ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

妻の愛、娘の時

2018-08-30 23:43:13 | た行

 

なんと見事な人生哀歌だろう!

 

「妻の愛、娘の時」77点★★★★

 

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現代の中国。

母の死を看取った50代後半の娘フイイン(シルヴィア・チャン)は

母を父と同じお墓に入れるため、父の田舎を訪れる。

 

だが、そこでは父の最初の妻ツォン(ウー・イエンシュー)が

頑なに父の墓を守っていた。

 

フイインの父はツォンと結婚してすぐに

出稼ぎで都会に出てフイインの母と出会い、家庭を持った。

しかしツォンは長い歳月、

帰らぬ夫をずっと田舎で待ち続けていたのだ。

 

が、ツォンの存在を受け入れられないフイインは

自分の母こそ本妻だと証明するために

両親の結婚証明書を探しにいく。

 

一方で、そんな母の行動に違和感を感じるフイインの娘(ラン・ユエティン)は

密かにツォンに会いに行き――?!

 

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「恋人たちの食卓」(94年)や

ジャ・ジャンクー監督の「山河ノスタルジア」(15年)など

多くの映画に出演してきた名女優シルヴィア・チャンが主演・監督した作品。

 

なんと見事に綴られた人生哀歌にして人間譚だろう!と驚きました。

 

おしゃれ~なブックカフェもある現代中国を舞台に

夫を待ち続けた老女(ウー・イエンシュー)と

いわば第二夫人のような状況だった母を持つ娘(シルヴィア・チャン)、

さらに彼女の現代的な娘(ラン・ユエティン)が、

それぞれの想いを胸に、自分の信念を貫こうともがく。

 

三世代の女性たちの苦悩や葛藤に

激変する中国の“いま”が、見事に映り込んでいるあたり

すごいなあと思いました。

 

登場人物それぞれのキャラも魅力的で

気の強い妻(シルヴィア・チャン)をサポートする優しい夫のやりとりが微笑ましいんですが

夫を演じているのは、なんと映画監督のティエイン・チュアンチュアン!

 

シルヴィア・チャンの娘役のラン・ユエティは

山口百恵か上戸彩か、という雰囲気の美人で

自身も仕事かプライベートかに揺れる現代女性を体現してる。

 

そして

夫を待ち続けた信念の老女演じる、ウー・イエンシューの存在感!

 

夫の墓に抱きついたり、いきなり暴走したりする彼女も含め

それぞれのキャラや出来事が絶妙なカリカチュアにもなっていて、随所でプッと笑わせる。

そこもいいなあと思いました。

 

★9/1(土)からYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。

「妻の愛、娘の時」公式サイト

コメント
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