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Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

PEN LIFE108. みちは折れ曲がって当然

2010年11月06日 | field work
 こちらは金沢市のT字路。正確にいえば道が折れ曲がっているので正面に民家が見える。これも大変巧みな路地だと思う。昔の街並みは、みちのつけかたが旨い。
 例えば、「佐藤滋: 城下町の近代都市づくり,鹿島出版会,1995.」を読むと、江戸期に成立し近代の成長期を経てきた城下町の空間構成の変容が明らかにされている。これによると、江戸時代の城下町の街道が、町の入り口で折れ曲がり、そして町を出て行くときにまた折れ曲がりといった具合に、T字路の連続で町を挟み込んでいたことがわかる。それは城という防衛上の意図があったのかもしれないが、そうした折れ曲がる道が、城下町としての空間的なまとまりや、面白さを形成していったのである。
 イタリアの古い街を歩けば、大概のみちは折れまがっている。真っ直ぐなみちはないといってよい。迷路空間の集大成であるかのようなベネチアの路地などはその典型だろう。
 みちは折れ曲がっているほうが、その先に何があるのだろうという期待感を持たせてくれ、歩いていて面白い。
 実は高速道路の線形も直線ではない。東名高速道路をみると、車が等速で曲がるときの緩やかなクロソイド曲線の連続で、東京から名古屋までつながっている。
 そう考えれば、みちは折れ曲がっているほうが当然なのである。 他方真っ直ぐなみちは、退屈で歩いていて疲れるだけである。 一体歩いていて退屈で、貧困な精神の表れであるまっすぐな道は、誰がつくったんだろうか。
 折れ曲がったみちの方が、デジタルペン・ズームレンズの望遠側を駆使して、撮影したほうが面白いと思うけど。

金沢市加計町,撮影日9月10日
OLYMPUS PEN E-P2,M.ZUIKO DIGITAL14-150mm/f4-5.6
シャッター1/250,絞りf8,焦点距離45mm,ISO1600.iFINISH.
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