美しい、ときに静謐ですらある。
戦闘真っただ中の話なのに・・・!
「バハールの涙」73点★★★★
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2016年。
ISと闘う兵士たちを取材する
女性記者マチルド(エマニュエル・ベルコ)は
女性戦闘員で構成された部隊に接触し、
リーダー格の美しい兵士バハール(ゴルシフテ・ファラハニ)に出会う。
彼女はISにさらわれた幼い息子を取り戻すために闘っていた。
バハールにくっついて戦場で取材を進めるうちに
マチルドは彼女の過去を知ることになる。
2014年8月。
突如、バハールの故郷の村はISに襲われた。
男たちは殺され、そしてバハールたち女は、性奴隷として売られたのだ――。
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2018年ノーベル平和賞を受賞した
ナディア・ムラドさんの体験でも話題になった
ISによる虐殺と非道を、女性記者の目線で描いたドラマ。
この女性記者にもモデルがいて(メリー・コルヴィン(wiki))
さらに監督自身も現地で取材し、女性兵士たちの声を聴いたそう。
そんなリアリズムを背負った作品だけど
まず驚いたのはその表現が
静かで、美しく、詩的ですらある、ということ。
バハールを演じるゴルシフテ・ファラハニ
(「彼女が消えた浜辺」や「パターソン」の彼女ね)の美しさも、もちろんあるけど、
女性監督ならではの「描き方、切り取り方」も多いにあると思う。
銃撃だけでなく、その合間の静けさ――
恐怖に荒くなる息遣い、爆風による砂塵に覆われて真っ白になる視界、
その静寂こそが恐怖であり
そしてその恐怖は、まだ終わっていないのだ、ということが怖かった。
ナディア・ムラド氏を追ったドキュメンタリー
「ナディアの誓い」(2/1公開)と併せて観るとより、この現実がリアルになると思う。
あちらには、逆に状況説明など
あまりなかったりするので
本当は2本立てでおすすめしたいくらいですわー(笑)。
さらにこれは
「ラジオ・コバニ」の発端にも通じているので
併せてチェックをぜひ!
★1/19(土)から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかで公開。