活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

拉致抜き米朝合意で正念場の日本外交

2012-03-03 23:33:37 | Weblog
北朝鮮当局は先月29日、ウラン濃縮活動、核実験の中止、IAEA復帰することなどを決定した。一方、米は見返りとして、24万トンの食料支援することや6者協議の共同声明を履行することなど、北朝鮮と合意した。これで冷凍状態だった米朝間の関係は、ゆるやかに解凍に向かうことになるだろう。

ところで、わが国が最重要視しているところの、拉致問題は今回の合意事項には、ひと言も付言されることはなかった。これでは拉致問題は、実質棚上げされたことになる。本来であれば、米が課題として強硬に主張しなければならないところである。

なぜ棚上げされたのか。詰まるところは、日本政府が相手にされていないことに、原因があるように思われて仕方ない。年中行事と化した首相交代は、米朝から「笑い物」にされていることを考えれば納得できるはずである。

そう言えば、いまの野田政権の動きを見ても、うなずけるものがある。拉致問題についてあまりにも不熱心過ぎるからだ。このような状況で、米に熱意が伝わるはずがない。すべてが「おまかせ」で、いつまでも続ける対米隷属外交しか展開できないようでは、拉致の打開は遠のくばかりである。

また、今回見逃してはならないのは、北朝鮮が自国を米に敵視することのないよう、約束させ合意文書に盛り込ませことである。米が絶好のチャンスと捉えていることも伝わってきた。米朝ともに利益があるからだ。

わが国もいつまでも、敵視し続けるようでは、困難から解放されることはない。積極的に動くときがきた。日本外交の正念場である。