ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブレードランナー 2049

2017-10-21 23:57:24 | は行

こう毎日、雨続きだと
この映画がほしくなりますねえ!


「ブレードランナー 2049」79点★★★★


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2049年、ロサンゼルス。

貧困と病気が蔓延する荒廃した世界で
人間と見分けのつかない“人造人間”=レプリカントが
労働力として製造されている。

しかし旧型のレプリカントは自ら意思を持ち
たびたび反乱を起こしてきた。


K(ライアン・ゴズリング)は
旧型のレプリカントを見つけて「始末」するブレードランナー。
彼自身も新型のレプリカントだ。


ある日、彼は郊外で
一体の旧型レプリカントと対峙する。

そしてそれはKにとって
予期せぬ、旅の始まりとなった――。


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正直に言うと、期待しているようで
微妙にしてなかったんです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は大好きなんだけど
「複製された男」路線に行かれるとお手上げだし

製作総指揮のリドリー・スコット監督は
最近、過去作品リバイバルでやや暴走中?という気もしてた。

しかも163分(!)と、けっこうな長さ。

しかし!
これは期待以上でした。


前作をうろ覚えでも、知らなくても
全然大丈夫。

美しく、切なく、哀しみを称えたSF世界に
とっぷり浸れます。


まず、監督との名コンビ、ロジャー・ディーキンスのカメラが作り出す
あまりに鮮烈な、ディストピア風景。

今回は雨というよりも、雪やみぞれ?のような
より重く、汚れている印象で
煙たいグレー、陰鬱なブルー、赤と、シーン別の色彩も美しい。

さらに長回しの多様とかでもなく、
ストーリーは割としっかり進むのに、辿る時間が独特なんですよね。
時間がゴムのように伸びていく感じ?

ハンス・ジマーの
圧倒的なサウンドも強烈だし
やはりキモは
ライアン・ゴズリング。

スローに見える動作一つ一つに
優美さと色気があって、目を離させない。

運命の残酷さ、刹那とともに
163分、十分に背負って引っ張ってくれました。

これは
静かに重く時間や空間を感じさせるSF加減が「メッセージ」
“創造”に挑む神的な視点は「ゴヴェナント」だなあと。


しかし、切ないなア、これ…。


★10/27(金)から丸の内ピカデリーほか全国で公開。

「ブレードランナー 2049」公式サイト

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