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ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

メタルヘッド

2011-06-23 21:09:36 | ま行

予備知識ゼロで行って
ぶっ飛びました。


「メタルヘッド」70点★★★☆


母親を事故で亡くした
13歳の少年TJ(デヴィン・ブロシュー)。

傷ついた彼の前に突然、
謎の長髪男ヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が現れる。

見るからにアブナそうな彼は
なぜかTJにまとわりつき、
勝手に居候を始める。


さらにTJが密かに想いを寄せる
スーパーのレジ係ニコール(ナタリー・ポートマン)
「アタックしろよ!」と
無茶苦茶を言ったりして。

一体、こいつは何者なんだ――?!



監督は
CMやPV、短編映画の製作で
ハリウッドで注目されてる
映像作家スペンサー・サッサー。


ガンガンのヘヴィメタをバックに
神出鬼没で不可解な
ヘッシャーの行動に振り回される。

その合間にブラックでシュールな
下ネタや笑いが挟まる……という感じ。


相当にいかれてるけど
根底は意外にピュアな
家族再生ドラマでした。


バラバラで壊れかけた家族は
「引っ張ってくれる人」を
探してるってことです。

この場合はかなり荒療治ですけどね。


しっかし、最初は
主人公が
まさかジョセフ・ゴードン=レヴィットとは気づかなかった。


気づいたときの衝撃といったら!(笑)


しかし彼は草食系なルックスながら
けっこうトンでる人物らしい。

YouTubeで
バンドでシャウトしてる姿見て
見直したし(笑)

この役もめちゃくちゃ楽しそうに演じてましたね。


ナタポーも冴えなすぎるスーパー店員に
バッチリ化けてました。

この二人でなかったら
70点いかない感じもありますが
いい配役だったということで。


★6/25からシアターN渋谷ほか全国順次公開。

「メタルヘッド」公式サイト
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ビューティフル

2011-06-22 22:41:19 | は行

奇しくも、これも
スペインはバルセロナの話でした。

しかも織田裕二は足を踏み入れないであろう
裏の裏(笑)


「ビューティフル」80点★★★★

本年度アカデミー賞ノミネート、
「バベル」の監督×主演ハビエル・バルデムとくれば
期待値上がりまくりです。



観光地バルセロナの裏通り。

差別と貧困が渦巻くこの場所で、
ウスバル(ハビエル・バルデム)は

不法滞在の中国人に仕事を斡旋したり、
アフリカ系移民を助けたり、

非合法な仕事をしつつ
二人の子どもを育てていた。

そんなあるとき、
彼は自らの余命を知ることになる。


自分の死後、子どもたちに何を残せるのか――?

ウスバルは限られた時間で
“死の準備”をしようとするのだが……。



本音のタイトルはずばり「父」でしょうね。


「バベル」の完璧さはないけど
重く、暗い、社会の現実なのに

しかし2時間半、
惹き付け続けられました。


パーツを組み合わせ
構築していく
ストーリーテリングの妙。

その一筆一筆の重さと力強さ、
1シーンの濃厚さ、
さすがとしかいいようがない。


主人公ウスバルの
内に外に巣くう病魔は重すぎて、

彼は薄汚れ、ボロボロになってる。

でも
不法労働者を斡旋する側にいながら
彼らを助けようとする善意も持ち合わせる
かなり複雑な人物。


ほぼ全編、怒ったり、苦しんだり、悲しんだりしている
難しい役を
バルデムが入魂で演じていて
見応え十二分です。



「死を受け入れるか、生に愚かしくしがみつくか」
「死は終わりじゃない。そこからの道のりが長い」

などなど
印象的なセリフ、そして音も見事でした。


★6/25からTOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開。

「ビューティフル」公式サイト
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アンダルシア 女神の報復

2011-06-21 23:18:07 | あ行

あたしゃ「アマルフィ」
2回、いや3回?観てますからね……。


「アンダルシア 女神の報復」68点★★★


邦人を助ける使命を帯びた
外交官・黒田(織田裕二)が
世界中を飛び回って事件を解決するシリーズ。

今回は情熱の国・スペインが舞台す。



スペイン北部に隣接する小国・アンドラ。
スキー客が多く訪れるホテルで
川島(谷原章介)の遺体が発見された。

第一発見者は
現地の銀行で働く結花(黒木メイサ)。

現地に向かった黒田(織田裕二)は
インターポールの捜査官・神足(伊藤英明)と鉢合わせる。

「あとは、こっちが担当するから」
「おおかた強盗の仕業だろう」と
神足は言い、黒田は現場を追い立てられる。

が、黒田は現場でいくつもの
疑問点を発見していた。

そして事件は思わぬ方向に転がってゆき――?!


