ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

21世紀の資本

2020-03-22 23:42:53 | な行

こんなご時世に

改めて、考えさせられますわー

 

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「21世紀の資本」68点★★★☆

 

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2013年にフランスで出版され、2014年に日本でも出版。

大ベストセラーになったトマ・ピケティ著の『21世紀の資本』。

あの本を、わかりやすく映画にした

ドキュメンタリーです。

 

あの本、真っ白な装丁がクールでミニマムで、

「これは読まねば!」と手に取っては見たけれど、

けっこうデータが多くてムズカシクて

完読できなくなかったですか?ーーはい、ワタシがそうです、すみません・・・・・・

 

これは、そんな人たちのための映画です。

 

格差がなぜここまで広がったのか、そもそも資本とは何か?――を

ピケティ氏本人をはじめ、さまざまな学識者が解説しながら

ビジュアルでわかりやすく、伝えてくれる。

 

 

はじまりは18世紀、

ヨーロッパでは人口のたった1%の貴族に富が集中していた、という話に始まり

産業革命、戦争、復興、デジタル革命など歴史の変化を標し、

 

それらによって“階級”や出自だけでなく、

”勤勉”=がんばり、によって

誰もがのし上がることが可能な時代にはなったけれど

 

じゃあ、のしあがってリッチになったら、どうなん?

成功したらしたで、貧しい人のことなど気にかけないでしょ?

という現実を

いやっていうほど、見せられたというか。

 

大企業や富裕層は

オフショアやタックスヘイブンで税金を逃れ、

 

貧困層を助けるはずの税金を

いかに少なくしか払わないか、にやっきになっている。

 

その状況は過去の「貴族」となんら変わりない。

 

結局、人間は「自分」そして「家族や"おともだち”が大事」という

行動原則を変えられないんだなと。

既得権を自ら手放すことなどありえないんだなあと。

 

暗たんたる気持ちになりつつ

経済を学ぶことは

結局は歴史の勉強なのだ、と思い至りました。

 

ピケティ氏は著作でも

「富の正当な分配」のために

大企業や富裕層への課税を解決法として示していたはず。

映画も、そう言っていて、よりわかりやすく理解できると感じました。

 

ただ、ちょっと緩急がなくお勉強チックなところが

「映画」としてはもうひとつなのが惜しい。

 

しかも

監督は制作に4年をかけたそうで、

あいやー、その間にどんどん世界の状況は

さらに悪くなっていったよね・・・・・・

 

さらに、この新型コロナショックだしなあ・・・・・・

 

と、さまざまに考えてしまう。

 

ただ

いまの状況だからこそ

このままの「資本主義」な世界は

やっぱりどこかで破綻するのではないか?

改めて強く考えさせる。

それも

本作の重要な意義なのかもしれません。

 

★3/20(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。

「21世紀の資本」公式サイト


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2 コメント

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Unknown (wada67miho)
2020-03-23 04:28:33
あのベストセラーが映画になってたとは。初めて知りました。資本主義はソ連が存在してる時は今ほど強欲ではなかった。社会民主主義とか修正資本主義とかいろいろ改良しようという動きもあった。しかし、社会主義に勝利した資本主義は新自由主義とかいって益々傲慢、強欲になった。それが今の極端な格差社会です。ポストコロナでどう変わるか見守って行こうと思います。
返信する
そのとおりですね (ぽつお番長)
2020-03-28 02:39:06

コロナによる現状と、その先を考えるに
SFも人生ドラマも、
環境、社会、経済も、ゾンビ映画も

さまざまな観点から多くの映画たちが
警鐘を鳴らしていることに
改めて気づかされています。

体調、環境に留意しつつ
ぜひ映画からの学びを続けていただければと
強く願っております。
返信する

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