芥川賞作家・田中愼弥氏原作×青山真治監督。

「共喰い」65点★★★☆



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昭和63年(1988年)、山口県下関市。



17歳の遠馬(菅田将暉)は

女をなぐる性癖のある父(光石研)を嫌悪しつつも、
父と同じように性欲に溺れ

幼なじみの千種(木下美咲)と逢瀬を繰り返している。


そんな遠馬を
近くで魚屋を営む産みの母(田中裕子)は静かに見守っているが――?

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青山監督「サッド ヴァケイション」(07年)すごく好きだし、
原作未読にして楽しみにしてました。

でも・・・・期待ほどではなかった。すんません。

感情をひっかくような音楽、寂れた田舎町、
食事をむさぼり食う様子、
汚物はすべて川に垂れ流される・・・・・・

人間が生きることで、間違いなく生まれる
“汚れ”や、生々しさなどのアプローチは面白いけど

結局は「嫌いな父と同じ血をひく」17歳の性欲と

父親コンプレックスに終始しており
しかし描写はさほどどぎつくはなく、
ゆえにちょっと宙ぶらりんな感じ。

男はみじめで、女が包み込むという
勢力構図は青山監督らしいんですが、
原作ありきで、
逆に動きが制限されている気もしないでもなかった。

ひたすらに繰り返し描写される主人公の“いらだち”は
父への、町への、女への・・・・・・なにより自分への嫌悪感の表れなんでしょう。

誰もが通る道として、
はたまた背景も原作者とほぼ同世代として、共感できそうなんだけど、
うーん、ちょっ入り込めなかった。

なにより、
うーん、光石研氏がどうもしっくりこなかったんだよなー。

でもこのラスト、原作とは違うんだそう。
やっぱり、原作読んでみるかな。

★9/7(土)から新宿ピカデリーほか全国で公開。
「共喰い」公式サイト