ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

あぜ道のダンディ

2011-06-17 20:45:34 | あ行

「川の底からこんにちは」のあと
石井裕也監督、
期待高まる2作めでやんす。

「あぜ道のダンディ」72点★★★☆


北関東の地方都市で
配送会社に勤める50歳の宮田(光石研)。


39歳で他界した妻に替わって
浪人中の長男と高3の長女を育てているが、
子どもたちとは会話もなく
コミュニケーションがまったく取れていない。


唯一、幼なじみの真田(田口トモロヲ)と
毎晩のように居酒屋で酒を飲むのが
息抜きだった。


あるとき宮田は胃の不調を憶える。

「亡き妻と同じく、自分も胃がんなんだ……」

そう考えた宮田は、ある行動に出るが――?



しょぼくれていて、でもキレやすい(笑)
50歳を主人公にした
おかしくもかすかにしょっぱさが香る、おやじ讃歌。


「どうせアタシなんて、中の下ですから!」で
大ブレイクした石井監督らしく、

本作もトーンはおとなしめながら
その血脈を確かに感じる。


特にふだんはしおしおなのに
突然大声を出す主人公にニヤリ。


“中流”が崩壊し
自分の立ち位置がもうろうとしてる世の中で、

自意識とやけくその狭間で揺れる
「現代人」の姿を描いてるわけです。


それにやはり石井監督は、セリフがうまい!


「こんな時代におじさんやるのは大変なんだ!」
「前にも進めず、後ろにも引けない50歳!」
と、印象的な言葉が満載でした。


光石研、田口トモロヲって
役者もおいしい。

光石研さんって映画出演140本だそうで
ほんと名バイプレイヤー。

本作は「博多っ子純情」(78年)で
主演デビューして以来、
32年ぶりの主演作だそうです。


まあ私は
田口さんがめっちゃ好きですね、やっぱし。


★6/18からテアトル新宿ほかで公開。ほか全国順次公開。

「あぜ道のダンディ」公式サイト
コメント
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