シンガポール映画って、こういう作品があるんだ・・・。
「イロイロ」71点★★★★
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1997年、シンガーポール。
共働きの両親を持つ
少年ジャール―(コー・ジャールー)は
小学校で騒動を起こしてばかりの問題児。
手を焼いた母(ヤオ・ヤンヤン)は
フィリピン人のメイド(アンジェリ・バヤニ)を住み込みで雇うことにする。
最初はメイドに意地悪ばかりする
ジャール―だったが・・・?
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カンヌ国際映画祭でカメラドール賞を受賞した
シンガポール映画界の“新風”
アンソニー・チェン監督の作品。
シンガポール映画って初めてかもしれない。
実際、本数もあまり作られていないらしく
ググっても出てくるのは喜劇が多い。
でも本作はまず
是枝監督っぽい、柔らかい陽光差す映像が印象的。
チラシより、このプレスの表紙が物語ってると思います。
そして
描かれるのは市民の生活。
子どもの使い方もうまい。
主役はまずまずの所得のありそうな夫と
共働きの妻、小学生の一人息子という
中の上っぽい家庭。
その3人家族のもとに
フィリピン人メイドがやってくる。
打ち解けなかった悪たれ息子とメイドとの間に
次第に交流が生まれる。
しかし夫は、実はリストラにあっていて
妻は宗教にハマったりもする。
「メイドがいるのが普通なんだ・・・」とか
「え、こんな習慣があるの?」とか
シンガポールという土地と風俗の目新しさはあるけれど
まあネタは日本のドラマと変わらない感じ。
でも登場人物たちの心理描写が
とても自然に丁寧にされ、
流れもよく、なかなか魅せる作品になってます。
なかでも
ひねくれ息子が初めてメイドに心を開く、
あのバスルームから、彼女を呼ぶシーンは見事。
心の流れにカメラがピタリと寄り添っていました。
97年の話だけど、日本のいまに妙にリンクする感じもあり。
ちなみに
“イロイロ”って原題でもあり
すごくナイスな題名ですが
これは実際、監督の家庭にいたフィリピン人メイドの
故郷の地名なんだそうです。
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★12/13(土)からK's cinemaほか全国順次公開。
「イロイロ ぬくもりの記憶」公式サイト