ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

レンタネコ

2012-05-07 23:42:13 | ら行

「レンタ~ネコ♪」という
市川実日子氏の呼び込み節が頭を離れません(笑)


「レンタネコ」70点★★★★


「かもめ食堂」「トイレット」の荻上直子監督の新作です。

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祖母の残した一軒家で
一人暮らすサヨコ(市川実日子)は

ネコを飼いたいけれど
さまざまな事情で踏み切れない人たちに
ネコを貸し出すレンタネコ屋をやっている。

家を訪問し、ふさわしい人かを審査したあとで
サヨコは
上品な老婦人(草村礼子)や中年男(光石研)らに
ネコを貸し出していく――。

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自分が逝ったときのことを考えて
ネコを飼うのをためらう老人は多い。

でも、ネコがいない人生は孤独すぎる。

例えばそんな人たちに
「あとはきちんと引き取る」という契約を結び、
責任持ってネコをレンタルするというのは、
まさに自分が妄想し、夢見ていた計画。

いや、ネコ好きなら誰もが夢見るはず。

その具現化を見る楽しさが
まず第一にありました。


話にはさしたる起伏なく、
わずかな切っ先のズレで
「またそっち系か」と鼻白みそうな映画なんですが、

荻上監督はそんなひねくれた観客の
数ミリのツボをはずさない。


それはほんのわずかな
「許せる」センスのツボなんだと思います。

狙いすぎない小道具、衣装、セリフ、距離感。

まあ「ネコ好きかどうか」で
評価は最大値に左右されるだろうけど、
雰囲気としては名作ドラマ「すいか」に近い気がしました。

ただ
エピソードの羅列方式は、映画として浅くなりがち。

似たような作風や流儀が巷に溢れるようになったいま、
荻上監督自身が「荻上系」に取り込まれてしまってはいないかと
ちょっと懸念もいたしました。


★5/12(土)から銀座テアトルシネマ/テアトル新宿ほか全国で公開。

「レンタネコ」公式サイト
コメント (2)
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