ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ビール・ストリートの恋人たち

2019-02-21 21:09:12 | は行

「ムーンライト」監督の新作です。

 

「ビール・ストリートの恋人たち」71点★★★★

 

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1970年代のハーレム。

 

19歳のティッシュ(キキ・レイン)は

幼なじみのファニー(ステファン・ジェームス)と愛し合い

子どもを身ごもる。

 

幸せの只中にいた二人だが、

あることから白人警官ベル(エド・クライン)の恨みを買ったファニーは

いきなり投獄されてしまう。

その罪とは、まったく身に覚えのない強姦罪だった――。

 

収監されたファニーにティッシュは言う。

「私が、絶対にここから出してあげる」――

 

ファニーの無実を証明するために

奔走するティッシュだったが――?!

 

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1970年代、白人警官によって

無実の罪を意図的に被らされた黒人青年と、その恋人の悲劇を描いた作品。

 

1950年代にデビューし、黒人作家として活躍した

ジェームズ・ボールドウィンの原作の映像化で

「私はあなたのニグロではない」で知りました)

実は「ムーンライト」より前に進んでいた企画だったそうです。

 

テーマや背景はシビアなのですが

映画としは

なんだか、岩井俊二監督作品を思い出すというか

すごく叙情的。

 

人と人との間に生まれる情感や空気を、

粒子まで映し出すような、綿密な映像で描いてるんですね。

 

ちょっと全体的に、スローテンポ過ぎるかなとも思ったけど

 

「触感」を大事にし、エモーショナルを掻き立てる、

「ムーンライト」の世界に、やはり通じていました。

 

それに原作は1974年発表なのに

それが、いまの時代にもめちゃくちゃ刺さる、ってのが

切ないような、胸苦しいような。

 

彼らだけでなく、同じ目にあった人々がどれだけいるのだろう――!

想いをはせずにいられないのでした。

 

★2/22(金)から全国で公開。

「ビール・ストリートの恋人たち」公式サイト


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