ、ひっそりと目立たない小さな間口である。


 ちょっとした遊びを感じる、こういうの好き。やりすぎちゃだめだけれど。


 看板もこんな感じ。ちょこっと柏の竹やぶの風情を思い出した(あっちはやりすぎだと思う)。

 狭い間口に対して店内は狭くない。
 さらに小上がりが小上がりというほど上がってなく、大きな低い木のテーブルの前に腰を下ろすと、自分自身が低い場所にいるので空間が豊かに広がる。その豊かな空間を間接照明が雰囲気良く、しかしすっきりと照らしているので、大変居心地がよい。
 その場所にいるだけでなんだかほっと癒される気持ちがする。
 そばの前におつまみに、汲み出し豆腐とわさび湯葉、それに生ビールを注文する。銘柄はエーデルピルス。恵比寿ガーデンプレイスにある麦酒記念館でよく試飲をするのだけれど、ピルスナー系のビールの中では大変おいしい。
 さて、豆腐は歯触りを楽しめる木綿風のどっしりしたもの。つゆや薬味もついてくるけれど、豆腐だけでも十分おいしい。豆腐を一口、ビールを一口。ビールがうまい。うまいのは銘柄のせいだけじゃない。コップの洗い方から注ぎ方、生ビールの管理まで行き届いているからだろう。なぜ、そんなことがわかるかって? 飲んでおいしいからだ。
 それじゃ、ちょっと説明不足か。飲んでおいしいのも確かなのだけれど、飲み終わったグラスにきれいにエンジェル・リングができていたからだ。グラスに一口ごとにできる泡の輪。あれがエンジェル・リング。泡を再生させる層(フロスティ・ミストとかスモーキーバブルスとか呼ばれる層)が泡とビールの間にある三層ビールだと、泡が残りビールの味を最後までおいしく楽しめるのだ。これがないと二口、三口で泡が少なくなって、外気にさらされたビールはどんどん劣化していく。最後まで泡が残るから、グラスの下の方にまでエンジェル・リングがきれいにできる。銘柄がエーデルピルスで、ちゃんとそれをサーヴする。素晴らしいことだ。それでもビールは550円。他の店と変わらない。
 わさび湯葉は、だし汁に湯葉が入っていて、それをわさびとイカの塩辛を薬味にして食べる。イカの塩辛を薬味に使う発想はなかなか面白いが、この塩辛が薬味にするなんてもったいないほどの絶品だった。そしてだし汁と湯葉と塩辛とわさびが合わさると、これまたなんとも言えない。うまい。
 ぼくが伺ったのは12時半頃だったが、お店にいた6組のお客さんは全員昼酒を楽しんでいた。ぼくももう少しいきたいところだったが、平日だったし、実はその晩オペラの予定があり、客席でいびきかいたりすると困るので自粛。せいろを注文する。


 つゆいらない。このパツンパツンとしたコシ、味。おいしい。つゆはちょっと特徴的。こうした店ではもう少し辛いつゆかな、と思っていたらそうでもない。割と大人しい感じのつゆ。だしの風味がふわりと広がる。それにしてもこのそばはうまい。
 いい場所を見つけてしまった。ここはしばらく通いそうな気がする。
 さらにこの店の営業時間。昼の12時から夕方6時まで、と夜の営業がないのが寂しいところだが、なんと逆に仕込みの時間に店を開けてくれるのだ。朝の7時半から9時半まで。
 ああ、そして抑えきれない欲望が湧き起こる。朝から行って一杯やってみたい! 昼食べる以上にもっとつまみとお酒を朝、楽しんでみたい! 土日もやってるから朝からここで一杯やって、上野から浅草をぶらぶら散歩して、昼は並木の藪で菊正の樽飲んで、待乳山へお参りして、船でビール飲みながら隅田川下って、「船もいいが、退屈で退屈でならねえ、ふわあ」などとあくびをして、お台場で鴨にパンくずでもやる、そんな一日を過ごしてみたいものだ。
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布恒更級

