「バハールの涙」と2本立てで観てほしい!
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「ナディアの誓い」72点★★★★
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ISに性奴隷にされた体験を世界に証言し、
2018年ノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラド氏を追ったドキュメンタリー。
原題は「ON HER SHOULDERS」。
彼女の肩にかかるもの――ってことで
ホントにその通りだと思った。
映画としては
「わたしはマララ」のように、わかりやすい構成ではないんです。
それは2014年まで、イラク北部の小さな村で
平和に暮らしていた普通の少女が
世界に向かって立つ人間にならざるを得なくなった、その道のり、そのままかもしれない。
だから
映画も訥々とし、特にすごく説明的でもない。
彼女の経験への配慮もあるでしょう。
なので「何が起こったのか」をより知るために
「バハールの涙」はとても有効だと思うのだ。
それでも映画には、素顔の彼女が写るシーンも多く
笑顔で買い物をしていたりするのを観るだけで
なんだかホッとうれしくなってしまう。
各国をまわり、つらい経験を語る彼女は言うんです。
「みんな『どうやってレイプされたのか』を聞くけれど
いまも、同じ立場にある女性たちがいる。
その人たちがどうしているのか、どうすればいいのか、を話題にしてほしい」
「自分は強くない、活動家ではない」と繰り返しながら、
しかし、何かを変えるために、また歩き出す。
彼女の意志の強さ、使命感に打たれます。
同時に
それでも動かぬ世界に胸がきしむ思いがする。
自分が「何もできない」ことの恥ずかしさ、つらさも感じる。
この勇気に報いるために、なにができるだろうか。
★2/1(金)からアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。