マジメに作った映画で、そこがすごい。
「ハドソン川の奇跡」69点★★★★
******************************
2009年1月15日。
ニューヨークの上空を飛行中の航空機が
突然、全エンジン停止という最悪のトラブルに見舞われる。
大都会の真上で墜落するわけにはいかない――!
ベテラン機長サリー(トム・ハンクス)と
副機長(アーロン・エッカート)は
瞬時の判断と、選択を迫られる。
そしてサリーが下した決断は
なんとハドソン川への不時着だった――!
******************************
クリント・イーストウッド監督が
2009年に起こった実際の事故を描いた作品。
この事故には
本当にびっくりし、拍手を送ったものです。
そんな、誰もが知ってるニュースであり
映画を凌駕するほど、ドラマ性のある事件をどう描くか。
見ると、いずれにしても
「こうきたか」だと思う。
実に正攻法であり
いや、ある意味、意表を突いているんですよ。
どっちなんや!というところでしょうが(苦笑)
本当にそうなんだもん。
この映画、
映画っぽい演出が極力抑えられ、
起こった事実を、誠実に描いているんですね。
ゆえにシンプルすぎて
「事故の検証映画」という感じもする。
でも、そこには
我々がニュースでは知り得なかった「現実」がある。
155人の命を救った英雄は、
その後
事故の調査をする委員会に何度も呼び出されて
「本当に、あの対応が必要だったのか?」と
しつこーく事情徴収されるんです。
大勢の命を救ったんだから、いいじゃん?
なぜ、いったい何を疑われるっての?
と思うんですが
これが現実だってことですね。
そしてそれに対応する機長の心境も
丁寧に誠実に描かれる。
事故後、実務が出来ず
「家のローンはどうするの?」なんて問題が出てくるあたりも
非常に人間くさいというか、誠実で。
それらから伝わってくるのは
彼があくまでも
自分の仕事にプライドを持つ
ベテランの“いち仕事人”だってこと。
それは着水後、乗客たちの救助にあたった
ほかの人たちも同じで
“奇跡”を起こした人々の
そんな部分を描いたことが、カッコイイ!と思うのです。
映画的にスカーッとするような
起伏は少ないけれど
こういう描き方もあるんだ、と学びました。
96分っていうのにも拍手!
★9/24(土)から全国で公開。
「ハドソン川の奇跡」公式サイト