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創立は大正12(1923)年という貿易商社(当時は原田商事)の本社屋として昭和3(1928)年に完成。 2階建ての小規模な建物ですが非対称のファサードに手の込んだ細部意匠を取り入れて欲動感を演出しています。 設計者の小笠原祥光は明治8(1875)年生まれ(当初の名前は鈅・ますみ)で工手学校の建築科を卒業、鉄道院に長く勤めて東京駅(大正3年開業・1914)の建築工事には鉄道院側として参加しました。 大正4(1915)年に住友の技師に転じて同10(1921)年には住友を退職、小笠原建築事務所を開設して主に大阪で活躍した建築家であったようです。 大阪府大阪市中央区南船場2-10-14 08年01月上旬他
※参考 『関西の近代建築 ウォートルスから村野藤吾まで』 1996
『大大阪モダン建築』 2007
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建物も永く使われていれば所有者や用途の変更はあるものですが、建設以来、同じ企業により同じ用途(本社ビル)として使われているのは珍しい事だそう。
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一般には公開されていない建物ですが原田産業のHP内の「ギャラリー」に非常に美しい内部の様子が紹介されています。
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大きな縦長窓の内側は吹き抜けの階段室。 この空間を作り出したくて入口を正面ではなく右に寄せたのかも。
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小笠原祥光は渡辺節の事務所に短期間だけ在籍していた事もあり、村野藤吾とも仲が良かったと伝わります。
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こちらは大阪府池田市にある旧池田実業銀行本店(現・いけだピアまるセンター 大正14年築・1925)。 設計の小笠原鈅が小笠原祥光と同一人物である事に最近気が付きました。 名前が変わった時期・理由までは調べきれていません。
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こちらも同じく池田市にあるK家住宅(昭和5年築・1930)。 調べた文献には設計/施工・小笠原建築事務所と記載されており、事務所の作品リストにも条件がほぼ合致する件名があるので恐らく小笠原祥光の作品だろうと思います。
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この大邸宅を建てたのは酒蔵業者。 そちらの個人名で検索してみましたが情報は見つけられませんでした。
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ミステリー小説の舞台にでもなりそうな雰囲気を持っています。
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個人邸っぽい(?)ので控え目に観察。 人が住んでいるのかどうかも良く分かりませんが…。
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構造はRC造でスクラッチタイルを張っています。
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小笠原の作品は内部装飾の密度が高くダイナミックな造形で顧客からは好評だったよう。 この邸宅も内部は凄いのかもしれませんね。
多分裏の山はさつき山かな?だとすると直ぐお近くが実家です・・。
最後のK邸は能勢街道沿いですから、この辺りにお住いの方には有名物件でしょうね。
もう一度、施主の個人名で検索してみたら、大正5年の時事新報社調査の資産家リストに名前がありました。
それによるとこの邸宅を建てたK氏は池田に本店を置いた銀行の頭取だったようですね。
その銀行は昭和2年の金融恐慌で他行に吸収合併されてしまったようなので
酒蔵業というのは新たに始めた商売なのか、あるいは世襲名で代替わりしてるのかも知れません。
とりあえず現段階で持っている情報はこれだけなので、何か地元ならではの情報・噂話がありましたら
私にも教えて下さいませ…(笑)。