川の底からこんにちは
2010年5月公開
監督・脚本 石井裕也
出演 満島ひかり
キネマ旬報のベスト10で興味を持った作品です。
2010年日本映画ベスト・テン第5位でした。
もちろん、こんな田舎では劇場で観ることの出来ない作品です。
だからDVDで発売されるのを真剣に待っていました。
DVDを観た感想から言えばとにかく面白い。
こういった笑いは大好きかも知れません。
一番好きなシーンは実家のシジミ加工工場を立ち直らせるべく作った社歌を歌うシーンです。
歌詞が最高にナンセンスなのです。
上がるよ上がるよ消費税 金持ちの友だち一人もいない
来るなら来てみろ大不況 その時ゃ政府を倒すまで 倒せ倒せ政府
シジミのパック詰め シジミのパック詰め 川の底からこんにちは
一度や二度の失敗と 駆け落ちくらいは屁のカッパ
駄目な男を捨てられない 仕事は基本つまらない
中の下の生活 所詮みんな中の下 楽しいな 楽しいな
シジミのパック詰め シジミのパック詰め 川の底からこんにちは
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この歌を工場のおばちゃん勢揃いで歌うのです。
その先頭に佐和子(満島ひかり)が見事に歌い上げるのです。
あらすじを簡単に
主人公の木村佐和子(満島ひかり)は18歳の時に、駆け落ちして、東京に出ます。
でも、1ヶ月で捨てられてしまいます。
でも、田舎にはかえりづらいので、東京でずるずると生活していきます。
職場は5回変わり彼氏も5人目という浮遊生活のような暮らしをしています。
今の仕事はおもちゃ会社への派遣社員です。
現在の恋人は、子持ちバツイチの会社の上司です。
ほんとに好きかと言うと、言い切れない。
“中の下”の自分にはこの程度の男がお似合いだって思っています…。
このあたりの演技をさせると満島ひかりは抜群です。
「しょうがないっすよね」「私は中の下の女ですから」が口癖で
世の中をすねてみているような人です。
「しょうがない」と言いながら麒麟淡麗を飲みまくる姿は
決して可愛い感じではありません。
でも、ストレートに生きているところだけは見事なのです。
腸内洗浄で何もかも流してしまいたいと思うくらいストレスはたまっています。
佐和子の恋人の健一は作ったおもちゃを腐されて、
自分の努力の足らなさを棚に上げ、会社の厳しさから逃げるために辞表を出し、
子供のために東京を離れてエコライフを送りたいなんぞと言い出し、
逃げ出すようなダメ男なのです。
佐和子の父が肝硬変で倒れてしまったのを機に、
家業を継ごうとこの2人が実家に帰るところから新たなストーリーが動き始めます。
工場には、それはそれは見事なおばちゃんたちが待っています。
突然出てきた佐和子に好意的なものは何一つ無く、
完膚無きままに佐和子を無視します。
人まであろうと平気で作業着に着替えたり、
ボソボソしゃべる佐和子に「声が小さくて聞こえません!」とか、
「年寄りばっかりで耳が遠いのよねぇ〜〜」などと言ったりします。
まだまだ続く不幸の中から、佐和子は川底から這い上がってきます。
そこから先の社歌が出てくるのです。
人は変わり続けるから面白いのかもしれません。
父と娘も変わるし、でもこの二人はとてもよく似ているかも知れないと
思わせるところがいいです。
父の車いすを押しながら川べりを歩く佐和子はとてもいい感じです。
「ワンピースを買うといい」「佐和子はワンピースがとても似合うから」と言われてはにかむ佐和子はとても魅力的に見えます。
こういったちょっとしたシーンを入れ込むのがいいですね。
もう一つ子どもと、一緒にお風呂に入って言う台詞がとてもいいのですが、全部言ってしまうと観ての楽しみがないからこのへんにしておきます。
このDVDはなかなかだと思います。
ぜひ観てください。
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