ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

2020-06-08 23:54:36 | さ行

グレタ・ガーウィグ監督が

「若草物語」を見事にアップデート!

 

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」74点★★★★

 

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19世紀後半、南北戦争時代のアメリカ。

牧師である父が戦地に赴いたマーチ家では

母(ローラ・ダーン)と、個性豊かな四姉妹が家を守っていた。

 

控えめで常識人な長女ベス(エマ・ワトソン)、

小説家を目指す次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、

そして心優しい三女ベス(エリザ・スカンレン)、

そして、意外と現実志向な四女エイミー(フローレンス・ピュ-)

 

そんな四姉妹は、あることから

隣人の若者セオドア・ローリー(ティモシー・シャラメ)と

仲良くなる。

 

そして若き乙女たちがそれぞれ

さまざまな出来事にぶつかるなか

 

ジョーは小説を書き上げ、

新聞社に持ち込むが――――?!

 

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その年のワシ的ベスト1映画「フランシス・ハ」(14年)の主演にして

その後も

「マギーズ・プラン」(17年)

「20センチュリー・ウーマン」(17年)

などへの出演で輝き

 

満を持して

アカデミー賞ノミネートもされた

「レディ・バード」(18年)で監督デビューした

(前置き長くてスミマセン。でも、なんか感慨深くてw

 

グレタ・ガーウィグ監督の新作です。

いや~進化したなあ!

 

古典「若草物語」を見事にアップデートさせたと思う。

 

 

グレタ・ガーウィグはずっと

もがきながらも「自ら立とうとする」女子を演じたり、

描いてきたヒトで

 

この「若草物語」は"心の友”だったよう。

 

今回、それをきっちり昇華させて

1868年ごろの悩める女子たち、

特に自立しようともがく次女ジョーを、活写してるんですね。

 

ワシ、原作はそれこそ小学生時代とかに読んで、

中身はあまり覚えてなかったけど、

美人で優しい長女メグに、活発でボーイッシュなジョー、

おとなしい三女ベスに、おしゃまな末っ子のエイミー。

 

なかでもやっぱりジョーに

一番感情移入したことは、ほんのり憶えている(笑)

 

 

そんなジョーを

シアーシャ・ローナンが感受性豊かに体現していて

まず、ああ、なんか甘酸っぱいものがこみ上げてきて懐かしい!という感じです(笑)

 

しかし、ここが映画ならではというか

ガーウィグ監督の腕なのでしょう。

 

ジョーと仲良く転げ回っていた

男友達セオドア・ローレンス(ティモシー・シャラメ)との関係を

非常にうまく描写することで

自立女子の「欠け」も、悲しみも実に見事に表してるんですね。

 

「自己実現」を最優先課題としてきたジョーは

彼の想いを知りつつ、するりするりと身をかわし、

最終的に、彼からのプロポーズを蹴る。

 

でも、後から

さみしさを吐露する。

 

 

そんなジョーの心境、

「あのときは、自分のことで精一杯だったの!でも……ああ!」と、

なんつうか

自分の心に、心根がようやく追いついたような

しかし、すでに時遅し!な

このもどかしさ。

 

しかも、シャラメですよ? もったいなさすぎる!と

胸、苦しいす(苦笑)

 

長女メグのエマ・ワトソン、繊細なベス役のエリザ・スカンレン

お母さん役のローラ・ダーン、みなハマってましたが

 

「ミッドサマー」(19年)

フローレンス・ピュー演じる四女エイミーが、

彼女の醸し出す「厚み」から、予想以上に立体的なキャラとなり、

かなりの存在感を放ってます。

 

★6/12(金)から全国順次公開。

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」公式サイト


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