栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

丹沢・札掛との長いつきあい(Takano_Tokio)

2013年03月03日 | 鈴木(武)・関口・高野

 「丹沢・札掛」と聞いて、栄光ヒュッテでの高校時代の夏合宿を懐かしく思い出される方も多いであろう。馴れないワラジ履きで沢をよじ登ったことや、夜のキャンプファイヤーでのクライマックスの天狗踊りなど、田浦での学園生活では味わえない体験の場でもあった。

                

       ( 2013年1月 茨城県牛久沼にて)

私はこの札掛に卒業後も半世紀以上ずっと、毎年ほぼ欠かさずに行っている。

多い時は年10回以上通ったこともあったが、最近は・・といっても、もう25年以上になるが、日本野鳥の会神奈川支部の札掛探鳥会の幹事役で、5月末か6月初旬に泊りがけで行くことを続けている。探鳥会というのはいわば業界用語で、最近ではバードウォッチングと呼ぶようだ。

 

この札掛探鳥会は、当初「仏法僧の声を聞く会」として始めた。当時は夜になると、同時に複数の「ブッポーソー」と聞こえるやや甲高い声がモミの大木の上から響いてきたものだが、近年この鳥は全国的に激減してしまった。

札掛探鳥会でも最後に聞けたのは1998年のことで、今でも探鳥会の際は、夜の鳥の声を聞きに夜道を歩くが、ホトトギスやトラツグミなどは聞けても、仏法僧の声は全く聞くことができなくなってしまった。

 ところでこの仏法僧、実は鳥学上のブッポウソウという鳥は南方系の派手な色の鳥で、昼間活発に飛び回るが夜は行動せず、鳴き声もゲッゲッゲーとお世辞にも美声とは言えない。ブッポーソーと聞こえる声で鳴くのは、実はコノハズクという、体長約20cmとスズメより一回り大きいだけのフクロウの仲間で、深夜大木の上で鳴くこの小さく木の葉色の鳥を見るのは極めて難しい。

そこで、夜この声が聞こえた大木の周りなどを、昼に飛び回っている美しい鳥が声の主だろうと「ブッポウソウ」と名づけてしまったものらしい。もともと仏法僧は仏教でいう三宝を表す言葉なので、深山で苦行する修験僧たちが、有難い仏の言葉として捉えたのであろう。

ウグイスの法-法華経や、ジュウイチの慈悲心鳥など、鳥の声を仏法にちなんだ言葉として聞き做すものが多いのも頷ける。

     (仏法僧の画像)

              

  ブッポウソウとコノハズクコノハズクは撮影困難のため 近縁のリュウキュウコノハズク。     いずれも丹沢以外の地で撮影

 このブッポウソウも、東南アジアでは多いが日本では珍しい鳥で、豊かな自然林が残された場所にしか生息せず、丹沢でもダムが出来る前の宮ケ瀬などでしか私は見たことがない。

仏法僧の声が聞けなくなっても札掛探鳥会を毎年続けているのは、県下のほかの場所ではなかなかお目にかかれない、山の鳥や獣が多いからである。

その代表が翼を広げると1.5mにもなるクマタカで、数年に1度ヒナが巣立った時が比較的観察しやすい。若いタカはカラスに付きまとわれることが多く、カラスにはうっかり反撃すると仲間が集まってきて騒ぎ立てるので、猛禽類といえどもなかなか手を出せない。普段ノウサギやヤマドリを襲って食べているクマタカにとって、本気になれば負けるはずがないのだが。

このクマタカは幸い数を減らすことなく、西丹沢も含めた全山で今でも見られるが、行動範囲が広いタカの仲間だけに、探鳥会で観察できるのは数回に一度である。

   (クマタカ画像)

      

木の上で休む若いクマタカの近くにハシブトガラスがとまる。カラスのちょっかいにたまらず、クマタカは飛びたったが カラスはしつこく追っていった丹沢札掛で)

ほかにも札掛では、大型のカワセミの仲間で見事な羽冠と白黒のダンダラ模様が美しいヤマセミや、独特の鳴き声を谷に響かせる真っ赤なアカショウビンがいる。後者は高尾山をはじめ首都圏近郊ではどこでも姿を消したが、札掛では毎年来ているようで、近づきにくい沢沿いの急峻な場所にいる。人気が高い鳥だが、最近やや過熱気味の巨大なレンズを背負ったカメラマンたちも、容易に近づけない場所なのが幸いしている。

 探鳥会で人気があるのは、初夏に南から渡ってくるオオルリとキビタキである。特にオオルリは、木の頂きなどの目立つ場所で囀るので観察しやすい。

一時期夏鳥の数が激減して、東南アジアの越冬地の環境変化の影響かと心配されたが、この2種に関しては最近再び増加傾向にあるように感じるので、喜ばしい。

  (オオルリとキビタキ画像)

   

オオルリとキビタキ 夏鳥のなかでも探鳥会で人気の小鳥、さえずりも姿も美しい。いずれもヤビツ峠付近で5月に。

 この2種の鳥は日本の鳥でも美しいものの代表である。私は海外の鳥も時々見に行くが、東南アジアや中南米などの熱帯の鳥は、数も種類も多く極彩色で美麗なものが多い。でも1週間も見続けていると、落ち着いた色調の日本の鳥が懐かしくなるから不思議である。

 更に丹沢には、首都圏近郊でありながら、シカ、カモシカ、イノシシ、クマ、サル、キツネ、ムササビ、モモンガ、ヤマネなど、金太郎の相撲相手となったような動物や、目立たぬ小動物たちが多く生息する。でもシカ以外の獣は、木の葉が落ちた冬季でないと観察は難しい。

 (カモシカとムササビ)

      

 冬の山では昼でも出会えることが カモシカは塩水林道、ムササビは札掛養魚場で

 

それでも人影の少ない丹沢の山道や林道を歩いていると、思わぬところで出くわすことがある。以前は早朝、キュウハ沢やオバケ沢に向かう沢登りの人たちと競うように、早く暗いうちに宿の丹沢ホームを出発しないと、山道に出ているカモシカには出会えなかった。でも、最近では釣り人が早朝から車で来て沢に入っているものの、山道をそんなに早くから歩く人は我々くらいのものである。

宿といえば、私も学生時代はもっぱら栄光ヒュッテを利用させていただいていたが、最近は国民宿舎丹沢ホームに食事付きでお世話になっている。

丹沢ホームはかつての山小屋然とした建物から2回立て直されたが、栄光ヒュッテは創建当時のままの姿で建っている。

 数年に一度、昔を懐かしんで、丹沢ホームで鍵を借りて中に入ってみるのだが、数年前に山岳部OBの弟と一緒に入り、いささかがっかりしてしまい、それ以来入っていない。

天狗さんがお元気だった頃は、備品が常にきちんと整理して置かれ、うっかり散らかすと天狗さんの叱責の声が聞こえてきそうで、帰りには細心の注意で清掃などを行って帰ったものであった。

天狗さんがドクターストップで札掛までいらっしゃれなくなってもその状態は続いていた。でも、数年前に久しぶりに入ったところ物が乱雑に置かれていて、変わりない外観から期待した姿とかけ離れていたので、それ以来中には入っていない。今もあの状態であろうか。

  (栄光ヒュッテ画像)

     

   山岳部の天狗さん追悼文集から

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