パリの裏通りに、スキーリゾートの雪原
ガウディ建築そびえ立つバルセロナ、
エキゾチックなアンダルシアへ……と、


世界遺産や観光名所を巡り、
空撮ヘリもガンガン飛ばし、

現地エキストラやキャストも大勢起用した
贅沢さが、映画の最高の見どころですね。


海外ロケはもとより
出張も控えぎみ……なんて当世、
この潤沢な資金はどこから?なんて
余計なことも思うけど

行けないぶん、こういう映画は楽しくもあり。


ただ今回は
話が見えにくく、
見えても「ん?」なのが惜しい。

黒木メイサが
相当に喰えない、っつう話に終始しているので。


「アマルフィ」は
天海祐希と、ストーリーでもってたからなー。


それに黒田さん
福山雅治演じるフリージャーナリストや、
戸田恵梨香演じる後輩外交官から、
情報もらってばっかりだけど

この世界ってギブアンドテイク、
ちゃんとペイしてるのかしらん(笑)


★6/25から全国で公開。

「アンダルシア 女神の報復」
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SUPER8/スーパーエイト

2011-06-20 20:59:15 | さ行

エンドロールが最高で5点加点っ。


「SUPER8/スーパーエイト」84点★★★★



1979年、オハイオ州のとある田舎町。


14歳の少年ジョー(ジョエル・コートニー)は
母を亡くし、悲しみを抱えていた。

そんな彼を
なんとか立ち直らせてくれているのが、
仲間たちとの8ミリ映画作りだ。


特に主演女優を承諾してくれた
アリス(エル・ファニング)に
ジョーは密かな想いを寄せていた。


ある夜、駅で撮影を始めた
ジョーたちの目の前で
驚くべき列車事故が起こる。

それはジョーたちの運命を変える出来事だった――!?



J.J.エイブラムス監督×S.スピルバーグ製作で贈る
この夏、最大の注目作品。


実際、1970年~80年代
「E.T.」のあの時代のオマージュと
リスペクトに溢れた快作でした。


ませた子どもたちのやりとりと冒険は
「スタンド・バイ・ミー」であり
是枝監督の「奇跡」に通じるし、

自主映画作りに没頭する
子どもたちの様子は
「リトル・ランボーズ」を彷彿とさせる。



それにやっぱ自分たちで映画を作る話って
映画好きのツボをくすぐるんですよねえ。

J.J.エイブラムスもスピルバーグも
実際、10代で8ミリ映画制作にハマってたそうで
もうわかりまくってるっつうか。


番長も、その経過しっかり経てますから!(笑)

てか、まず
「スーパーエイト」って言ったら、
あれでしょ!っていう。


そんなうがった人々のツボもガッチリ掴み、
同時に
子どもたちも引きつける超スケールの映像で、
しっかり映画のクオリティを固めてる。


日常の続きに展開されるワクワクや、

純粋な子ども目線で
世界を観ることの意味や再発見をくれた
よき時代のSF映画、「E.T.」時代のスピリットに
最新技術が合致した好例ですね。


やっぱ映画ってスピリットが大事!


ただし、本筋の部分で考えれば
「クローバーフィールド」の
J.J.エイブラムスチックな部分はあって
「ん?」というとこもある。


それがエンドロールで
帳消しになりやした。


いや~これはもう1回、観ますわ。


★6/24から全国で公開。

「SUPER8/スーパーエイト」公式サイト
コメント (2)
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飯と乙女

2011-06-19 21:10:08 | ま行

主演の女の子が
加藤ローサ似で可愛かったす。

「飯と乙女」54点★★★


ダイニングバーの厨房に立つ
アルバイトの砂織(佐久間麻由)は
人に料理を作るのが生きがい。


しかし常連客の九条(上村聡)は
なぜか砂織の料理に手をつけず、
いつも柿ピーしか食べない。


OLの美江(田中里枝)は
ダメんずな彼氏のストレスから
過食症になっている。


美江の会社の社長(菊池透)は
いつも弁当をふたで隠しながら食べている――


そんな
食にまつわる問題を抱える男女の
群像ドラマです。


「すべての苦しみは、およそ食糧から生ずる」という
ブッダの言葉を冒頭に置いてあり、

「食」「ブッダ」そして「シューベルトの音楽」の3つを
つないでみようという試み。


主演の女の子もかわいいし、
物語もちゃんと展開するし
映画として一応整えてはあるんですが

ちょっと上っ面っぽいんだなぁ。


過食症や弁当の食べ方とか
「食」と聞いて、わりと安易に思い浮かぶ
素材やエピソードだし。


身なりはきちんとしてて
愛想はいいけど
決して本音で話さない人の話を聞いてるみたいな。


チラシのビジュアルとかもうまく作ってあるので
女性が作りそうな映画だなーと思ったら
男性監督だった。

しかもギャガやメディアスーツで
映画製作業務に関わっていた
バリバリ“中の人”だった!

長編第1作目だそうで
今後に期待しております。


★6/18から渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。

「飯と乙女」公式サイト
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