ルイガノ旅日記

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ロシア 美術館めぐり⑤ ~ ピョートル大帝 夏の離宮

2019年03月27日 | 海外旅行

ピョートル大帝の時代、ロシアはスウェーデン連合軍との大北方戦争(1700~1721年)を戦いながら、スウェーデンから奪ったバルト地方にサンクトペテルブルクを建設。当時このあたりは茫々たる湿地帯で、都市の建設には大きな犠牲が伴ったそうです。
幾多の困難を越えてモスクワからサンクトペテルブルクに都を移したピョートル大帝は、中心部から直線距離で約40km西に位置し、北にフィンランド湾を望むこの地に夏の離宮を建設しました。


南側に「上の庭園」、北側に「下の公園」を有する広大な宮殿は、ドイツ語で「ピョートルの邸宅」を意味する「ペテルゴフ」と呼ばれます。大帝は離宮建設に先立ってパリのヴェルサイユ宮殿を訪れており、随所にその影響が見られるそうです。このため、ペテルゴフは「ロシアのヴェルサイユ」とも言われます。


残念ながらこの時期は見ることができませんが、ペテルゴフには趣向を凝らした150個以上もの噴水が張り巡らされており、動力装置を一切用いず土地の高低差による水圧だけで水を噴出するのだそうです。写真は、宮殿すぐ下の「大滝」と呼ばれる噴水で、ここからフィンランド湾に向けてまっすぐに水路が引かれています。夏の離宮だけあって、冬場は雪に閉ざされて寒々しいのですが、5月から9月にかけては緑ゆたかな森の間を爽やかに水が流れ、あちこちで噴水が湧き上がって、それはそれは美しい風景を楽しめるそうです。


クロークに荷物を預けて、まずは宮殿2階から見学しました。


最初に入ったのは、白い壁と金箔が印象的なボールルーム。


壁一面にシャンデリア。鏡が多用されているので、広いホールがなおいっそう広く感じられます。

  
続いて、ロシアの過去の海戦の様子が描かれた絵画を壁一杯に飾った部屋へ。




(人に紛れて見えませんが)奥に玉座が置かれた謁見の間。玉座の後ろには、緑の軍服に身を包んだエカテリーナ2世の騎馬像が架けられています。


この緑の軍服姿には意味があります。夫ピョートル3世が国民の信望を得ていなかったことは前回書きました。ピョートル大帝の孫とは言え、ドイツ生まれのドイツ育ちで大のプロイセンかぶれ。ロシア嫌いが高じたピョートル3世は、ロシア軍伝統の緑を排してプロイセン流の青い軍服に変えてしまいました。夫であるピョートル3世を廃するクーデターに際し、エカテリーナ2世はロシア伝統の緑色の軍服を着用して士気を鼓舞したのです。若きエカテリーナ2世が凛々しく描かれていますね。

 
多くの部屋に天井画が描かれていました。

白いダイニングルーム。


白いダイニングには、真っ白な陶器のペチカ。ペチカと言うより装飾品のようです。


肖像画の間。描かれているのは、なぜか女性ばかりでした。


大きなハープが置かれた部屋。壁には花や木、野鳥が描かれています。さりげなく置かれた椅子のクッションや背もたれにも同じ図柄が・・・・・・。


青いソファが印象的な部屋。壁やソファの模様は中国がモチーフのようでした。


豪華な額縁に飾られた肖像画は、ピョートル大帝の娘で、第6代皇帝となったエリザヴェータ・ペトローヴナです。


左の大きな絵は、ピョートル大帝と勝利の女神ミネルヴァ。エルミタージュ美術館(冬宮)の「ピョートル大帝の間」に飾ってあったものと同じ絵のようです。ちなみに、ピョートル大帝は身長2メートルを越える長身だったと伝えられています。


夏の離宮ですから、利用頻度は高くなかったものと思われますが、各部屋には豪華で巨大なペチカが設置してありました。

部屋数の多さやそのつくりの豪華さにクラクラしながら見てまわりました(笑) 

先ほどのホールよりも小さめなダイニングルーム。

 
 この部屋に飾られていたエカテリーナ2世の肖像画。

欧米人にしては小さすぎるベッドですね。昔のヨーロッパでは、完全に横臥すると死人と同じ状態となって魂を抜かれるという言い伝えがあったため、横になって眠る習慣がなかったのだそうです。こんなベッドで疲れがとれたんですかね〜(笑)


地球儀が置かれた部屋。床も壁も木で覆われ、肖像画もないこの部屋は、ピョートル大帝を偲んで造られたのだそうです。絢爛豪華な部屋ばかり見てきたので、この部屋では少しホッとしたと言うか、気持ちが落ち着きました。

 
サンクトペテルブルクは、ヨーロッパに向けて開いた窓であるとともに、バルト海進出の拠点でもありました。大北方戦争を勝ち抜き、列強に肩を並べたピョートル大帝にとって、この夏の離宮から望むフィンランド湾は、さぞかし格別の眺めだったことでしょう。

少々話が固くなってすみませんでした (^-^)ゞ  次は、エカテリーナ宮殿の記事をアップします。

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