いろんなことが
いまの状況につながっている。
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「グリーン・ライ エコの嘘」69点★★★☆
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スーパーで目にする
「環境に優しい」という文句やマークのついた商品。
それを選んで買えば、当然消費者は「地球や環境に貢献してる」気になる。
でも、それ、ホントだと思いますか? 実はね・・・という
恐ろしい状況を知らせるドキュメンタリー。
でも
「暴く!」「告発!」というトーンではないのが、なかなかおもしろい。
鋭く問題をつく女性ジャーナリストと、
のんきなおじさん監督コンビが(そういうポジションを演じているんだろうけどね。笑)
世界各地の「問題となる現場」を訪ね、
サスティナビリティなどを売り文句にする
商品や企業の嘘を、じわじわと表出させてゆく――という作りなんです。
なかでも特に象徴的だったのは
あらゆる食品や石けん、シャンプーなどに使われている
「パーム油」をめぐる話。
日本では「植物油脂」と表記するだけでOKで
知らぬ間に
我々が日常口にしているパンやインスタントラーメン、チョコなどにも多様されている。
とにかく「カネになる」油らしいんですよ。
なので、そのカネを目当てに
パーム油を栽培する畑を作ろうと考える人たちが多い。
そこで故意に森林火災を起こし、すべてを焼き払い、
その跡をパーム畑にする――という、あり得ないような非道が
各国で行われているんです。
熱帯雨林に火災を起こし、すべての動植物を殺してしまった
インドネシア・スマトラ島の無残な焼け野原・・・・・・。
その状況に心が痛みます。
しかし
そうした非道を行っていても、政治やカネの力によって
「持続可能(サスティナビリティ)のパーム油です」という
認証を取得している場合が多いんですって!
特に大企業に多く、
でもパッケージには「環境にいい」と表示されているので
我々はいいことをしてるつもりで、それを買う。
でも、それってどうなの?と、知らせるのが、この映画。
「環境にやさしい」マークがついているからといって
むやみに信用できないんですよ、
いいことをしているつもりが、非道に加担していることになりかねないんですよ、と
そのからくりを、本作は暴いていくんです。
ほかにも監督とジャーナリストのコンビは
各国のさまざまな現場を訪ね、
欺瞞を垂れ流す企業主催の環境問題パーティーやイベントに行き
その様子をレポートする。
あるときは会場に怒れる若者たちが乱入したり、
反対派が静かな抗議を行ったりしていて
意外に「変化」の兆しもあるように見えるんです。
でも実際、大企業が「環境にいい」マークをつける商品は
資本がでかいだけに100円で売れる。
真に「環境にいい」ものにしようとすると500円になってしまう。
5倍の値段で、「真に環境に配慮した」商品を我々は選べるだろうか?
ビンボー人には、なかなか選べませんよね・・・。
じゃあ、どうすればいいのか、も
登場する識者たちのわかりやすい説明で見えてくる。
つまり、我々=消費者に選ばせるのではなく、
「ちゃんとした品」しかダメな法律を作ればいいんだ、という
彼らの意見に超・同意!
変革は容易ではないけれど
こうした事実を知ることで、変革は起こるかもしれない。
世界が揺れているいまこそ、
あらゆるものごとを、根底からひっくり返して考える必要があるのでは?と
思えるのでした。
★3/28(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。