いまもニュースで流れている
“イヤな話”が、ここにある。
「愚行録」68点★★★☆
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週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は
拘置所へ妹・光子(満島ひかり)の面会に行く。
光子はシングルマザーとして子どもを生み
しかし、その子を育児放棄した疑いで逮捕されていた。
いざ自分に降り掛かった“事件”に戸惑う田中は
仕事にも身が入らない。
そんななか、彼は
1年前に起こった一家惨殺事件を再取材することにする。
エリートサラリーマンの夫と専業主婦の妻、
その幼い娘が殺された凄惨な事件。
だが、夫の同僚や、妻の大学時代の友人に話を聞くうちに
田中は理想的な夫婦の別の顔を知ることになり――?!
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貫井徳郎原作×妻夫木聡×満島ひかり主演。
他者の話から、もうこの世にいない人間の、人物像を追っていくという
定石ながらミステリー好きの心をくすぐる作りです。
で、描かれるのは
親からの虐待、大学内のヒエラルキー、就活・婚活、人生の勝ち負け・・・・・・という
現実のイヤなニュースの要素を
てんこ盛りにしたようなもの。
まさに今夜も、研修医や医大生による事件が報道されていましたが
それを聞いて
「ああ・・・」とこの映画を思い出すほど
現実にリンクして、
リアルに“イヤな世”を感じられる映画になってる。
ホントに“イヤミス”の局地――なんですが
実は原作が書かれたのは2006年。
まだ“イヤミス”の定義がなかったときで
貫井さんの感覚は鋭いなあと思います。
キャストもさすがの布陣で
冒頭から、死んだ目の兄・妻夫木氏が、空洞な目の妹・満島ひかり氏が、
映画を引っ張る。
彼らの引力で見飽きないんですが
ただ
妹の事件とは別の事件を兄が追う話が延々続くので、
これどこで、どう収拾つけるんだろう、とドキドキ。
このテーマにして“暴力描写”がどぎつくなく
その手が苦手なくせに、それはそれで物足りなく感じてしまって
勝手なもんだなあと思ったりもしました(苦笑)。
それにしても
事件ものやミステリーには刑事、探偵、そして週刊誌記者がつきもの。
この世から週刊誌がなくなったら
ミステリーは成り立たないじゃん!がんばって雑誌!とか
切実に思いました(笑)
★2/18(土)から全国で公開。
「愚行録」公式サイト