2007年01月10日 16時54分13秒 | 食べ物

 言わずとしれた大井の名店。名店の条件は蕎麦だけじゃないと思う。そこでどう良質な時間を過ごせるか、それが名店の条件だろう。もちろんうまい蕎麦がなくてはならないのは当然だろう。それにつまみ、酒、お店の人の客あしらい、そうしたものが揃って名店と言えるのではないだろうか。
 その意味でこの店は大井の名店なのである。
 しかし、東京の北に住むぼくの場合、この店はあまりにも遠い。
 山手線の反対側の品川からさらに南に行かなくてはならない。この日もちょっとした用事のついでに車でうかがったので、お蕎麦のみ。


 もりそば大盛り。この他に蕎麦粉100%の生粉打ち、蕎麦の実の芯だけ使った更級もある。ぼくはつなぎが入った普通のもりそばが好き。もともともりの量は名店にしては多いほうなので、大盛りにするとこんな感じに。
 蕎麦はこしがあるが固くない。蕎麦の味わいが口に広がり、まさに快楽。つゆは江戸前らしくかえしが強く、きりっとした醤油味。だしがよく効いているのだが、かえしが強いのでダシダシしていない。そば湯で割るとそのダシの風味がよく伝わるが、蕎麦を食べる分にはバランスの取れている。絶品。
 ぼくの場合の名店、最後の条件。それは近くにあること。このお店が遠いのが残念だ。
    (写真は携帯の910SHです)
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煌や

2006年11月06日 00時12分42秒 | 食べ物


 自転車に乗るようになって、何が大きく変わったかと言えば、食生活。それまで車だと駐車場を探したりなんだり面倒だったので行かなかった路地のお店にも行くようになった。
 今日も深大寺まで自転車に乗って出かけて「たけちゃんにぼしらぁ麺」へ。
 しかし、なんと、昨日移転しちゃいました、との貼り紙が。
 深大寺への往復50キロ。
 片道2時間。
 消費カロリー約1000kcal。
 なんのために………。
 気を取り直して、これは荻窪駅そばにある「煌や」。
 あまり愛想のよくないシャキシャキしてないマスターのお店。最近のはやりを意識しているのか、それっぽい内装&BGM。レトロでいくか、ハイテックな感じでいくか、あるいは叩きの床でヘビーデューティーにいくか、3パターンの新しいラーメン屋さんの内装トレンドのうち、ハイテックな感じ。そしてこれまた、はやりの魚系スープも使ったWスープ。
 でも、おいしかったあ。魚系は10代の頃からメルシーで食べているせいもあって、慣れ親しんだ味。最後、香るゆずも一風味あっていい。
 店は荻窪駅南口から始まる南口仲通り沿い。これまた人と自転車しか行けないような小道にごしゃごしゃとお店が建ち並んでいる面白い路地。油ラーメン、つけ麺もあるということなので、これも是非試してみたい。
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桂庵

2006年10月23日 13時12分04秒 | 食べ物


 西湖の帰り道、調布インターで途中下車して寄った三鷹の桂庵。そんなわけでアルコールなし、ただせいろを食べるという求道的昼食となってしまった。
 店の前に来た瞬間に車で来たことを後悔。

 からすみを干してる!
  からすみで一杯というファンタジーを胸に抱き、店に入る。店は2卓ほどの小上がりとカウンター。蕎麦のメニューは多くない。せいろ、てんぷらそばなど数種類。せいろ(850円)を注文。圧倒的に豊富なのは日本酒の種類とつまみだ。あ~、悔しい。中には蜂の子なんかもある。江戸前のアナゴもおいしそうだ。
 まず、薬味とつゆが運ばれてくる。普通のお店に慣れている人にはつゆが少なく感じられるかもしれない。薬味はわさびとねぎと大根おろし。
 ほどなくしてそばが運ばれてくる。6つの小山にきれいにわかれてもられたそば。蜂の子といい、この盛り方といい、なんか信州っぽい気がする。
 そばをまず一口。ああ、つゆいらない。小気味のいい歯ごたえとコシ。口の中に広がる甘い蕎麦の味。しかし、つゆもまたいいのだ。きりっと辛口で、そばとの相性もいい。
 夜に来たいなあ。夜来て、豊富なつまみに目移りしながらおいしいお酒が飲みたいものだ。
 いや、ごちそうさまでした。大変おいしゅうございました。
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蕎庭

