栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

Smartプロジェクト(その21)(Suzuki_Taketo)

2019年01月04日 | 鈴木(武)・関口・高野

 Smartプロジェクト(その21)

PLDTの経営

 PLDT買収の話が本決まりになって、初めてその本社ビルを訪ねました。幹部の部屋は大きく、庭付きテラスがあったり、調度も立派でしたが、講堂に案内されて天井からアスベストスが垂下がっているのを発見して驚きました。その膨大なアスベストスの山はPLDTが腐っていた事の象徴の様に感じました。

 オーナー当主が通信料金の延滞者からの通信等料金の取立て回収会社を設立して、高率の手数料を受領していたり、本社ビルに当主専用のスポーツジムを作っていたりですからトップからおかしくなっていたと言っても良いでしょう。

 また現場サイドでは、申し込んでも電話を引くのに数年もかかって居た事から、組織的に別料金を徴収して、その顧客だけ早めに開通したりといった有様で、その不正は上から下まで蔓延しており、いちいち捜査・検証している訳にも行かない状況でした。

 この状況を一気に修復するために『社内で犯罪を犯していても、摘発される前に自主退社すれば罪を問わない(amnesty)制度』を公表し、結果的に殆どの幹部の入れ替えが出来ました。ただ、この様な後処理ばかりでは組織が死んでしまいます。

 前向きなチャレンジも始めました。

買収完了直前からMr.Al.Panlilio等若手の幹部候補との話し合いの中で、既にSmartで試みていた法人営業体制を創設し、本来事業の拡大と充実を図る事としました。

従って、Smart-NTT Multimedia社はその母体として吸収する事としました。

 また、買収直後にマニラ近郊の電話局のヒヤリング巡りを行った際に電話交換業務のオペレータ達が職を失うのではないかと恐れていたことからの思いつきでしたが、フィリピンは長い米国の植民地で英語教育が充実していたことから、コールセンター事業をパンギリナン氏に進言しました。 田中氏(仮名)とフィリピンで既に同事業を開始していたKen Bone氏から種々ノウハウを学び、大きな将来性が見込まれたことからCitibankの現地のCRMの責任者をヘッドハンティングし、専用の建物も構築して開始しました。

 米国、イギリス、オーストラリアから、保険、レセプト等種々のニーズがあり、ハード設備は同じで、顧客のアプリを夫々の時間に合わせて設定し、オペレーターは3シフトで回せました。マカティ市やマニラ市では住宅コストが高いことから、一般には1時間以上の郊外からの遠距離通勤が多かったのですが、コールセンター事業の拡大により市内に住んで職場近接、互いに違うシフトで子供を育てる若い共稼ぎ夫婦という新たな生活スタイルが出来てきました。

コールセンタを初めとしてインターネットを含め多様な事業展開をするために ePLDTを設立し、弁護士のエスピノザ氏をCEO、NTTから戸田(仮名)さんに来てもらい、これ等新規事業の拡大を図る事としました。

ただし、余剰局舎を用いたIDCはとも角、漫画やゲーム、更にアイデアだけのベンチャの買収を重ねて、経営の方向が分からなくなるような傾向があり、一時パンギリナン氏に見直しを迫った時がありました。

   (その22へ続く

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする