「東ベルリンから来た女」監督の新作です。
「未来を乗り換えた男」72点★★★★★
******************************
現代――より少し未来かもしれない、パリ。
ドイツ人青年ゲオルク(フランツ・ロゴフスキ)は
ファシズムの嵐吹き荒れる祖国を逃れ、パリにやってきた。
だが、パリにもドイツ軍が侵攻し、安住の場所はない。
そんななか、ゲオルクはあることから
反体制的なドイツ人亡命作家を訪ねるが、作家は自殺していた。
なりゆきから、作家になりすまし、マルセイユへ逃亡したゲオルクは
そこで、作家の妻(パウラ・ベーア)を見かける――。
******************************
最初、
いつの時代の話だかまったく読めず、設定が分からず
ずっと「??」だった。
原作は1942年に書かれた小説で
それを「現代」に置き換えて映画化したそう。
映画は予備知識ナシで!という方も
この映画に関しては、この土台は、知っておいたほうがいいかもしれません。
かなり混乱すると思うので。
まあ、見るうちに、なんとなくはわかってくるんですけどね。
難民問題をはじめ、不法入国者や外国人を排除する状況が
極端に進んだ現代世界の不穏を、
ナチスドイツのあの時代に重ねているのだ――と。
で、その違和感のなさに、ビビる。
そんな痛烈な風刺のなか、
自殺したある作家に成り代わった主人公(フランツ・ロゴフスキ)と
夫であるその作家を探し続ける美しい妻が出会う。
男は女を追い、女は姿なき夫を追いかける。
追っても追っても、その先が見えない切なさ。
「東ベルリン~」も「あの日のように抱きしめて」も、
クリスティアン・ペッツォルト監督は歴史や激動の社会を
人が持つ“愛”や”感情”に落とし込む表現を好んでいるようで
一貫してるなあと思います。
そして
主人公ゲオルクを演じるフランツ・ロゴフスキ氏は
いまワシがかなり好きな「希望の灯り」(4/5公開)でも
めちゃくちゃ印象的な芝居をしています。
要チェック!
★1/12(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開。