ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ミッドサマー

2020-02-22 14:08:56 | ま行

「いや〜な感じ」がもう!(笑)

 

「ミッドサマー」70点★★★★

 

****************************

 

アメリカに暮らす大学生ダニー(フローレンス・ピュー)は

あるとき、大きな悲劇に見舞われる。

 

彼氏(ジャック・レイナー)は献身的にダニーを支えるが

微妙な共依存にある二人の関係は

あまり良好ではなかった。

 

そんなとき、ダニーは彼氏が

交換留学生ペレ(ヴィルヘルム・ブロングレン)の故郷である

北欧スウェーデンの夏至(ミッドサマー)祝祭に行くことを知る。

 

人類学や民間伝承を卒論のテーマにする計画でもあるらしいが

ダニーはそんな彼らにくっついていくことに。

 

スウェーデンに到着したダニーたちは

ペレが育った小さな共同体へと招かれる。

そこは美しい景色と、花々の咲き乱れる

楽園のような場所だったが――?!

 

****************************

 

「ヘレディタリー/継承」のアリ・アスター監督による

晴天”フェスティバル”スリラー。

 

白昼、美しい青空のもとで起こる悪夢・・・?!っていうだけで

「なんだなんだ」と興味を引きますよねえ。

うまいなあと、思う。

 

まず序盤、アメリカに暮らす

ヒロイン・ダニーに降りかかる悲劇が、不穏さをもって描かれる。

 

で、ダニーは、彼氏とその友人と

北欧のあるコミューンの夏至祭に行くことに。

 

そこは白夜の明るい光に照らされ、花々は咲き乱れる楽園で

人々は笑顔で、優しく、清らか。

そんななかで、惨劇が起こっていくんですね。

 

「ヘレディタリー」もそうだったけど

アリ監督は既存の裏をかく斬新さと、

意外なほどにベーシックな古典のミックスが持ち味なんだと思う。

 

今回は、実際にあった民間風習や伝承を相当に研究したそうで

晴天のもとでの惨劇、という状況は斬新。

そしてそこでは、おおよそ「ああ、こうなるだろうなあ」というスリラーが

ゆるやか~に展開される。

 

逃げればいいのに!的な状況ながら

ダニーをはじめ友人たちは抗うことができず、

呑まれるまま。

 

ただ、そこには序盤で描かれるダニーの心の傷が

たしかに関係していて、その伏線は強かった。

 

相手の不安や悲しみに共鳴し、そこに入り込むのが

よくも悪くもカルトですからねえ。

 

善意や清潔さの裏にある不気味をこれでもか、と書き込み

壮大な舞台装置をもって「いや〜な感じ」をビルドした、

監督の情熱は相当だと思う。

 

どんな人なんだろう?と思ったら

まあ、びっくり!ということで

「AERA」で取材させていただいた記事が

AERAdotにもアップされていますので

ぜひご一読ください~!

 

そして、主演のフローレンス・ピューは要チェック!

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」でも

非常に印象的でした。

 

★2/21(金)から全国で公開。

「ミッドサマー」公式サイト


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2 コメント

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Unknown (大阪マラソン)
2020-02-22 18:00:16
 今週の公開ラインアップを見渡して、スキャンダルかスマオトかと悩んでいたところ、ふと目についた本作になんとなくカルト映画のにおいを感じ迷わず選択!
 
 はっきり言います。カルト映画殿堂入り間違いなし!私の周りでは明らかに寝ちゃってるお客さんがちらほら。グロにエロでホラーも入って、爽快感ほぼなし!
 それでも何が何だかわからないうちに引き込まれてしまいましたわ。
 でも、パラちゃんみたいにみんなにお勧めしまくるわけにはいきませんね~。
返信する
まさに (ぽつお番長)
2020-03-08 17:37:34

この晴れ晴れとした青空が
記憶に残ること間違いなしです。

「ヘレディタリー」も
終わりは「へ?」だったけれど
特にあの少女が出す、あの「音」
いまだに残ってますしね・・・
返信する

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