「レンタ~ネコ♪」という
市川実日子氏の呼び込み節が頭を離れません(笑)
「レンタネコ」70点★★★★
「かもめ食堂」「トイレット」の荻上直子監督の新作です。
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祖母の残した一軒家で
一人暮らすサヨコ(市川実日子)は
ネコを飼いたいけれど
さまざまな事情で踏み切れない人たちに
ネコを貸し出すレンタネコ屋をやっている。
家を訪問し、ふさわしい人かを審査したあとで
サヨコは
上品な老婦人(草村礼子)や中年男(光石研)らに
ネコを貸し出していく――。
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自分が逝ったときのことを考えて
ネコを飼うのをためらう老人は多い。
でも、ネコがいない人生は孤独すぎる。
例えばそんな人たちに
「あとはきちんと引き取る」という契約を結び、
責任持ってネコをレンタルするというのは、
まさに自分が妄想し、夢見ていた計画。
いや、ネコ好きなら誰もが夢見るはず。
その具現化を見る楽しさが
まず第一にありました。
話にはさしたる起伏なく、
わずかな切っ先のズレで
「またそっち系か」と鼻白みそうな映画なんですが、
荻上監督はそんなひねくれた観客の
数ミリのツボをはずさない。
それはほんのわずかな
「許せる」センスのツボなんだと思います。
狙いすぎない小道具、衣装、セリフ、距離感。
まあ「ネコ好きかどうか」で
評価は最大値に左右されるだろうけど、
雰囲気としては名作ドラマ「すいか」に近い気がしました。
ただ
エピソードの羅列方式は、映画として浅くなりがち。
似たような作風や流儀が巷に溢れるようになったいま、
荻上監督自身が「荻上系」に取り込まれてしまってはいないかと
ちょっと懸念もいたしました。
★5/12(土)から銀座テアトルシネマ/テアトル新宿ほか全国で公開。
「レンタネコ」公式サイト