2006年09月19日 10時03分11秒 | 食べ物

 最近この感じの蕎麦屋さんが多いと思う。
 半民芸っぽい出前もやってる街蕎麦とは一線を画しているこだわりのお店、そんな感じがこのたたずまいから感じられる。そしてたまに、その「感じ」にまんまとダマされることもあるのだ。実は、この店に来る2週間前一軒のそういうお店に入った。表参道と渋谷のちょうど中間くらいにあるその店は、いかにも、という内外装。BGMはジャズ。
 まんまとダマされた。
 加水が悪いのか、そば粉が悪いのか、ねっちゃりしていて、その蕎麦にコシを出すためゆで時間を短くした感じ。コシはそうやって出すもんじゃない。これではただ固いだけ。
 あまりまずい店を紹介しても仕方がないので書かなかったが、そんな風に書かれない部分で涙している場合も多いのである、ぼくの場合。
 さて、気を取り直して「蕎庭」。場所は地下鉄三田線の千石駅そばの不忍通り沿い。実は会社から歩いていける距離にあるのだが、なぜか初めての訪問。
 あさりの酒蒸しをつまみに昼からビール。うまい。料金もお手頃。あさりが半分くらいなくなったところでせいろを注文。


 変な話だが、おいしいと思ったお蕎麦屋さんは、まず薬味が美しいのだ。仕事が丁寧だからかもしれない。ネギは白い部分だけをものすごく細く刻んである。さびは本わさびなんだけれど、わさびの皮をちゃんと剥いてある。いい感じ。
 いただきます。
 細切りの蕎麦は十分にコシがあるが、固くない。コシと固さは同じ概念ではないのだ。 つゆも薬味もいらないくらいおいしいお蕎麦屋さんに限って、つゆも薬味もうまいのだ。そばだけで食べておいしい。丁寧に刻まれた繊細なネギと一緒に食べてもおいしい。皮を剥いてすり下ろされたわさびの峻烈な味も蕎麦に合う。
 つゆはぼくの好みの辛汁で、だしの風味がたっぷりきいている。
 すっかり堪能したところで蕎麦湯が登場。
 猪口に注ぐと、とろんとろんの蕎麦ポタージュ。もうひと味堪能させて頂きました。
 家から歩けるところに岩舟があり、会社から歩けるところに蕎庭があるということの幸せをしみじみかみしめて生きていこうと思いました(大げさな………)。
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三日月

2006年04月21日 23時35分35秒 | 食べ物


 東京駅八重洲口を出て国際フォーラムの方へずっと歩く。
 富士屋ホテルの路地を入ると、「三日月」というお蕎麦屋さんがある。
 最近流行っているしゃれた感じのインテリアのお店は、しかし、おしゃれが売り物ではない。
 蕎麦はエッジが立ち、コシ、味、喉ごしともに素晴らしく、つまみもどれも完成度の高いものばかり。
 今日は、玉子焼きと鴨の台抜きをつまみにビールを飲み、もりそばを食べる。玉子焼きはだしも使っているが、東京風のもの。
 最近は関西風のふわっとしただし巻きを出すところが多いけれど、東京の玉子焼きはこんな感じ。どちらもそれぞれ、よさがあるが。
 鴨の抜き。抜きは台抜きのことで、蕎麦抜き、という意味。つまり、鴨南蛮の蕎麦抜き、というわけ。ぼくはよく天ぷらの台抜きを頼む。メニューに載ってなくても、ちゃんとした蕎麦屋さんで、天ぷらのあるところならやってくれる。
 最初パリパリっとした食感を楽しんで、ちびちび飲んでいくと、つゆに浮かんだ天ぷらが時間が経つにつれ、つゆを吸い、次第にほころんでゆく。今度はその食感を楽しむ。
 残念なことにこの店に天ぷらはない。そこで鴨の台抜きを。鴨はやわらかく、つゆは繊細。大変おいしい。
 しかし、このお店も今度の日曜日(4/23)をもって閉店。入っているビルの老朽化が原因だとのこと。
 おまけにどこで再開するかさえ未定。残念だ。
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総本家更科堀井

