ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

セヴァンの地球のなおし方

2011-06-26 11:53:05 | さ行

「未来の食卓」監督の続編です。


「セヴァンの地球のなおし方」70点★★★☆


「大人たちにお願いです。
どうやってなおすかわからないものを
壊し続けるのは、もうやめてください――」


1992年の地球環境サミットで
伝説のスピーチをした
12歳の少女・セヴァン・スズキ。


29歳になった彼女を中心に、
各国で「地球のなおしかた」を考え、行動する人々を取材した
ドキュメンタリーです。


セヴァンはカナダ在住で
お父さんが日系3世の環境活動家。

8歳でクラスメートと
「子ども環境活動」というクラブを立ち上げ
自らサミットに出席したっつうからスゴイ。


しかし決しておっかない活動家、ではなく
12歳当時もいまも
やさしく、わかりやすく
「環境破壊をやめよう」と語ってくれる。


そのほか
前作で小学校の給食を
すべてオーガニックにした
フランス・バルジャック村のその後の様子や、

コルシカ島のワイン農家などが紹介されます。


特に日本での取材が多いのが
我々にとってはうれしいところ。

福岡県で合鴨農法をしている農家や、
福井県で子どもたちのために
無農薬食材を育てる農家のお母さんたちも登場します。


ただ
ジャン=ポール・ジョー監督というのは
いたくマジメな人物で、

本作もいたってマジメな
ドキュメンタリーになってる。

映画的なサービスや工夫は薄く、
「複数のパーツをつないだ」感はあります。


しかし、その思いの純粋さ
映像に写っているし、

いま見るべき映画として70点。

それに本作が作られたのは2010年。
震災後、また状況も変わってますしね。

ぜひ。


★6/25から東京都写真美術館、渋谷アップリンクで公開。ほか全国順次公開。

「セヴァンの地球のなおし方」公式サイト

余談ですが
日本でもオーガニック、だいぶ認識されてきたし
いい方向に行ってるのかなーと思ってたんですが

先日、関係者に伺ったところ
状況は決して好転してないらしい。

それどころか
後退しているというんです。

たしかに
原発、放射線うんぬん、というなかにあっても

おサイフ事情もより厳しくなり、
ちょっと高くても安心な野菜、に
手が出しにくくなってしまうのかもしれない。

難しいとこだけど
でも、こういう映画を見て考え
意識し続けるしかないんだろうな。
コメント
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