パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

「イチモツ」鑑賞報告

2006-11-06 12:36:33 | Weblog
 自主製作映画、「イチモツ」の上映会。野方の区民センターのようなところで。

 監督・脚本、山本拓、出演、高岡晃太郎、佐々木和也他。
 タイトルの「イチモツ」は中身とはあまり関係がないが、巨大人食い「亀」との闘いというテーマなので、そこらへんでちょっと関係あるのかもしれない。

 事前に八ミリ白黒映像で、上映時間98分ということを知り、たしかに八ミリ映像は魅力的で、今どきかえって贅沢な仕様とも言えるのだが、上映時間一時間半超におよぶ劇映画として見せるのは、画質的に、というか能力的に八ミリにはちょっと苦しい要求なのではないかと思っていたが、実際には八ミリ映像をデジタル変換して、それをデジタル機器で映写しているため、まったくの杞憂だった。
 昔の八ミリ映画は映写の段階でアナログ的に引き伸ばされるので、そこで画像の劣化がが一段階も二段階も進んでしまうが、デジタルのばあいはオリジナルの画質がそのまま保たれるということなのだろう。そんなわけで、「見た目」は、一昔前の16ミリ映画みたいで、「美しい」とも言える。

 で、内容なのだが……巨大亀退治というストーリーは、いわば、フリージャズにおけるテーマのようなもので、全体を通じておぼろげながらその存在が感知されるだけで、見せ場は「演奏そのもの」という感じ。そして、そういう風に見れば、レベルは大変に高いと思った。たとえば、戦闘シーンその他で、手持ちカメラがかなり多用されているが、それによる画面の揺れはあまり気にならない。画面の揺れで緊迫感を現わすという手法の習熟度は、自主製作映画のほうがプロの映画よりも数段上だということは、前から感じていたことではあるが。

 主役の佐々木氏の熱演がすごい。佐々木氏は熊本の警官という役で、熊本出身の兵隊は日本一強いという話を聞いたことがあるが、佐々木氏の熱演はその風説を「なるほど、その通りかも知れん」と思わせるものがあった。上映終了後、出演者一同の舞台挨拶があったが、佐々木氏はどうやらプロの役者らしい。なるほどね。どこか、一段飛んでいるというか、見る人の目を画面に引きずり込んでしまう。

 後、音楽が良かった。担当は吉田拓史という人だが、演奏は、バイオリン、ビオラ、コントラバス、アルトサックス、クラリネット、トランペット、ギター、ピアノ、パーカッションとフルオーケストラ並みの構成で、ほとんどフリージャズオーケストラという感じ。お話しが70年代ということなので、オーケストラによるフリージャズという、当時の流行りをちょっと意識して取り入れたのかも知れない。
 冒頭で、小学生の女の子が座ってリコーダーで「フニクラ」をたどたどしく吹いている。そして、吹き終わって立ち上がり、家に帰るのだが、そこで、チター風のギター演奏による「フニクラ」に切り替わる。ここは、高岡晃太郎監督作品っぽく、かっこうよかった。(高岡君は今回、主役の一人を演じたのだが……正直言って、佐々木氏に比べるとね……役者としての吸引力がないから……映画作家としての高岡君は本当に素晴しいのだが)

 といったところが私の印象なのだが、中村犬蔵という人のCGアニメ作品などが併映されたりlして(「バカ映画」の王道を行くような超ショート作品。面白かった。このジャンルでは日本は他国の追随を許さない。なんたってネタが豊富だし)、一時間もあれば終わるだろうと思っていたのが、だいぶ時間オーバーとなって事務所に戻ったら、ビルの前で埼玉のリベラル右翼、S氏とばったり遭ってしまった。実は、S氏との約束があったのだが、時間は「夜」というだけで、また、いつも時間通りに来るような人ではないので、映画界の時間がオーバーしてもまあ、たぶん大丈夫だろうと思い、終了後の舞台挨拶につきあっただけでなく、途中で、「野方のホープラーメン」を久し振りに食べたりして、のんびり帰ったのだが、「南原さん、どうしたの、二時間近く待ったんだ」と怒られてしまった。
 「すみません、すみません」の連発でなんとか話を終えたが、縁が切れないなあ、S氏とは。

 http://homepage2.nifty.com/DA-KIKAN/ichimotsu/で、「イチモツ」の予告編等を見ることができます。

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