中国とインド、同じ経済新興国として一番の違いはインフラの整備状況であろう。20年前は空港から北京や上海の中心部、あるは空港からデリーやムンバイの中心部までどちらも渋滞がひどく辟易としたものであったが、最近では中国の道路事情が格段とよくなり空港からの時間もかなり短縮された。
しかしながらインドの方はそれがますます悪化している。中国では良きにつけ悪しきにつけ社会主義のスピードが好結果をもたらし、インドでは民主主義下のスローデシジョンが経済発展のスピードについていけてないという事実がその原因である。それに加えてインド人の公に対する無関心、私に対する異常なまでの執着が公共事業への投資が上がらない大きな理由の一つでもある。
インドの高層のコンドミニアムは、築年数はそんなに立っていないようでも、外見は埃まみれのところが多いが、インドの知人曰く、内部は非常にきれいだと。コンドミニアムの共通部分に金を積み立てるという日本のマンションの管理費用、修繕積立金的発想がなく、共通部分はほったらかしで、自分の部屋に金をかけているそうである。
オフィスビルにせよコンドミニアムにせよ近代的ビルの周囲はバラックが密集している、ビルから俯瞰すればバラックの屋根を覆ている青いビニールシートの海に囲まれている光景である。バラックの立ち退き料を決定するのに時間がかかるそうである。ここが、言うことを聞かなければブルドーザーで地ならしをしてしまう中国と違うところで、交渉に時間をかけざるを得ないのが民主主義である。聞くところによると、ちっぽけなバラックでも居住者が一生暮らせるような値段を払うそうである。インドの知人の一人は妙に政府の要人と関係が深く、その言によると、1千万円位払うバラックもあるそうで、時間のかかるのもやむなしと納得した次第である。
インドの金持ちの暮らしは想像を絶している。郊外に一戸建ての大邸宅をもち、都心部には高層ビルをいくつも保有し、事務所兼私的目的に使用している。ある財閥の総帥に招かれたのはそうした一室で、まさにペントハウスであった。その空中楼閣で彼らは下を見ずに生活を楽しんでいる。ビルの下にはバラックの青い海が広がっていること先に述べたとおりであるが、彼らは独自の世界を楽しんでいるのである。機会があれば、カーストについて書きたいと思うが、カーストの上の人達は下の人達を慮ることをしないというか、彼らは別世界にいるのである。
ある時は、仕事仲間のインド人の金持ちの家に招待されたが、家の周囲にはバラックが迫り、外見もパッとしなかったが、いったん中にはいるとそのゴージャスさには驚いた。私には悪趣味に見えて、あまり感心しなかったが、銀製のブランコには正直参ってしまった、それは三人が一度に腰かけられるほどの大きさがあり、柱も何もかもすべて銀製、思はずそれに座って記念写真を撮ってもらう羽目となった。 以上
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