2006年03月31日 12時00分32秒 | 食べ物
 かつて麻布十番を歩いたとき、なんとなく神楽坂に似ているな、と思ったものだ。通りの向こうにはまだ六本木ヒルズはなく、都会なんだけれど、なんだか一本路地入っちゃった感のある街。
 大江戸線や南北線がない時分だったので、どこに行くにも遠い。神楽坂も東西線はあったものの、やはり大江戸線が開業してから便利がよくなったように思う。ま、神楽坂程度だったら歩いてしまうのだが。

 ここに有名な鯛焼き屋があるのだけれど、バラで買おうとすると40分待てだのなんだの言われるので買ったことがない。予約を先に焼いているらしいのだが、鯛焼きなんてもん、予約して2時間後に取りに行って食べるもんじゃないだろ? ものすごく貧しい気分がするのだ。

 近所に総本家更科堀井、総本家永坂更科布屋太兵衛、麻布永坂更科本店と更級系が3店区別のつきにくい店名で並んでいる。以前布屋太兵衛に行ったことがあるので、今回は総本家更科堀井に。布屋太兵衛に行ったときにはまだ麻布十番はのんびりしたところだったが、今回はずいぶん様子が違う。パンツルックでチビ犬連れた若い女性が行き交う街になったりしている。しかもみな判で押したように同じような格好。不良もセレブも他と同じような恰好したがるとこなど、似たようなもんだ。
 更級ともり(いわゆるせいろですな)を注文。布屋太兵衛と同様、つけ汁に甘汁と辛汁の2種類出てくる。布屋太兵衛の甘汁はいまいち口に合わなかったが、ここのは辛汁好きなぼくでもいける。
 さ、蕎麦がくる。せいろは無難なお味。うまいとは言えない。無難がぴったりだ。
 それに引き換え更級。完全にゆで時間を間違ったか、ネトっとしてる。布屋太兵衛で更級食べたときはプッツンプッツンというコシがあったのに、コシも何もない。真っ白でプッツンプッツンで、そのくせそこはかと蕎麦の香りと味がする、そこが更級の醍醐味なのに。コシもなければ、味も香りもない………。
 その日、その時、たまたまだったかもしれない。
 でも、そんなことは店のいいわけにはならない。
 便利になって客層が変わったのか、不思議な蕎麦だった。

 お口直しに麻布十番のファッショナブルさとちゃん。
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足利一茶庵

