憲法第28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,これを保障する」と謳っている。しかし、日本では公務員は、ここで言う勤労者としての扱いを受けていない。戦前の大日本帝国憲法の下においては、法により認められた労働者の権利というものは存在せず、労働運動に対しては弾圧的な政策が採られていた。官公吏については、例えば官吏は国家に対して忠実に無定量の勤務に服するものと観念されるなど、それに労働基本権なるものを付与するという発想そのものが制度上存在しなかった。戦後1945年12月21日に(旧)労働組合法が制定され(施行は1946年3月1日)労働者の団結権、団体交渉権及び争議権が認められるに至り、官公吏については、警察・消防・監獄の職員を除き、その他の官公吏はすべて同法の適用を受けることとなった。ところが、労働運動の高揚を恐れたGHQ(占領軍総司令部)は、1947年の2・1スト中止命令に続いて、48年芦田均内閣総理大臣に対して、公務員による争議行為及び団体交渉を禁止すること、鉄道、専売事業等の現業部門を公共企業体として一般職から分離すること を内容とする、国家公務員法の改正を示唆する旨の書簡を送った。爾来、日本では当たり前のことが当たり前でなくなった。 . . . 本文を読む
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