こんなご時世に
改めて、考えさせられますわー
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「21世紀の資本」68点★★★☆
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2013年にフランスで出版され、2014年に日本でも出版。
大ベストセラーになったトマ・ピケティ著の『21世紀の資本』。
あの本を、わかりやすく映画にした
ドキュメンタリーです。
あの本、真っ白な装丁がクールでミニマムで、
「これは読まねば!」と手に取っては見たけれど、
けっこうデータが多くてムズカシクて
完読できなくなかったですか?ーーはい、ワタシがそうです、すみません・・・・・・
これは、そんな人たちのための映画です。
格差がなぜここまで広がったのか、そもそも資本とは何か?――を
ピケティ氏本人をはじめ、さまざまな学識者が解説しながら
ビジュアルでわかりやすく、伝えてくれる。
はじまりは18世紀、
ヨーロッパでは人口のたった1%の貴族に富が集中していた、という話に始まり
産業革命、戦争、復興、デジタル革命など歴史の変化を標し、
それらによって“階級”や出自だけでなく、
”勤勉”=がんばり、によって
誰もがのし上がることが可能な時代にはなったけれど
じゃあ、のしあがってリッチになったら、どうなん?
成功したらしたで、貧しい人のことなど気にかけないでしょ?
という現実を
いやっていうほど、見せられたというか。
大企業や富裕層は
オフショアやタックスヘイブンで税金を逃れ、
貧困層を助けるはずの税金を
いかに少なくしか払わないか、にやっきになっている。
その状況は過去の「貴族」となんら変わりない。
結局、人間は「自分」そして「家族や"おともだち”が大事」という
行動原則を変えられないんだなと。
既得権を自ら手放すことなどありえないんだなあと。
暗たんたる気持ちになりつつ
経済を学ぶことは
結局は歴史の勉強なのだ、と思い至りました。
ピケティ氏は著作でも
「富の正当な分配」のために
大企業や富裕層への課税を解決法として示していたはず。
映画も、そう言っていて、よりわかりやすく理解できると感じました。
ただ、ちょっと緩急がなくお勉強チックなところが
「映画」としてはもうひとつなのが惜しい。
しかも
監督は制作に4年をかけたそうで、
あいやー、その間にどんどん世界の状況は
さらに悪くなっていったよね・・・・・・
さらに、この新型コロナショックだしなあ・・・・・・
と、さまざまに考えてしまう。
ただ
いまの状況だからこそ
このままの「資本主義」な世界は
やっぱりどこかで破綻するのではないか?と
改めて強く考えさせる。
それも
本作の重要な意義なのかもしれません。
★3/20(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。