2006年02月28日 16時16分17秒 | 食べ物
 本日はお日柄もよく、というわけで土曜日にちょいと蕎麦を食べに東武線の特急に乗ってきました。

 目指す場所は、そう、栃木県足利市。
 ついに足利一茶庵。
 とうとう足利一茶庵なのであります。
 山手線乗って、日暮里へ出て、そこから常磐線に乗って北千住。北千住で東武線の特急「りょうもう」に。
 こうした場合、感想に多少のバイアスがかかるのは当然。極端には次の二つのケースが想定されます。
 わざわざ手間暇かけて、名店中の名店に出かけたから、もう、何が何でも舞い上がってしまうケース。箸置きに感心し、店のおばちゃんに感心し、傘立てに感心し、蕎麦食って感心し………。
 もう一つは手間暇かかってますから、「なあんだ、その割には………」というケース。こうなっちゃうと箸置きをけなし、店のおばちゃんをけなし、傘立てをけなし、蕎麦食ってけなす………。度を超すと、「足利なんて二度と来るか、室町幕府なんか大嫌いだ」と坊主憎くて地球上のさまざまなものを憎んでしまうことになりかねません。
 だから足利市駅で降りて、ぼくが一番に心がけたのは「平常心」。平常心で電車を降りて、帰りの時間をチェック(総滞在時間は2時間)、なんだか歓迎しているのかしていないのか不思議な面持ちのオブジェに平常心で目くばせ。

 駅から15分ほど歩いて一茶庵到着。平常心で、店に入ります。後に、ここですでに平常心を失っていたことに気づきますが………。
 板わさ、天ちらしをつまみにビールと日本酒。
 さ、ここでお蕎麦を。一茶庵と来たら変わり蕎麦。その中で一番いろいろ食べられるのが五色蕎麦。せいろ、更級、田舎、茶、ゆずの計5種類。
 うん、平常心で接して普通においしい。
 おいしいけれど、5種類全部をちょうどいいように茹であげるのは困難なのかもしれません。少しゆるい。いや、そうじゃない。そう思っていたんですが、同行者が頼んだ「せいろ大盛り」も少しゆるかったそうだから。
 まあ、普通、だ。近所にあったらまた食べに来るだろうと思いました。

 で、帰りは早足で駅へ。そう、お店の写真を撮るのを忘れていたのでありました。やれやれ。

 せめて記念に持ってきた箸入れでも。
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室町砂場 日本橋本店

2006年02月16日 08時57分03秒 | 食べ物


 JR神田駅から日銀通りを2,3分行くと角にあります、室町砂場。1869年創業。
 6時頃入ると店は大入り。ネクタイを締めていないのは、2,3人の女性のみで、あとはみな背広姿のサラリーマン。それも若者ではなく、そこそこのご年齢層。たぶんぼくが最若年かも。店は広く天井が高いので、客が多くても圧迫感なし。店先の坪庭もまた広々感を出している(雪吊りしてあったけれど、あれは冬用のディスプレイなのかな)。
 ビールに、つまみ、初めてのお店なので冒険せずに鳥わさと玉子焼き。お通しにクラゲを梅で和えた物が出てきたけれど、これがなかなか美味。
 鳥わさは、普通においしいが、玉子焼きは少し甘めの懐かしい味。しかも絶品。
 さ、蕎麦を注文。今回は更級をもらう。
 別製ざる、という名。
 ざる、と言っても海苔がついてきたりはしない。普通のそば粉を使う「もり」に対して、更級を使う「ざる」ということである。名店盛りだとの評判を聞いていたので最初から大盛り(1150円)を。
 すごい。
 シャープでエッジがたっている上、コシも絶妙。喉ごしはまさに快楽。
 つゆは素晴らしい蕎麦を十分に受け止める超辛口。もともときりっとした辛口のつゆが好みなのだが、このつゆはほんとうにいい。辛さとダシとが両雄相立っている。
 ただ名店盛りは覚悟しなくては………。大盛りでも、少ない。柏・千住の竹やぶを彷彿とさせる。
 あとは店のスタッフのすばらしさ。名店と呼ばれる蕎麦屋さんのおばさんは実にすばらしい。メニューを手にしただけでスッと寄ってくる(しかも威圧感なく自然に)。客が多いのに、待たされるストレスは皆無。


 店を出ると運転手付きの車が待機中。神田の藪や九段の一茶庵あたりと同じ風景だ。
 アイドリングストップ運動にご協力しろってんだ。
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黒澤

