ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

アルゴ

2012-11-01 12:12:15 | あ行

ベン・アフレックはマジメだよなあ。


「アルゴ」71点★★★★


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1979年、イランで
過激派がアメリカ大使館を占拠し、52人を人質に取る事件が発生。

混乱のなか6人が脱出し、
カナダ大使の家にかくまってもらう。

だが、バレるのは時間の問題で
捕まれば全員、公開処刑はまぬがれない。

6人をイランから脱出させようと
CIAの人質奪還のプロ、トニー・メンデス(ベン・アフレック)が考えたのは

ニセ映画を企画し、
「イランの砂漠とかで、撮影したいんですけど~」
ロケハンにやってきた映画人を装って
6人を脱出させようというもの。

荒唐無稽な計画だが、一体どうなる――?!

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ずっとマル秘になっていた実話を基に
ベン・アフレックが監督した作品。

まあよくここまで
“地味”に徹してマジメに作ったなア、と感心しました。

人質救出のためにニセのハリウッド映画をでっちあげる・・・なんて
思わず浮き足立っちゃうような
「ウソみたいなワクワク実話」なのに
(しかも、SFアドベンチャー映画!笑)

そのネタの勢いに乗ることなく
派手なことをせずに
再現ドキュメンタリーのように地道に
当時のイランの状況を描き、

「その国」にいるだけで、
「フツーの市場」にいるだけで恐ろしい・・・という
ただならぬ緊張感を生むという作戦。

見事に成功していると思います。

この実話自体を知らなかったので
さあもう最後までハラハラでしたよ。

「007」よりもギリギリ緊迫感は強いですね。


と、十分楽しんだのですが

ただ
まず、その状況を生むための前段が長いのはちょっと辛い。

それに
シビアななかにも
なにかもう一押し“華”が欲しいんですよね。

それは別にラブシーンだとかそういう話ではなく
感情の込めどころ、っていうのかな。
際立つ感情描写でもいいけど。

いい意味でジャーナリスティック、
悪く言うと、そっけない男やねえ、という感じ。

「ザ・タウン」にも同じような印象を持ったので
単に相性、かもしれないナ~。


★10/26から全国で公開中。

「アルゴ」公式サイト
コメント (2)
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