2005年10月25日 01時14分25秒 | 食べ物
 なんだか格好いい溜池山王駅。

 南北線を溜池山王で降り、小泉くんち(官邸だから「ち」じゃないか)を横目で眺めなら 訪れた場所はここ。

 山王パークタワー、ではなく、上の写真の左側に映っているお店。

  そう、「黒澤」である。

  映画監督・黒澤明の名を冠し、映画の感動を食で再現。
「世界の黒澤」が客人をもてなした料理の数々。

 webによるとそういうことらしく、他に同じようなコンセプトで鉄板焼き、うどん、蕎麦ダイニングの店を六本木や西麻布に展開している。
 この建物の内外装は黒澤明のスタッフによるもので、店内に飾られた黒澤映画の古びたポスターともどもなんだかレトロで不思議な雰囲気だ(首相官邸並びとはあまり思えない面構えである)。
 しかし蕎麦そのものは、なんと「翁」(現達磨)の高橋邦弘氏直伝らしいので期待十分である(あ、いや、達磨グループでも、Nにわ翁とか感心しなかったもんなあ。飛行機で日帰りしたのに)。
 店に入ると予約してあるか、ないか、尋ねられます。そう、予約で満員。
 店は蕎麦席と座敷席(コースのみ)と分かれていて、どちらも夜は予約して行った方が無難です。「蕎麦席で7時半くらいまででしたら…」とのことで通してもらえました(7時からコンサートだったし)。
 会員制クラブの鉄板料理のように客席にものを炙る場があって、注文すると目の前で炙って持ってきてくれます(海苔1枚300円以上するけど)。
 生ビール、それから鳥わさを頼みます。赤ん坊の握り拳ほどの鶏肉が運ばれてきました。
 でも、一口食べてみたら、わさびだけでもうまい。こんなに香りよく甘いわさびは久しぶり。わさびなのに甘い? 不思議かもしれないけれど、わさびは丁寧におろしたものをおろしたてで食べると甘いのだ。もちろんわさびのあの刺激や刺激臭はそのままで、そこに得も言われぬ甘みが加わるのである。
 さあ、蕎麦だ。1枚では足りないと思い、あらかじめ2枚注文。目の前の「用心棒」のポスターを眺め、桑畑三十郎だ、もうじき四十郎だがな、などと軽くつぶやいてみたりしながら食べます。
 おお、新蕎麦万歳。蕎麦の味がおいしい。うまい蕎麦はつゆなしで食べてもおいしい、と言うけれど、うまい蕎麦をうまいつゆで食べるのはまた格別。きりりとした辛つゆがたまりません。コシも喉ごしもどれも気持ちよい。2枚注文した蕎麦だって、2枚重ねて持ってきたりはしません。頃合いを見計らって、ゆでたてを持ってきてくれます。
 よし次は油田でも掘り当てて、座敷席、それも特別席で特別コースだ。さ、まずはシャベル買ってこようっと。

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一栄

2005年10月05日 09時21分42秒 | 食べ物

 場所は東池袋。
 いかにも街のお蕎麦屋さんっぽい外観。中にはいるとやっぱり街のお蕎麦屋さんで、カウンターと小上がり、それにテーブル席が3つ。蕎麦が出るまでのつなぎに新聞やマンガが置いてあります。
 ご主人とおかみさん、それにたぶん娘さん、三人で切り盛りしてらっしゃるのですが、どなたも気さくでごくごく普通に落ち着けます。
 そんな雰囲気とは裏腹に出てくるお蕎麦は真剣勝負そのもの。一茶庵の流れを汲むご主人の打つ蕎麦は変わり蕎麦を含め、どれも高い水準のものばかり。三色(田舎、更級、せいろ)を頼みます。田舎の蕎麦の味、香り! 更級のぷつんとした歯ごたえの後に感じる香り、せいろの喉ごしとコシ。ううー、どれもどれも旨い。
 蕎麦、つゆ、ともに満足。ただ、昼しかやってないのが、難点と言えば難点かな。
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